10話
陽side
「にしても……茉莉花はやることが怖ぇ」
「うふふ、それでこそ私の娘よ」
あの立てこもり事件のあと2人は立てこもり犯殺されそうになったところ茉莉花と崇裕が助けたって感じになったけど
「ハッキングした後の証拠は全部削除してあるし、崇裕も用意周到に警備をよく撒いたね。」
「ヤクザなのによく警察に潜入しようと思ったわね」
「好きな女のためならってことでしょ?」
同じ男なら好きな女のためならなんでもやるっしょ?
「お母さん、次はどうする?」
「んー、そうねぇ。DVの証拠、不倫の証拠はあるからお義母さんたちに証拠を出しに行こうかしら。あ、あとは私たちの住まいを例のあそこへ移りましょう。怪しまれないようにね。」
「あぁ。」
「それと、しばらくはお父さんに手を出しちゃダメよ?住まいを変えるのはお父さんが出張のときね?」
「えー、これから結構長いじゃん!」
「あら、陽よく聞いて?お父さんは手を出しちゃダメって言ったのよ?」
「あはは……やっぱお母さんは強いなぁ」
なぁ、茉莉花?俺たちあのクズ野郎の娘息子なのは嫌だけどこんなに頼もしいお母さんと仲間の元で生きられるのは幸せだな?
「おはようー!」
「おはよう」
「おい、くっつきすぎ。」
セイラはいつもやたらと俺に絡んでくる。俺はそれがいつも鬱陶しくてたまらない。そして夏穂の護衛であるヤマトは同じクラスだが、どうやらセイラのことが好きらしい。
「昨日ねぇ、陽のお父さんに会ったのー!イケメンよねぇ!」
「あっそ」
こいつがうざったらしくてたまんねぇ。
「あー!セイラ!また陽につるんでるー!」
「おはよう!茉莉花!今日も夏穂……」
「やっぱりか……ルルカは強いからいいけど……」
ちなみにだけど茉莉花とセイラは仲が良い。そしてセイラは俺たちの情報屋でもある。この学校では夏穂はルルカを裏でいじめていることが暗黙の了解で私はあの日から表面上夏穂の味方をしているが、それはインサイダーになって夏穂の罪を暴くため。この学校は小中高一貫で夏穂は遠隔に部下をつくり、ルルカをいじめてる。だけどルルカは見た目は弱そうに震えるような子だが、多分俺たちハイドレンジアが1番誰が強いかって聞かれたらルルカと答えると思う。ルルカは理科の成績がトップで爆弾や解剖学も少しずつ学んでいるがルルカの学力と武器を作る強さはハイドレンジアに欠かせない。
「ねぇー、茉莉花」
「セイラどうしたの?」
「今日はなにするの?」
「んー、今日は自爆してもらう準備をつくろうかなって思うかなって!」
お母さん、やっぱり茉莉花は怖いよ……
放課後俺たちはハイドレンジアの集まりリヒトとイチルの豪邸に行き、茉莉花と夏穂のいるカフェのカメラを許可をもらいハッキングして様子を見る。
「ルルカー、今日やられたのか?」
「うん!だけど大丈夫よ!例のもの仕込めたし」
「いつもなら俺も助けるんだけど、今日だけはな……」
「いつもシゲが守ってくれるでしょ?ありがとう」
「そこそこイチャつかないでもらえますー?」
シゲとルルカのイチャつきをロイが指摘した。
「っていうか!なんでよりによって今日は陽なの!?」
「俺たちジャスミンがいいんだけどー!」
そう、イチルとリヒトの兄弟は茉莉花のことが好きすぎるあまり歪んだ愛……がある。
「俺のジャスミンに手出したら許さないんだけど……」
「いや!俺の!」
「大丈夫よ!2人とも!私の仕込みがあるんだから!」
ルルカの怖い企みを改めて思い出し、俺たちは静かになった。
「お待たせしましたー!」
カフェ店員は2人の前に飲み物を差し出した。茉莉花はジャスミンティーを夏穂はココアを。そして夏穂はココアを1口飲んだ瞬間ココアの入っているコップを落とした。
「ど、どうしたの!?夏穂さん!?」
「痛いー!ちょ、あの店員呼んできて!」
「あの、どうされましたか?」
「あんたクビよ!私のココアにこんなもの用意して!」
というか妊娠してるならなおさらココアもあかんやろってツッコミをみんなでした。実は店員さんは俺たちの仲間である。
「ルルカ、あんた何入れたの?」
「んー、毒じゃないよ?キャロライナリーパーを入れただけだよ?妊婦はカフェインも辛いものもダメよ?」
多分もう時期勝手に流産する可能性はある。夏穂は妊婦としての知識がないから生物やカフェインのあるものを食べてしまっている。
「多分時期に自滅するだろうねぇ。」
俺のイヤフォンに店員の声が入った。
「んだよ、俺クビだよー、しかも松村大臣の娘ってー、というか妊婦でココア頼むかよー」
「まあまあ自滅してくれるよ。きっと。」
「だよなー。
「だよなぁ。これ以上しゃべるともしかすると探られるかもしれねぇからまたな。」
「あぁ。」
俺は音声を切るとルルカがニコニコとみんなにトリックを明かしていた。
俺はカメラを見ると茉莉花が演技で必死に夏穂を沈めようとしている。だけど茉莉花が少しニヤッとしたのを俺は見逃さなかった。
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