第3話・スタート
次の日の学校、長い間ゲームの世界にいたような感覚で登校が懐かしく感じる。
現実の世界とゲーム内との時間の進みは違うらしく、あのチュートリアルは実際には30分しかやってなかったようだ。
「純!おはよー!」
そう思っていると、後ろから明花が声をかけてきた。
「おはよー」
「ねえねえ、ゲームやった?」
「まあ、チュートリアルだけな」
俺がそう言うと、明花がメモ帳に何かを書いて俺に渡してきた。
「これは?」
「私のゲームID。初めたらすぐにフレンド登録する事、わかった?」
そう言って明花は自分の席に向かった。
いつもどうりの授業を受けて放課後、俺はゲームの中に入った。
出てきた所は、チュートリアルをしていたフィールド。三花が教えてくれたIDを打ち、フレンド申請を送る。
ものの数秒で登録完了し、俺はチュートリアル終了の選択を押し、NAFの世界に足を踏み入れるのだった。
一瞬、周りが真っ白になり、気がつくと大きな町に立っていた。
周囲の建物は、中世のような街並みになっていて、石造りの建物が並んでいた。
「へぇ~」
建物もとてもリアルに作られている。観光するだけでも楽しそうだ。
まぁ、好き勝手自由にできるらしいし……。
そこら辺うろちょろするか。
そして街並みを観光し、時が過ぎた。
すると、三花もとい
『今から会おうよ』
『いいけど、どこにおるの?』
『大丈夫、こっちから行くね』
そして数分後、どこからともなく、頭上にサンカと書かれたプレイヤーが来た。
「やージンさんや、かわいい見た目ですな」
「そっちこそ、可愛らしい……男?女?」
「さて、どっちでしょう?」
ニヤニヤしながらそう言うサンカの見た目は、小学生位の背丈でセミロングヘヤーの少女なのか少年なのかわからない可愛らしい顔つきをしていた。
「まさか、この姿で見上げずに会話ができるとは……」
「うるせぇ、私もなりたくてなってるわけじゃないの」
「けど、気に入ってるんでしょ?」
「そっちこそ」
「……で、男か女なのかは?」
「触って確認したら?」ニヤニヤ
その後は、雑談しながら町の中を歩くことにした。
触って確認はしていない。
石造りの建物を見ながら、サンカとゲームについて話していた。
「そういえばね、昨日レベルが上限まで行ったんだ!」
「へぇ~」
「それとね、それとね!ゲーム内最強モンスターをソロで倒したんだよ!」
「ふぅ~ん」
サンカが色々とゲームについて教えてくれてるけど。観光する方が楽しくなってきて、思考が全然動かない。
「ねぇ、この建物すべて中に入れる事は知ってる?しかも、買えたりとかできて、自分の家みたいにできるとか」
「え!?テーマパークみたいに外観だけじゃないの!?」
「お、やはり良い食いつき」
「あ……」
観光の方に興味が行っていたことがバレていた。
「現実の世界と勘違いするほど精巧な作りだから気になるのはわかるけど。すごいのはこれだけじゃないんだよ」
「例えば?」
「マップがクソ広い!たぶん日本列島くらい!」
「他のゲームしたこと無いから例えがわからん」
「他のゲームだと愛知県くらいしかないの!」
ほーん
「今、『ほーん』って思ったでしょ」
「お、オモッテナイデスヨ」
サンカは、疑うような目つきをしたが、すぐに諦めた顔をした。
「さて、お話はここまでにして、レベル上げでも行きますか!」
「えー、まだ街見ていたーい」
「この街には、もう少しいるし、1人の時とかに見ればいいでしょ、ね」
こうして俺は、サンカに引っ張られて街を出た。
街には石造りの城壁に囲まれており、その外は畑と、奥に草原や森といった光景が広がっていた。
「地平線が見える……」
「すごいでしょ」
街だけでも広かったというのに、もう一つの世界に来たような気分だ。
「なあ、これって次の街までどのくらいかかるんだ?」
「馬車とか使うとゲーム内で半日くらいかな?」
「…………」
次の街までに行くのは結構先になる気がした。
「まずはそこら辺の森まで行こっか」
サンカはそう言い街の外に出ると一瞬のうちに服装がSFチックな機械の装備になった。
「なんなんだ……それ?」
「戦闘用の装備、街の外に出ると自動的に装備するようにしたの」
「それもそうなんだが、世界観が違いすぎやしませんか?」
「ンフフ、かっこいいでしょー」
「そうだけど違う!何がどうしたらそんな装備を手に入れれるんだよ!」
「やっていけば手に入るよ」
サンカはふと思い出したように画面を操作し。
「試しに1ついる?」
「え、いいの?」
「少し良いやつは残してたんだよね」
着ているのと少し似ているものを貰った。
大きさを合わせるため、画面から装備をすると、ローブの内側、肌に密着するような感じに装備された。
おー、新感覚な着心地。
「よし、行くか!」
「お、やる気じゃん。よし」
サンカが手を握ってきた。
「ん?」
「あっ、言い忘れてた」
サンカがそういうと、背中からロケットのようなのが出てきて、火を吹き急加速した。
「舌噛むから気をつけてね♡」
「ぜってぇ、わざとだろぉおおお!!!」
俺は、風圧に耐えながらサンカの手を両手で力強く握っていた。
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