第14話 ダンジョン配信 1/3

「こんにちは〜」

「みんな、元気〜????」


(え!? 嘘!?!?!?!?!?!?!?)

(SO吉となんで一緒にいるの!?!?!?!?)

(もしかして……コラボッてコト!?!?!?!?)

(マジか!?!?!?!? スゲェ!?!?!?!?)

(トレンド1位じゃん!?!?!?!?!?!?!?)


(ナルミが異性と配信するのは嫌だけど、SO吉となら構わないな。なんたって、SO吉こそがナルミを救ってくれたヒーローなんだから)

(↑まったく同意見だ。SO吉なら反転アンチにならずに済むな)

(SO吉!! ナルミとコラボしたんだから、絶対にバズれよ!! 俺との約束だぞ!!)

(↑いや、お前誰だよ)


 事前告知をしていなかった影響か、コメント欄は俺たちのコラボに対して驚愕の声をあげている。ナルミは非常に有名で人気のPBTuberなので俺なんかがコラボをすれば、ナルミのファンが激怒するんじゃないかと懸念があったが……幸いなことにファンたちは祝福してくれている様子だ。


 しかし、さすがはナルミとのコラボだな。

 まだ配信が始まって1分も経っていないのに、もう同接が10万人を突破している。いくつかのコメントにあった通り、各種SNSでは既にトレンド1位になっているらしい。さすがは人気PBTuber、影響力が桁違いだな。


 こんなこと、俺1人だけだったら……とてもじゃないが不可能だっただろう。それ故に思わず嬉しくなって、配信だと言うことを忘れて笑顔になってしまう。あぁ、たまらないな。


「今日は一緒にダンジョンを攻略しま〜す」

「はい!! 俺も頑張ります!!」


 岩肌の洞窟然としたダンジョンに、裏返った俺の声が響く。あぁ、恥ずかしい。穴があったら入りたい。


(ちょwwwwwww SO吉めっちゃ緊張してんじゃんwwwwwwwwwwww)

(仕方ねぇよ。少し前まで過疎PBTuberだったんだから)

(へぇ、意外とかわいいところあるんだなSO吉)

(強いだけじゃなくて愛嬌まであるとか、最強じゃん)


 コメント欄でもイジられる。あぁ、恥ずかしい。

 だがどうやら。概ね好評らしいな。よくわからないが。

 とにかく、変なアンチなどが湧かなくてよかった。


 変なアンチが湧かなかったことは嬉しいが……この「裏声助かる」といったコメントには少し背筋がゾッとしてしまうな。何が助かるのか、深く考えてはいけないと本能が叫んでいる。……見なかったことにしよう。


「……同接が15万人を突破、か」


 少し前までは考えられなかった、あまりにも膨大な数の同接視聴者数。1つの都市ほどの人口の人々が、俺たちの配信を見ている。ここで突飛なことや悪行をしてしまえば、ただの大炎上どころではすまないだろう。ド炎上となってしまうだろう。


 俺一人の時の配信で炎上すれば、俺一人の被害で済む。

 だが今回はコラボとなるので、俺だけではなくナルミさんにまで被害が加わってしまう。その事実がただただ恐ろしく、同時にさらなる緊張を生んでしまう。あぁ……恐ろしい。


「ふふ、大丈夫ですよ。SO吉さん」


 そう言って、ナルミさんは俺の手を握ってきた。

 その光景が画面に収まらないように、ヒッソリと。

 緊張と動揺、柔らかさに対しての安堵。

 様々な感情を抱く。


 そして同時に、心配になってくる。


 男性人気の高い彼女が異性の俺に対して、こんなことをしたとバレれば……大炎上間違いなしだろう。いくら画面外で視聴者には見えないとは言っても、あまりにもリスクの高い行いだ。どうして彼女はこんなことを、優しい表情で平然と行えるのだろうか。


 ……考えても考えても、理由がわからない。

 最近の女子高生とは、こんなもんなんだろうか。

 俺が彼女いない歴=年齢だからこそ、ここまで気にしているのだろうか。女子高生という生き物は、こんなものなのだろうか。


「私に任せてください!! 私はA級の魔法師で、大人気PBTuberですから!!」


(ちょwwwwwwwww 自分で言うなしwwwwwwwww)

「……ったく、おもしれー女だな」

(そうだ、SO吉!! 緊張する必要はないぞ!!)

(強さはお前のほうが上かもしれないけれど、配信業はナルミの方が一日の長があるんだからな!!)


 彼女の発言とコメント欄に励まされ、少し落ち着く。

 そうだ、せっかくのA級魔法師のナルミとのコラボなのだ。ここで緊張して、何もできないままで終わるのは……あまりにも勿体無い。


 女子高生の彼女に手を握ってもらい、緊張が解けるなんて……自分でも相当情けないことだと思う。だけど、それでも……俺は彼女のおかげで、緊張が和らいだ。


「ありがとう、みんな。俺、頑張るよ」


(面白い配信を、期待しているぞ!!)

(そうだ!! 応援しているぜ!!)

(お前は光る原石!! 俺たちが磨き上げてやるぜ!!)

(頑張れよ!! 大将!!)


 皆から応援や声援が、とても嬉しい。

 こんなに暖かいダンジョン配信であれば、緊張も薄く頑張れそうだ。さぁ、今回はいつも以上に気合を入れよう!!

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