焦がれる心

 私を抱き寄せる御手、私を見つめる優しい眼差し、この心に流れ込む穏やかな声は、離れて尚も心地良く響いている。


 ああ、もう片時も離れることなく、あの方の腕にしかと抱かれて眠りたい。焦がれる思いに私の心はざわめき、平穏な眠りなど到底訪れそうにもない。


 あの方の声が消えぬうちに眠りについたとしても、今夜も乱れた夢に脅かされるに違いない。遠い夜明けを待ち望むにしても、あの方が傍にいるのなら苦にならないだろうに。


 ああ、あの方はどのように夜を過ごしているのだろう。もうすっかり眠ってしまっているのだろうか。それとも私と同じように眠れずにいるのだろうか。


 そうだとすれば、今にも夜にとけだして、あなたの傍へと駆け付けたい。この腕にしかととらえて、不安に怯える心に憩いの幸をそっと囁き、思いのままにくちづけを。


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