第2話
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『魅力無双』コミカライズ版 第7巻
2024年2月15日よりピッコマ様にて先行配信スタート!!
https://piccoma.com/web/product/153021
ご購入いただいた方はぜひぜひコメントください!
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ノートパソコンのディスプレイに表示された小説投稿サイトの画面を見つめながら
俺は怒りに震えていた。
『きみの小説にはリアリティーがまったく無いです。
もっと色んなプロ作家の作品を読んで勉強したらどうでしょう?』
最近、書きはじめたばかりのネット小説にそんなコメントがついているのを見つけたのだ
鼻血が出るくらいエキサイトした。
布団をひとまとめにした固まりを憎きレビュー相手に見たてて何度も殴る。途中から抱きついてピストン運動する。
ふう、もう少しで地球を破壊してしまうところだった。
邪眼が覚醒していたらセカイの終わりのはじまりだったぞ。
せっかくAmazonで『秒で1億稼ぐスーパー小説術』って本を注文して、
十年越しに書きはじめた処女小説なのに。
この心無いクソレビュアーは文壇を揺るがす超天才作家の誕生を台無しにしたのだ。
俺の天才性を認めない小説サイトをアンインストールして中華製の違法アダルト動画サイトに飛ぶ。
お気に入りのロリ系AV女優の動画を再生した
はぁはぁ、みかこタン。やべみかこタン。
君だけだよ、俺の偉大な才能に気づいてるのは。きっと会ったら性格良いんだろうね。俺のこと、認めてくれるんだろうね。
突然、スマホディスプレイの中の、中学生と見まがうような童顔のAV女優がこちらを向いた。
明らかに俺のことを見ていた。
「気持ち悪いんだよ、童貞クソニート」
え?
周囲が突然、真っ暗になっていた。
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ぎょえぇええええええええええええ!
ものすんごい叫び声で我に帰った。
目の前に、赤髪の美少女がいた。大きく見開かれたアーモンド型の瞳。
ファイナルファンタジーのライトニングみたいな人形じみた美貌。
勝ち気そうな雰囲気で、すぐに「バッカじゃないの?」とか罵倒してきそうなタイプ。
どんな凄腕のコスプレーヤーでも再現できなさそうなとてつもなくリアルな甲冑を着てる。
ドラゴンクエストの世界からそのまま出てきたみたいだ。
赤髪の美少女が俺を指さしたままいつまでも叫び続けるので。
仕方なく自分の身体を見た。
なぜかズボンが足首までおりていた。
野原ひろしスタイル!
「そんなところでなにをしている!危ないぞ」
どっちの意味で危ないのか分からないけど、ズボンを上げて自分が今いる状況にようやく気づいた。
なんだか目線が高いと思った。俺はドラゴンの頭の上にあられもない姿で乗っかっていたのでした。
もうズボンをあげてるのに、まだ叫び続ける甲冑姿の美少女。
初めてだったのかしら。もっと見せてあげれば良かったかな。
てゆーか、こんな高いところで目が合うってことは。
この女の子は浮いてるいるのだ。飛行石を持っているようには見えないから、もしかして舞空術の使い手か?
俺の尻の下にあるドラゴンの頭が火をふいた。
女の子が炎にまかれて落ちていく。悲鳴。声が可愛い。声優は誰だ。沢城みゆきタンか?
ん、てかドラゴンだと?
そこで初めて俺は気づいた。
ドラゴン。甲冑姿の女の子。もしかして、異世界転移ってやつですか?これ。
ドラゴンさん、俺を頭に乗せたまま気づいてないみたいなんで、とりあえず辺りを見渡してみる。
どこまでも続く草原。現代日本の建物なんかどこにも無い。
うへへ。出来の悪いオープンワールドRPGみたいな景色だな。
広いだけでなんのイベントも起きない、アバター走らせてるだけで3D酔いしてくるやつ。
お、ドラゴンを数十人くらいの兵士で囲んでるみたいだ。協力プレイで一狩り行こうぜですな。
「ちょっと!なんなのよアンタ!なんでいきなりそんなところにワープしてくるのよ!魔法学校の劣等生!?」
下でぶすぶすと煙をあげてる女の子が怒鳴ってきた。
「ちょっと降りてきなさいよ!あんたのせいで先制攻撃されたじゃないの!」
どうやら女の子は無傷みたいだ。やっぱり見た目通り惣流アスカ・ラングレーみたいなキャラ。苦手だ。オラ、ツンデレ女なんかでぇっ嫌いだ(VOICE野沢雅子)
女の子があんまり俺に叫んでくるものだからさすがのドラゴンさんも俺の存在に気づいたみたいだ。
おっきな目ん玉ひんむいて、こちらを見上げている。
「えへへ!ドラゴンのアニキ!あの女やっちまいましょう!」
振り落とされた。
首の骨が折れるかと思った。
死んだらリセットされる死に戻りシステムの異世界だったら、毎回、ドラゴンの頭の上でストリップの場面から再開か。
死にたくない!死ねねえんだよ、俺は!
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