「夏の図書館」


空調がきいた図書館。夏休み、読みたかった本が借りられていた。はやく返ってこないかな。別の本を借りて物語の世界へと飛び込んだ。視線を感じ、そちらに目を向ける。同じ様に本を読む子がいた。あれは私が借りたかった本。君にははやいんじゃないかな。たぶん年下の男の子が私の本をじっと見ていた。



隣のクラスの彼女が本を読んでいる。夏休み、小6の時にこの図書館でみかけた。一人でいるから近所なのだろう。人数の多い学校。いまだ同じクラスになったことはない。「大丈夫?手伝おうか?」低学年とでも思われたのだろう。それが初めて彼女と話した日。自転車で三十分。暑い中僕は図書館へ向かう。


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