【宇宙の中の地球】7話

キムに慣れてきたのか、詩菜は、彼を慕うようになっていった。


そうして、月日は、かなり流れ、詩菜は、随分と成長した。

幼子だった詩菜は、少女程になっていた。


詩菜「ウェルヴィン! 私、キム兄さんとお勉強してくる!」


ウェルヴィン「べ?、、勉強?!、、

今日はなんの勉強なんだ?」


詩菜「地球の事だよ!、、凄く面白いの!」

嬉しそうな詩菜。

興味有り有りなのが見てとれた。


ウェルヴィン「将来、地球に関わるんだ、しっかり教えてもらえ。」


詩菜はルンルンな様子で部屋を後にするのだった。

俺は、地球に興味を持ち始めた詩菜を見る度に、父上様が言っていた事が頭によみがえるのだ。


『お釈迦様が、詩菜を地球へ。

リオンの後を引き継がせるつもりだ。』


(リオン・・・

シリウス・・・・リオンはあのまま生きれないのか・・・。。)


リオンの夫となりし者達に詩菜を渡したくない俺なのだ。


だが・・・

キムの元にこのまま居るのか、


お釈迦様の元へと行くのか・・・


どちらの道も、俺には賛成出来なかった。


それは、詩菜にとって一番良い場所、世界だとは思えなかったからだった。


俺はいつの間にか、詩菜に対して自分でもわからない感情を抱いていたのだ。

それは、自己本位にしか過ぎなかったのかもしれない。


ただ、詩菜の側にずっといるのは自分だと考えていた。


俺はキムの父であるこの種族の長に会う為、庭へと足を運んだ。

長は庭の手入れをしている最中だったが、俺の姿を見ると手を止め、話し掛けてきた。


「どうしたんだ、ウェルヴィン。

・・・何か話したそうだな。

ちょっと、待ってくれよ、、

お茶でも飲みながらにしよう。」


彼はそう言うと俺を自慢の植物だらけな、一角へと案内する。


「相変わらず、自然だらけだな。」

俺が見事に青々と茂る木々を見て一言、そう言うと、彼は嬉しそうだった。


「ここは、地球に似た環境をわざと用意してもらっているが、現地には敵わん。」

自分が育てている自然を見ながら、

彼はそう話す。



俺は、彼が入れてくれたお茶を頂きながら、質問をぶつけて見る事に。

「早速だが、一定期間と言うわけで、

こちらへと来たわけだが。

もう、随分となる。

長、これからどうしていきたんだ?」


彼は微笑むと俺に向けて逆に質問してきた。

「ウェルヴィン。 君はどうしたいんだ?」


暫く黙り込む俺を見て、長は、静かに話すのだ。

「詩菜は、私達の家族だ。

なに、同種族の中には詩菜を息子キムと夫婦になどと、声もあるが、

私も、妻もそんな事は、考えていない。

キムもだ。


私達にとっては、詩菜がいる事が自然な事であり、それは彼女が此処に居ようが、地球に居ようがな。」


俺は意外だった。

それが顔に出ていたのだろう。

長は、クスッと笑う。


長「ウェルヴィン。 詩菜は、どこの誰の娘かなんて、誰も知らないはず。

知っているのは、私達と詩菜と同種族のお父上様方々だ。

だが・・・

誰の娘だろうが、生まれなど、いいんだよ。

大事なのは、共に過ごした時間と、想いがあればね。

家族なんて、血で繋がっているわけじゃないと僕らは考えているから。」


ウェルヴィン「じゃ、地球へと行く事も良いのか?」


長「見守るよ。 そして、あの娘が大変な時、助けなければならない時、

手を差し伸べたいと考えている。


地球に必要なんだろう。

お釈迦様がこちらへと来られた事がありね。」


ウェルヴィン「そうなのか?!、、?」


長「まだ、二人が来る前の話だ。


何処に居ても、生きて元気なら。。


あ、そうそう、ウェルヴィン。

きっと、将来、君はシヴァ神様から独立を果たすだろう。」


ウェルヴィン「は?、、独立?

そんな事、考えた事もないけど。。」


長はまた微笑むと

「詩菜の為に、自分の為に、

シヴァ神様から独立をして、ただのウェルヴィンと言う神様として。

君は永遠に詩菜だけを想い続けるだろう。 その想いは、どのようなものかは・・・

ウェルヴィン、君次第だけどね・・・」







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