【宇宙の中の地球】6話

と言うわけで、俺と詩菜は、父上様から言われるまま、その協力者達の種族の元へと行く事に。


「初めまして。

ようこそいらっしゃいました。」

にこやかに出迎えてくれる方々。


詩菜は、俺と手をつなぎ周りの大人を見るも、嫌そうではなかった。


(詩菜が嫌がらないとなれば・・・

やはり、まともなわけだな。)

そう考える俺。


俺と詩菜は、一定期間と言う条件である種族の長とも言うような家族と共に過ごす事になった。


長である男性には妻がおり、間には詩菜よりも少し大きい男児が一人いるようだ。。


詩菜は、人見知りしているのか、

俺の後ろに隠れてしまう。


男の子の母親が優しく言葉をかけてきた事で少し和らいだのか、詩菜は、ただじっと、家族を観察しているかのようだった。


俺と詩菜は、一部屋へと案内され、その部屋を、使うようだ。


持ってきた荷物を片付けていると

「ウェル、ウィン!

帰りたい・・・・」

詩菜が俺に話してくる。


「そうだよな。こんな知らない所。

嫌だよな。」

そう答えてやると、今にも泣きそうになる詩菜。


俺は詩菜を抱っこし落ち着くように

癒やしを送る。

指を吸いながら、うつらうつらし始める詩菜なのだった。



コン、コンッ、、、

ドアを叩く音がすると、あの男の子だった。


「眠ったの?」

俺に尋ねてきたその男の子は眠る詩菜の頰を突く。


「寝てるからな、そっとしてやってくれないか?」

俺はそうお願いすると


「わかった。

ごめん、触ってみたかったんだ。」

ただ、そう言った。


「俺はウェルヴィン。君の名は? なんて言うんだ?」

何気に尋ねてみる俺。


「僕は、キンムスク・・・・

長いんだよ。だから・・・

『キム』でいいよ。

この娘はなんて言うの?」


「詩菜(シーナ)だ。」

そう答えてやると、キムは、

なんとのっけから、

とんでもない事を言ってのけるのだ。


「詩菜・・・

僕、この娘知ってるんだ。

ただ、名前をしらない。」


ウェルヴィン「知ってるって?」


キム「うん。 生まれたのも知ってる。

大きくなったな。

あんなに小さかったのに。」


俺には、わけがわからない。

(なんで、、知ってるんだ?

あの時、誕生に立ち合った中に子供なんていなかったぞ、、、?!)


「キム、君はあの時居たのかな?」


キム「うん。 きっと、ウェルヴィン様からは、見えなかったと思うよ。」


「そうか・・・

そうなんだな。 驚きだな。。」


キム「僕ね、この娘を待ってたんだ。

父が将来、妹になるからって。」


「い、、妹ーっ!?、、はぁ?」


キム「何も知らないんだね。

僕らの家族になるからって、

ずっと、言われてきたんだよ。

だからね、待ってたんだよ。」



俺は考えを、想像を巡らせた。

(父上様は、初めからキム達の種族と何か話し合われていたわけだよな。

それで、、『宇宙側からの役目』が詩菜にはあると・・・

キム達との関わり・・・

預けて、、詩菜をキム達に渡すつもりだったとか、、いや、それは考えにくい。。

だとすれば・・・

詩菜に何かをさせるつもりなのか・・・)


うだうだと考えていると、詩菜が目覚めたのか、モソモソと起きてきた。


キムは、嬉しいのか早速、詩菜に近づき、話しかけている。


寝ぼけ眼な詩菜は、目を擦り、

キムをじっと見ていた。


キム「キムって言うんだ。

よろしくね、詩菜ちゃん。」


詩菜「キム・・・?」


キム「そう、僕の名だ。」


俺はちょっと離れた所から、二人の様子をただ見ているだけだった。。。



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