【宇宙の中の地球】4話

おかしな連中が帰ってから幾日か経った。

詩菜は、何事もなかったかのように変わらずな様子だ。


「ウェル、ウィン!

むし!、、見てみて!!」

どうやら、生き物が好きなようで、庭で見つけては嬉しそうだった。


俺が詩菜の隣に来れば、必ず

「触ってみて。」

そう言い、触るとどうなるのかを見たがるのだ。


(観察でもしてるかのようだな。)

その度に俺はそんな事を考えた。


「自分で触ってみたらどうだ?」

なんて詩菜に言えば、幼い彼女は、表情を歪めながら、嫌そーな様子で俺に言い返すのだ。

「恐いんだもん・・・

いきなり動いたりするんだもん。」


「いきなり動くのが恐いのか?」


詩菜「うん。 びっくりするんだよ。」


こんな会話をしながら、一緒に過ごすのだ。


(随分と言葉も使えるようになってきたな。 意思疎通を内側でも出来る事を

教えるかな。)

そんな事を考える俺だった。



二人で過ごしていると父上様が呼びにきた。

どうやら、シリウスが帰って来たようだ。


「詩菜!、、、いい子にしてたか!?」

嬉しそうに詩菜を抱っこするシリウス。


父上「話がある。 座るがよい。」


やけに神妙な表情な父上様。


詩菜も父上様の表情から何かを感じ取っているかのようだ。


「先日も外部の連中が来たであろう。

次もまた申し出ありな、詩菜に合わせてほしいとな。」

俺は父上様の様子から不審に感じた。


今までなら、悪どく話し始めるものを、

今回は、やけに真剣さを感じるのだ。


シリウス「詩菜を欲しがる連中は、宇宙側の種族だろ、おかしな連中が多いからな。

どうせ、詩菜を懐かせ、盾にし、

親父様や、詩菜の出身の種族を操ろうって魂胆なんだろ。」


「シリウス、、お前いつの間に・・・

調べてるのか?」

俺は、シリウスの行動を把握してるわけではなく、彼がここを出た先では、てっきりリオン達と関わってばかりだと考えていたのだ。


シリウス「リオンとの関わりをする中、親父様にな、調べろと言われた事をな。


宇宙側の種族達もなんだがな。。

実は・・・」


「なんだ?」

シリウスの、硬い表情が引っかかる。


父上「宇宙側の種族は、邪悪な連中が多い。炙り出し、徹底して取り締まってきた。

我ら種族がだ。

と言ってもまだ、一部であるが。


それよりも厄介な事が二つ。」


ウェルヴィン「なんだよ、二つって。」


父上「宇宙側の種族で詩菜を育てたいと申し出ありな。

その者達は、良き種族なのだ。」


「なら、問題はないのでは?」


父上「愚か者が、ウェルヴィンよ。

彼らが良き種族であると、預けれはどうなるか。

わからぬか?!」


ウェルヴィン「どうなるって、、?」


「帰ってはこれなくなる可能性があるのだ。 つまりは、手放さぬと言うわけじゃの。」

父上様は、そこに懸念をしていたようだった。

帰って来なくなって何か不都合でもあるのかと考える俺は、実は詩菜とずっと一緒だと考えていたのだ。


それを見抜いている父上様。

「ウェルヴィンよ。

詩菜と一緒に行くつもりであろう。

だが、あちらは、詩菜一人でとな。」


それを聞いた俺は慌てて反論する。

「そりゃ、困るぞ!

こんなに仲良くなれてるのに、、今更、

詩菜と離されるなんて、、、無理だ!」


ニヤリと笑う父上様

「そなたも、やっと愛が芽生えたと言うわけじゃの。

我が娘のようであろう。」


「我が娘?、、娘とか、、よくわからんが、とにかく、、駄目だ!」

反論するしかない俺だった。


そんな詩菜を見ればシリウスの横でスヤスヤと眠っているのだ・・・


そして、もう一つの問題が、

なんと、地球からの話などと、考えもしなかった俺だった。




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