【父上様が選んだ二人】3話

「ウェルヴィンよ、すまなかったな。

そなたの使命も大事である。。」


父上様は黙り、それ以上は言われなかった。

そして、部屋を出て行った。


なんだか、自分が悪い事をしているかのような気持ちになる俺。。。


俺は詩菜の横に座り、おやつのあられを差し出した。

俺の顔を見ては嬉しそうに、あられを口に入れる詩菜。


そんな表情を見ながら、父上様が言っていた

『預かり先を決めねばならぬ。』

この言葉が頭から離れなかった。



預かり先・・・

なんだが、嫌な気分になる・・・



そんなある日・・・・

その日は、来客なようだった。


父上様の部屋に何人かの方々が入って行く。

父上様に来客など珍しくもなんともないが、この時は嫌な予感と、一抹な不安が俺の胸にモヤモヤと渦を巻いていた。


庭を見れば久しぶりに帰って来ていた、シリウスに嬉しそうに遊んでもらっている詩菜の姿が目に映る。



やっぱり、あの娘は、シリウスがいいのだろうな・・・・


そう思えてならない自分がやけに、情けなく思えるのだ。

なぜ、そんな気持ちになるのかなんて、

わからない。


暫くすれば、またぞろぞろと父上様の部屋から出て来た方々。

「それでは、候補者達を連れてきます。

よろしく。」


彼ら来客達は、父上様に、向けて丁寧にお辞儀をすると、庭の方へとやって来た。

詩菜の方へと注目が集まる。


直に気が付いた、シリウスが警戒し、詩菜を抱き抱える。

腕の中にいる詩菜からは、恐怖にも似たような不安感が俺にも感じられた。


「あぁ、あの娘が詩菜ちゃん。。

可愛らしい・・・

皆が見れば、欲しがるでしょうな。」


この一言から、何をしに来た方々だったのか。

察しがついた。

途端に、自分でもわからないような感情がふつふつと湧き上がるのだ。



詩菜を渡したくない!

絶対に・・・


そんな感情だった。。。



来客が、去るとシリウスは、俺に駆け寄る。

「誰だ?!、、あいつ等!

詩菜が怯えてる!

何しに来た!」


俺はバツの悪い顔をしていたのだろう。

あの時、仕事などと言わなければよかったんだ。


シリウス「ウェルヴィン!!

何があった!? 話せ!!」


俺が黙り、何も言えないまま立ち尽くしていると、父上様が詩菜共々、俺達を呼んだ。


父上「話がある! 私の部屋に来るのだ!」


俺は、後悔で胸がいっぱいなのだった。。。


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