魔王人生 第1章 第11話 死闘の末に――
・・・・・
・・・・・・
・・・・ここはどこだ?
何も見えない。
神代は何も無い、真っ暗な空間に倒れていた
感覚がない・・・というか声も・・・出てない・・・結構視界もボケてるな
すると、突然声が近くで聞こえた
『ようやくお目覚めか』
神代は横を向くとそこには少し父親と似たような姿の人物が居たが、はっきりとは見えなかった
・・・誰だ?
『あぁそうか・・・この形で会うのは初めてだな、改めて名乗ろう、カガーマだ』
神代は呆然とした顔でカガーマを見ていたが、やはり顔はぼやけて見えなかった
あんたがあのカガーマ?・・・なんか話を聞く感じだと死んだ感じだけど・・・
神代はカガーマに話かけるといつの間にか頭の近くに移動していた
『まぁ貴様らで言うところの「亡霊」だとでも思え、実体はとうの昔に失った』
喋っているカガーマの方に何度も振り向くが、目で追えず諦めて話を続けた
まぁいいや、っていうか・・・ここどこだよ
『ここは貴様の意識の中・・・いや精神?まぁどこでもよかろう、貴様に話があってここにいる』
そう喋っていると次の瞬きで見知らぬ場所に移動していた
辺り一帯は草原が広がっており周りを一望できる崖の上のようだった
・・・どこだここッ!?
『色々と
神代は思い出そうと考えるも、全く覚えが無く呆然としていた
『――話があると言ったものの、こちらも時間がない・・・「4回」・・・貴様に手を貸す回数だ、覚えておけ』
・・・ちょ、ちょっと待ってくれ!どういうことだ?
お前を手助けした覚えはないし、そもそも何で俺に「
『・・・今回手を貸した、これであと「3回」だ、使うタイミングは慎重に選べよ、後悔しないようにな』
・・・お、おい!!
そう言うとカガーマは姿を消し、目の前が暗くなると神代はベットの上で目が覚めた
「・・・見知らぬ天・・・イテテ・・・」
アホなこと言ってる余裕はないか・・・・
生き伸びた・・・のか
ん?というか何だ?・・・身体が・・・
というか手が動かせない、足も・・・あれ?・・・これ拘束されてる?
神代はベットで目を覚ますも、手足が拘束され、身動きが取れない状態だった
「お目覚めですか・・・?」
声のする方に目を向けると少し小柄の白髪の天使が立っていた
コイツ・・・見覚えがある、確か
「テメェ・・・誰だ?そういや名前知らねぇわ」
「ハニエルです!!一応、三日間あなたが気を失っている間の看病をしてたのは私ですから!!」
元気よく、ドヤ顔で言い張るハニエルの言葉が少し頭に響く神代だった
「――とりあえず・・・この拘束具何?」
神代は自分の腕や足に付けられた拘束具のことについて、医療器具みたいな物をいじっているハニエルに聞いた
「それですか?・・・魔力や能力を制限する拘束具ですね、拘束されている間は魔力や能力を使うことができませんよ、本来なら一つで十分なんですけど・・・あなたはちょっと変わってますから・・・よしっ確認終わり!」
ハニエルは点滴を確認して、部屋を出ていった
微かに機械の音が聴こえる部屋に一人となり天井を見上げて考えていた
「・・・」
能力を制限する拘束具ね・・・
じゃあ今、絶賛「
神代は、他の能力「エターナル」や魔術を使おうとしても発動しないことを確認する
「・・・なるほど」
この拘束具は「発動前の能力または魔力を制限する」訳であって「能力または魔力を制限する」物じゃないってことか・・・確かに、「
「仕方ない、この状態を維持し続けるか・・・痛いけど」
神代は天井を見ながら手足を動かしたりしていた
「・・・暇だなー」
・・・結局、俺はあいつらに負けたのか。
・・・本当だったら魔法とかで傷を治すことができるにも関わらずやっていないのは、俺自身をまだ警戒しているからってところかな・・・用意周到だな。
「っていうか、そこまで戦闘狂じゃねぇよ」
・・・・弱いな、俺。
神代が感傷に浸っていると、ドアのノック音が聞こえた
「失礼するよ~」
そこに現れたのは武器を腰に装備した狐嶺だった
「・・・随分警戒されてんだな」
狐嶺はジッと神代を見つめホッとため息をついた
「・・・はぁ~、問題なさそうね、良かったわ」
狐嶺は武器をしまい、近くにあった椅子をベット近くに置き、近くに座り込む
「とりあえず、元気に・・・してそうね」
「これ見て元気に見えるかよ」
狐嶺は笑いながらも話を続けた
「アッハハハっ!冗談冗談・・・実は君に話があってここに来たの――」
少し神妙な顔つきで狐嶺は神代のあの戦いの後から今に至るまでの3日間を話し、本題に入る
「君・・・今、自分が置かれてる状況は知ってる?」
「・・・まったく」
「君は、私達の指示、忠告を無視した・・・それだけじゃない、天使たちを襲った・・・・まぁ殺してないから大丈夫だけど・・・大天使たちへの傷害、そして天使を恐喝、脅し、拠点の不法侵入、建物の破壊、更には人質まで取っていた・・・今、君は犯罪者、しかも死罪になりかねない程の重罪を犯しているの・・・」
「おぉ・・・改めて振り返ると結構やらかしたな」
狐嶺はため息を付きながら説明した
「今、天界の方で君の判決を待っている状態・・・私達も何とか掛け合って君の罪を軽くなるように話したけど、期待はしないでね」
「・・・」
違和感があるな、『死罪になりかねない』と言いながら、この3日間意識がなかった俺を生かしたのはおかしい・・・
・・・俺の「
なるほど、そういう魂胆か・・・この演技派狐め、これは交渉だ。
天使側からすれば絶好の機会、あいつらの計画を進めれる上に俺に貸しを作れる。
まぁ勝った方が絶対だもんな・・・勝てば英雄、負ければ犯罪者だ、仕方ないのか。
神代はため息をつきながら今後のことを狐嶺に聞く
「それで?これからどうすんの?」
「まぁ、判決、上官たち次第だけど・・・一応君は、私達の計画で絶対にと言っても過言ではないぐらい重要で必要な人物・・・協力してくれるなら後ろ盾にはなれるわ・・・でも――」
狐嶺は立ち上がり、窓の外を観ながら話す
「――君に「人間を辞めろ」と言っているのと一緒なの」
「?」
神代は狐嶺の言っている事が分からず呆然としていた
「まぁ、難しい話だから今すぐ決めてってわけじゃないの、詳しい話を聞いて、判断して欲しいわ」
「・・・」
まぁ、計画の内容自体は、ナスカと白玖から大体は聞いたしな・・・「人間を辞める」というのは分からないけど、負けた以上俺の意思なんて反映されない。
手足を拘束されている状態で神代は起き上がり、自分の考えていることを言った
「まぁ俺はお前たちに負けたし、そもそも俺に断る権利なんて最初から無いだろ?
お前たちの上の奴らは何が何でも計画を進めるつもりだろうしな、最悪の魔王カガーマの「
それと、夢?でみたカガーマの言葉が気になるしな。
するとベットで横になっていた神代は、右腕についた拘束具をいとも簡単に壊す
「うえっ!?」
「・・・まぁお前たちに負けた時点で、協力するつもりだったし・・・いいぜ、俺にはもう失うものなんて無いしな」
神代は右脚、左腕、左脚の順番で、拘束具を壊し、ベットから立ち上がる
「君・・・どうやって魔道具を・・・」
「改良したほうがいいぞ、この拘束具、発動している能力は制限出来ないっぽいし」
神代は近くに置いてあったジャージを着て、扉を開ける
「ここにいても暇だし、散歩でもしてくるわ」
そう言って、引き戸を押しながら外に出ていった
「ふふっ・・・本当に面白い人ね・・・笑」
・・・あの魔道具、能力を使っていても抑えることができるはずなのだけど・・・
― 数時間後 ―
「・・・」
はい、完全に迷いました
前に
・・・何回か同じところ通ったし
方向音痴なわけでもないのに・・・後もう少しで屋上に行けそうなんだけどな。
神代はようやく見つけた階段を上り、ドアを開けるとそこは、庭園のような広い場所に出た
「・・・確かこの拠点ってさ、空飛んでいるんだよな・・・よく育つな」
神代が上を見上げると目を凝らしてようやく見えるバリアのようなものを見つける
あー・・・なるほど、外が見えるけど、空に何かしらの魔法が掛けられてるな・・・
辺りを見ながら育っている花や果物を見ていた
「でもこの数だと・・・趣味ってところか?」
すると後ろから足音が聞こえて来る――
「あれっ?神代・・・くん?」
そこに居たのは、神代が大天使と争っている間に捕虜にしていたナスカだった
「・・・・・・・・・誰だっけ?」
やっべぇ・・・今一番顔合わせるの気まずい奴に会っちゃった・・・
誤魔化す、うん・・・それだな
するとナスカは神代に駆け寄る
「君!怪我は大丈夫・・・なの?」
「チョットナニイッテルカ――」
内心焦りながらも誤魔化し続けている神代のもとに、突如ウリエルが現れる
「――あっ!ここにいましたか・・・勝手に抜け出されては・・・って――」
するとウリエルは神代ではなく、何故かナスカの方に飛んでいく
「何で彼もここにいるんですか・・・まぁ後で聞くとして、ナスカ様!!」
「・・・?????」
神代は暫く思考が止まった
「・・・」
・・・ん?・・・ナスカ様?
「ナスカ様、まだ書類は残ってますよ、それに他にも――」
まるで、ウリエルが秘書のようにナスカに業務のことについて話していた
「・・・ちょ、ちょっと待て、ウリエル、どういうこと?」
「えっ?・・・あぁ、仕事のことですか?それは・・・」
「じゃなくて、こいつのことだよ!!」
ウリエルは少し考え、答える
「そういえば、言ってなかったですね・・・こちらのお方は我々天使族の長、エターナル・ナスカ様です、ナスカ様は、次期最高神、十神のお一人ですよ」
「ぅわ・・・」
神代は突然のことで頭が真っ白になり、呆れたような、少し引いた様な声を出し、唖然としたまま、その場で固まっていた
――第12話に続く
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