魔王人生 第1章 第5話 譲れないモノ
天使たちの拠点に侵入し武器を奪ってから二日が経ち、神代は天使たちの目を欺きながら、ようやく自宅に戻った
その日は疲れてすぐに寝た神代は、次の日あることに気付いた
「・・・・帰ってから特に何も言わなかったが、隣にいるやつ誰?」
神代の目の前にはナスカと頭に耳、腰のあたりに尻尾を生やした幼げな少女がいた
「妾の名は
自信満々げに話す白い尻尾と髪の少女の前で神代は頭が回っていなかった
ナスカが用意した朝ご飯を食べながら白玖の方を見て考えていた
「・・・・」
あ~なるほど・・・
見た目に反して実はめっちゃ長生きしてる系か・・・
というか何でしれっと部屋にいるんだよ。
見た目からして漫画とかで見る獣人ってやつか・・・
こういうのは無視だな、関わるとめんどくせぇ
「・・・ごちそうさん」
神代は食事を終え、自分の部屋に移動した
「うしっ!早速だが、この刀の斬れ味を見てみるか!」
先日、天使たちの拠点に侵入し奪った【神器 魔刀
「大天使共が必死になってでも取り返したい武器なのか・・・見た目は・・・何で日本刀みたいなのかは分からんが・・・やっぱりこの魔力、異質というべきか・・・」
能力や魔法を扱えるようになってから魔力が見えるようになった。
どんな感じかというと魔法を使うやつの体の周りに薄く光る、うわうわみたいなのモノが漂っている感じなのだが、人によって形が全く違う。
この武器は、集中して見なくてもハッキリ見えるほど、魔力の密度が高い、何ならほんの少しだけ周りが歪んで見えるレベルだ・・・
「そういやナスカが言ってたっけ、神器は金属で出来ていないって・・・」
神代が前にナスカから聞いた【神器】のことを思い出しながら、鞘から刀を引き抜き、軽く大木に向けて振った――
「そういえば久々に刀――」
キンッ!
「――へっ?」
――大木は真っ直ぐ立っていた
「俺、さっき斬ったよな・・・どうなってんだ?」
神代が斬ったはずの大木を押した時
メキメキッ・・・ドォォォン!
なんと大木は斬れていた、神代の振る速度と刀の斬れ味が重なり、大木だけでなく周りの岩や草木も少し斬れていた
「・・・・・・・ヤバッ」
神代は【神器】の斬れ味に少し引きながら家に戻った
「・・・戻ったぞ~」
「おかえりなのじゃ!」
白玖が玄関で腕を組んで待っていたが神代は素通りして横を通って行った
「何で素通りしていくのじゃ~!!」
白玖は神代の服を引っ張るも引きずられる
「・・・めんどくせぇな!おいナスカ!こいつっ・・・どうにかしろっ!」
三人は座り直し、改めて
「えぇっと、改めて紹介するわね、【
「妾が
「何すんなりと自己紹介に入ってんだ・・・」
神代は呆れながらも、白玖がここに来た事情をナスカから聞いた
ナスカの話によると、どうやらこの
『何もしない』というのはさすがにプライドが許さなかったとかなんとか・・・・
なんか・・・話が良すぎるな。
「まぁ事情はどうでもいい・・・名前からして位はまぁまぁ上の方か?」
神代は白玖の二つ名を思い浮かべながら聞いた
「フフフ・・・感が良いんじゃのう、おぬしの言う通り妾は
白玖は少し残念そうに話していた
「まぁ【作戦】に権限がなくとも、知恵はあるからのう、存分に使い倒してくれ!」
「じゃあ遠慮なく、まず『女神』の、あいつらの情報が欲しい」
神代はいつになく真剣な顔で白玖に「女神」について細かく聞いた
「あの者たちについてじゃな、今回の【作戦】の話を聞いて、全員が参加したそうじゃ、ナール・レスト・ベル・・・
白玖が「女神」、ベルたちの情報を話していたが一人聞き覚えのない名前があった
「ミエル・・・?天使兵から引き出した情報には無かった名前だな」
― ミエル ―
天使族の力を宿した、魔物の「スライム」
本来、知恵を持たない魔物が、言葉を喋り、強力な能力を有していた、天使族総出でその調査という名の討伐に出たが、大天使ですらも相手にならない程の実力を持っており、最高神との話し合いでそのスライムを仲間に引き入れたという・・・
「・・・とまぁこのような感じで、今は天使族に協力しているそうじゃ」
神代は話を聞き、少し考え込む
あの大天使たちですらも相手にならない程ってどんな化け物だよ・・・前に戦ったベルってやつよりも強いってことになるな・・・
「・・・まぁそいつのことはいい、ベル以外の他二人の情報が欲しい」
「いいじゃろう!
白玖は周りの物を漁って神代の前に置いた
「よいしょっと、確かこんな感じの物を使ってたのう・・・」
目の前には、前の方には長い筒、後ろの方は少し複雑に物が置かれ、何かしらの物を表していた
「これ・・・「銃」・・・か?」
神代が銃と言うと白玖は何かを思い出したかのように立ち上がる
「そう!そういう感じの名前じゃった!妾が知っている「弓」とは、また違う遠距離武器でのう・・・試しにやっているところを見ていたが、凄い音じゃった・・・耳が痛かったのう・・・」
白玖は思い出しながら耳を下に向け、耳を撫でていた
「凄い音・・・まぁ大概は凄い音がなるけど・・・『耳が痛い』・・・それ多分スナイパーライフルってやつかもな、何でそんなもん持ってるかは知らねぇけど、人が作った銃器の一種だな」
「すないぱーらいふる?なんじゃそれ?」
「えっ?」
あっそっか、こいつらよく見る漫画でいうファンタジー系なのか、魔法やら能力やらあるから「銃」っていう物、知らねぇのか。
「まぁ簡単に言えば、その銃の種類の名前だ・・・他にもあるが、そいつが使ってたのは話を聞く限り、十中八九スナイパーライフルだな、お前たちの知る「弓」の超絶上位互換って言えば分かるか?」
神代が弓と銃の違いを説明していたが白玖は話を戻す
「ん~何となくじゃが、すごい武器なんじゃな!そ・れ・で、話を戻すんじゃが、凄い音がでる武器を
白玖が話す内容に神代はあまり信じていなかった
「はぁ・・・『音が一切無い』って、嘘つくのは年齢だけにしろよ笑」
「本当じゃて!あとも歳も本当じゃ!このっ!」
白玖は神代のほっぺたを引っ張っていた
「イテテ・・・だってよ、ああいう武器は火薬使ってんだよ、強い爆発を起こして銃弾飛ばすんだから、「音」が無いのはあり得ないって話・・・ん?」
神代は先日のことを思い出す
「・・・」
そういや、武器を奪って家に戻ろうとした時、俺撃たれたな・・・
でもあの時、爆発魔法使ったから周りの音がうるさくて狙撃音聞こえなかったんだよなぁ・・・信じるべきか?
にわかに信じ難く、疑いながら一つ聞く
「・・・なら一つの聞きたいことがある、銃の武器を使うのはそいつだけか?」
「どうじゃったかのう・・・妾の知る限りじゃと風鐘だけじゃな!」
白玖は自信満々に答え、そのままもう一人の話をした
「あと最後に・・・
「えっ妖術・・・?」
「それはのう―――」
白玖が妖術について答えようとしたら
「待て!もういい!頭がパンクしそうだ・・・」
少し前にナスカから受けた魔法の勉強で手一杯というより頭一杯だった
「もう限界か?早いのう・・・そうじゃな、他の情報だと・・・武器のことじゃな!」
そう言うと白玖は神代の神器を指差す
「お前さんが持つ武器、【神器】は世界でも確認されている中で、約50個存在しておるんじゃが、その中で異質な物もあるが、狐嶺の武器も【神器】なんじゃよ」
「50って・・・結構あるんだな」
「【
「俺も父親から護身術っていう体で剣術みたいなのは教えてもらったな・・・」
白玖は立ち上がり、急に謎の踊りを始める
「ほっ!・・・はっ!」
神代は呆れた顔で白玖を見ていた
「いきなり何やってんだ?なんかの儀式か?笑」
「そんなわけなかろう!こんな感じでっ!・・・型を見たことがあるのじゃっ!」
白玖は必死に見たことがある剣術の型を神代に見せるも何一つ伝わってなかった
息を切らしながらその場に倒れた
「ハァハァ・・・こんな感じ・・・で・・・やっておったのじゃ・・・」
「うん、一個も分からん」
数分後――
白玖はお茶を飲みながら落ち着き、座りなおす
「こほんっ!言葉で伝えるよりも分かりやすいと思ったのじゃが・・・やっぱり言伝の方がいいのう・・・妾がその剣術の型を見た感想じゃが、狐の妾が言うのも何じゃが、まるで狐に騙されたような感じ・・・じゃった!」
「いや余計分からん」
白玖の説明に間髪入れず神代はツッコミをいれる
「まだ説明は終わっとらん・・・確かにちゃんと見ているんじゃが、気づいたら別の場所まで移動しているんじゃよ・・・やっぱり言葉で説明するのは難しいのう・・・実際に見れば分かるかもしれん・・・」
白玖は狐嶺の剣術をなんとか説明しようとしていたが言葉に詰まっていた
「・・・【
白玖は剣術の説明を諦めて立ち上がり空になったコップを台所に持っていった
数時間後、神代は白玖の言っていたことを思い出しながら、寝室で考えていた
「・・・『狐に騙された』・・・ね」
神代は考え事をしながらそのまま眠りについた・・・
―翌日―
まだ日が昇りきってないうちに神代は外に出る準備を済ませ、出かけようとしていると、ナスカと階段で出会った
「・・・ふぁ~・・・おはよう・・・あれっ?・・・こんな朝早くから出かけるの?」
ナスカは寝ぼけた状態で階段から降りてきた
「まぁな、今日は少しだけ遠いところに行くから」
「・・・気をつけてね~」
ナスカは気が抜けた声で神代を見送った
「さてと・・・今更だけど、あいつら一応捕虜というか人質というか・・・まぁいっか・・・」
神代は「
――数時間後
神代は少し高いビルの屋上で身を潜めていた
「ハァハァ・・・ざっと一時間ぐらいで九州方面?までは来れたが・・・ここにも天使兵がうろついてるとは・・・」
神代は物陰から外を確認すると、五人ぐらいが束になって行動していた
「隊長~本部から連絡があってここまで来ましたけど・・・何も無いですよ~」
天使兵の一人が天使兵隊長に愚痴をこぼしていた
「まぁそう言うな、まだ神代諌大が捕まっていないんだ、衛星ってやつで世界中を空から確認しているのだから間違いないだろう?人の技術も侮れないな・・・」
神代は「闇の衣」で五感全てが強化されており、天使兵たちの会話を聞いていた
「・・・・?」
ん?今、衛星って言わなかったか?
「結構便利ですよね~魔力感知とは違って広範囲でいろんな場所を確認できるなんて」
天使兵Bは人が作った衛星に感激していた
「そういや、風鐘様も――」
神代は話を聞くのを止め、地図を見て次の場所を確認していた
「衛星で場所が筒抜けなら行く場所を少し変えないとな・・・東北方面かな・・・・」
まさか人が天使と協力・・・?
・・・憶測で考えるのはやめるか
神代は荷物を片付け、ビルを降り、その場を静かに離れた
――天使の拠点――
「確認した魔力反応は見つけましたか?」
ウリエルは通信魔法で神代の近くにいた天使兵たちに連絡を取った
「ウリエル様・・・申し訳ありません、姿どころか魔力も確認出来ませんでした・・・」
ウリエルは天使兵の報告を受け、衛星の確認を行った
「・・・微弱だけど、また魔力を確認したわ、今度は・・・東北に向かってる?」
ウリエルは天使兵と衛星から来たデータを確認をしていると、いきなり後ろから脇腹を突っつかれる――
「――うひゃっ!?」
「あははっ!ウリエルもそんな声が出るんだ~笑」
笑いながらその場に居たのは銀色の髪をたらし、着物姿の狐嶺だった
「・・・狐嶺様っ・・・流石に怒りますよっ・・・」
ウリエルは狐嶺を睨みつけながら脇腹を手で隠す
「あはは~そんな顔で見つめないでよ・・・さっきの衛星ってやつだっけ?それで確認した魔力は、東北方面に向かったのでしょう?だったら私の出番だね!」
そう言うと狐嶺は胸元から資料を取り出した
「これ!ウリエルに渡すの忘れてたけど、私あっち方面の管理をしていてね、今日は管理している町に戻る予定だから・・・ねっ?」
ウリエルは狐嶺から資料を受け取った
「はぁ・・・分かりました、では今回の件は狐嶺様に任せます・・・」
「アハハ!話が早くて助かるよ~・・・それに多分あの魔力は少年のものだと、私は考えるよ・・・もしかしたら私たちと戦いたいのかも・・・な~んてね!まぁとにかく会えるなら私も戦ってみたいし、彼がどんな人間なのか知りたいしね・・・」
狐嶺はそう言いながら司令室から出ていった
「・・・約束もあるからね」
―近畿地方―
神代が家から出発して3時間ほど経ち、近くの町の建物の中で休憩し、荷物から飲み物を取り出し飲みながら地図を見て、次の目的地を探していた
「ぷはぁ~・・・流石に2~3時間ほど「
地図を見ながら方角を確認し、荷物を片付けて建物から出て能力のこと考えた
「・・・」
闇の衣を20%ほどで発現させ続けても1日中問題はなかったが、流石に40%だと2~3時間程が限界ってところか・・・
身体能力は以前とは比べ物にならないほど上がってるし視力や聴力も前よりも良くなった気がする・・・この能力イカれてるな・・・
数十分後、神代は自身の身体のことを気にしながらも目的の場所に到着した
「・・・ここが天使兵から聞き出した、もう一つの拠点・・・古風だな・・・」
神代の視線の先には、歴史でよく見る様な建築物が町全体に広がっていた、少し離れた場所に大きな建物が建っていた
「・・・あそこの建物から、なかなかヤバい魔力を感じるな」
神代が見ているのは大きな建物の近くにある大きな洋館があった
「なんか歴史の教科書とかで見たことがある建物だな・・・まぁいっか」
神代は荷物を広げ、離れた誰も居ない街の中層ビルの中で衣食の準備をしていた
数時間後、神代はうつ伏せ状態で洋館の周りの様子を店から取ってきた双眼鏡で確認していた
「ん~警備は昼間でも数十人ぐらいか・・・近くには、砦みたいなところに三人・・・上空に四人か・・・正直余裕で入れるが・・・」
その後も双眼鏡で確認し続けて数時間が経ち、外も薄暗くなっていた
「・・・そろそろやるか」
神代は神器を装備し、ビルの屋上に出た
「流石に正面突破はやめるか・・・ならまずは――」
―
『
「―――がはっ!」
そのまま続けて他の天使兵も蹴り飛ばし、神代は降下しながら詠唱を始める
「えっとたしか・・・空を振動せし衝撃よ、魔の力を使い、音を消せ」
―
神代は詠唱を終え、見張りがいる砦の屋根に降りるが着地の音はしなかった
「ふあぁ・・・眠い~」
見張りの天使兵Aはあくびをしながら外の様子を見ていた
「それにしてもなかなか来ないですよね~」
「あぁ~あの人間だろう?名前は何だっけ・・・神代――」
天使兵Bがそう言うと同時に神代は砦の中に侵入し、喋る暇も与えず、天使兵二人を瞬時に気絶させ、その勢いで洋館まで飛ぶ
「――ふぅ少し手間取ったけど入り込めたな・・・」
神代は砦から数百m先まで飛んでベランダに着地していた
――数分前
狐嶺は居間でくつろぎお酒を嗜んでいた
「ん~・・・ぷは~任務の間はお酒を控えていたから余計に身体に染み込むぅ~」
「・・・狐嶺様」
「・・・分かっているよ、席を外しなさい・・・明かりも消しておいてちょうだい」
側にいた獣人はお辞儀をし、明かりを消してその場を離れた
「・・・・」
思っていたよりも早く来たね。
気配を一切感じない上、監視が二人・・・いや四人やられちゃったか~
狐嶺は残っていたお酒を飲み干し窓際を見つめた
「・・・そこにいるんでしょう、入ってきなよ~」
そう言うと、窓を開けて神代が出てきた
「チッ・・・気付いてたのかよ」
「あはは~こう見えても私、
「・・・」
それ普通自分で言うか?
まぁいいか、見た感じでも強者ってのは分かる。
側には刀と・・・酒?
それだけ・・・周りには誰もいない、戦うには十分・・・
「・・・テメェが狐嶺
「おっ!私の名前知ってるの?嬉しいね~もしかして私のこと好きなのかな?」
「・・・チッ」
何言ってんだコイツ・・・酔ってんのか?
気が削げる・・・
「あはははっ冗談冗談~・・・少年の言う通り、私が狐嶺だよ」
狐嶺はそう言いながら立ち上がり、刀を腰に着ける
「君がどういう考えで、私たちと敵対しているのかは分からない、個人的な理由なのか、もしくは・・・まぁ君にも譲れない何かがあるように、私たちも譲れないモノがあるの」
狐嶺は刀を鞘からのゆっくり引き抜く――
「私たちがやっているこの任務は、君自身の人生そのものを変え、大きなモノを背負わせてしまう・・・だけど、それをしなければこの先起こる『災害』に対抗出来ないの」
神代は話を聞きながらも刀を引き抜き、狐嶺に聞きかえす
「それで諦めてお前たちの言いなりになれって言うのか?・・・犠牲になれと?」
「・・・・否定は出来ないわ、でも――」
「あっそ、お前のようなやつに聞くことはもう・・・何もねぇッ!!」
――次の瞬間、神代は狐嶺に切りかかっていたが防がれ、神代は距離を取り構え直す
「怒るのも無理はないわ、この任務は君に人間を辞めろと言っているようなものだから――」
狐嶺が構えた次の瞬間、刀を上に振り上げる動作とともに神代も上に叩きつけられ、屋根が吹き飛ぶ
「―――ぐぁっ!?」
何が起きた?あいつとの距離は離れていた、距離的に当たるはずがない・・・
それなのに俺に攻撃が当たった、あいつの能力か?
それとも魔法か魔術、妖術の類?
神代は空中で体勢を整え、下にある街の建物の屋根に着地する
「チッ・・・まったく、俺が戦う相手はいつも規格外が多いなッ!」
狐嶺が壊した屋根の破片が近くの民家に落ち、避難しているはずの人々が出てくる
「何の音だ?」
「おいっ!瓦の破片が落ちてくるぞ!」
その声を聞いてぞろぞろと建物から人が外に出て来る
「――人間の皆さん!ここは危ないですから離れてくださーい!」
そう言いながら空から狐嶺が降り、人々に避難を促していた
「狐嶺様だっ!」
「屋根の上に誰かいるぞ!」
「早く離れるんだ!」
その場にいた人たちは狐嶺の言葉を聞きながら離れる・・・
「・・・おい、何でお前たちが攫った人たちが普通にいるんだよ」
「ここが少し特別なだけよ、他でも少しずつこのような形になるとは思うけど――」
――キンッ!
神代の攻撃を避け、狐嶺は距離を取る
「君~、容赦ないね・・・でも嫌いじゃないわ!」
「そりゃどうもっ!!!」
神代は間合いを詰め、斬りかかるも防がれる――
「チッ!」
速度上げて攻撃してもダメか・・・
ここはやりにくいな・・・なら――
「なかなかの速さね!でも・・・っ!?」
―
神代は闇の衣を発現させ、狐嶺を蹴り飛ばす――
「――っ!?」
なんて強い蹴り!
衝撃が骨にまで響くわ・・・
それにさっきの黒い紋様・・・うわさに聞く「
狐嶺はそう考えながら離れた街まで吹き飛ばされ、離れた人気の無いビルに着地し周りを見渡す
「・・・この離れた街まで飛ばされるなんて、人は・・・いないわね――」
――ドォォン!
大きな音と同時に近くの建物が崩れ落ちたその先に神代の姿があった
「・・・準備運動は終わりだ」
――第6話に続く
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