講義② お祭り

 本日は、2回目の講義ですね。前回に続き、今回も出席してくれた方。ありがとうございます。さて、皆さん。突然ですが、お祭りに行ったことはありますか?あるという方は、手を上げてください。ふんふん。結構いますね。それじゃ、別の質問をしたいと思います。お祭りに行った時、ほぼ必ずある物は何でしょうか。はい、いきなり答えが出ましたね。そうです。正解は提灯です。ではどうして、お祭りと言われるような場所では、提灯が装飾的な役割を果たしているのでしょう。


 雰囲気で気分を盛り上げてもらうため?そうですね、確かに間違ってはいません。ですが他に、もっと重要な理由がありますよ。分かりますか?ちょっと難しかったでしょうか?正解は、古くから親しまれてきたお祭りを、シンボルである提灯と一緒に受け継ぐためです。ですが、ここで疑問に思った方もいるかもしれません。お祭りのシンボルが提灯なのはなぜだろう、と。


 これは日本で広く信じられてきた神道の持つ神聖さと、提灯の持つ怪しげなミステリアスさが、お祭りという場所で上手く調和したからだと思います。特に、お祭りに行くと非日常的なところだからか、興奮した人も多いでしょう。そして、私たちがお祭りで感じる非日常感は、シンボルである提灯が作り出しています。


 しかし、非日常的な場所とは本来、近寄りがたいもの。そこで非日常的なお祭りでは、屋台が人を集める役割を担うことで、お祭りを少しでも身近に感じてもらえるような、そんな工夫をしているのです。


 つまり提灯では足りなかった華やかさを、屋台が並ぶことで演出し、それまでお祭りと縁がなかった人々を引き付ける理由になっています。


 ただ、お祭りには、それ以外にも装飾の役割を果たすものが沢山ありますね。浴衣、太鼓、お神輿……。他にも色々あります。したがって、地域によって使われる装飾演出は、細かな部分で違いが出ます。これは、独自の装飾を追求することで、より記憶に残るお祭りにするという地元の目的があるから。そのために、地元の人々は定期的にお祭りを開催し、人を呼び込むことで、楽しい思い出を提供しながら、同時に祭りの担い手を育んでいる。そういう背景がお祭りにはあります。


 さて、本日の講義はこれで終わりです。長くなりましたが、最後まで聞いて頂きありがとうございました。何もなければ退出して大丈夫ですが、質問などがある方は私の所までどうぞ。

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