おまけの後日談3 デジャヴか?

 今日は晴海さんの誕生日。


 何歳になるかは『うふふっ、ひ・み・つ!』と言われたので聞かないが、家族みんなでお祝いをしている。


 テーブルには豪華な料理にケーキ、そして…… お酒の缶が数本。


「晴海さん、お酒飲むんですか?」


「私は飲まないわ、大海におっぱいあげないといけないからね?」


「……じゃあ美海が飲むのか?」


「美味しくないからいらないわ」


 ってことは…… 俺が飲むのか? 誕生日にお酒…… うっ! 頭が…… デジャヴか?


「あぅっ、あぅっ」


「うふふっ、大海? イタズラしちゃダメよー?」


「ほら総一、遠慮せずにどんどん飲んじゃって」


 うーん…… まあいいか…… んぐっ、んぐっ、ぷはぁーっ! 


「いい飲みっぷりね! まだまだあるからね、今日は無礼講よ!」


 ……俺だけ飲んでるけど、今日は気にしなくてもいいか! ふぅー! 久しぶりのお酒は…… 効くぅー!!



 …………

 …………



 んあっ? ……ああ、飲み過ぎて寝てしまったのか。

 せっかく大海が生まれてから初めての晴海さんの誕生日だったのに…… もう23時じゃないか、晴海さんもう寝ちゃったかな?


 大海も寝ているよな…… よし、ベッドで改めて晴海さんの誕生日を祝ってあげよう。


 またデジャヴ…… うん、気のせいだな。


 あまり大きな音を立てると大海が起きちゃうから…… そーっと忍び寄って…… へへっ、索敵開始。


「うふふっ」


「ほらね? 言った通りでしょ、ママ」


 なっ!? 二人とも起きてたの!? ……何ですか、そのけしからん戦闘服は! 透過してますよ、色々! 最新技術の光学迷彩ですか!?


「うふふっ、この日のために搭載した最新装備よ」


「ちょっと恥ずかしいけど、火力を上げるためには仕方ないわね」


 おぉぉ…… ある意味危機的な状況に潜水艦も急浮上してしまう!


「じゃあ、そーくん……」


「勝負よ、総一」


 ……受けて立とうじゃないか! 日々過酷な訓練を乗り越え、数多くの修羅場をくぐり抜けてきた、自慢の潜水艦を出撃させる! 行くぞー!!







 …………

 …………







 揚陸艦と巨大戦艦の最新装備の威力が強すぎる! 只でさえ圧倒的火力の二艦なのに透過による視覚攻撃が加われば…… 撃沈寸前だ! 


 た、退避! 退避ー!!


「あらあら…… うふふっ、逃がさないわ…… でも、まだ白旗を掲げちゃダメよ?」


「そう、今日はね…… ここの海溝で、直接対決で決着をつけるわ」


 そ、そんな! 巨大戦艦が! 巨大戦艦が迫ってくる! せ、潜水艦が…… そのまま深くて狭い海溝に引き摺り込まれていく!


「ふふっ、今日は…… 深い海溝で魚雷を発射してもいいわよ」


 ……へっ?


「うふふっ、私もお手伝いするからねー?」


「だから…… 全弾発射して、命中させて撃沈させてね? 総一……」


 そ、それじゃあ……


「巨大戦艦から…… 撃沈して、巨大空母に改修してね? 期待しているわよ、総一」


 み、美海!!  ちょっと手加減を……

 あぁぁぁぁーー!!


 ……あっ。



 …………

 …………




 うぅ…… 疲れたし、ちょっと気持ち悪い…… はっ! いつの間に寝ちゃったんだ、俺?


 巨大戦艦との安全装置なしの直接対決は壮絶なものだった。

 揚陸艦との見事なコンビネーションで潜水艦をロックオン、深い海溝で身動き取れない間に前後左右からの総攻撃。


 たまらず魚雷を発射するも、撃沈には至らず、海溝内で再び装填、発射を繰り返した。


 揚陸艦からは溢れる燃料を補給されるし、巨大戦艦は攻撃の手を緩めない……


 最後は全速前進、エンジンフルスロットルでなんとか巨大戦艦に特攻し、なんとか相討ちになったところで…… 記憶が無くなった。 


 そして、隣を見ると……


「ふふっ、やっと起きたの? おはよ」


「お、おはよう……」


「疲れた?」


「いや…… 美海こそ大丈夫か? その……」


「ふふっ…… 疲れたけど、凄く幸せな戦闘だったわ……」


 そう言って美海はベッドの中で甘えるように抱き着いてきた。

 すると寝室の扉が開いて、大海を抱いた晴海さんが寝室へと入ってきた。


「あら? 二人とも起きたのね? うふふっ、おはよう」


 晴海さんは大海に燃料補給していたのか、胸部装甲を外し補給口をさらけ出している、少し燃料が漏れているのが何度見ても…… 何とも言えない気分になってしまうのは内緒だ。


「おはよう、ママ、昨日はありがとね? せっかく誕生日だったのに」


「いいのよ、ママだって美海の誕生日にそーくんから素敵な素敵なプレゼントを貰っちゃったから、うふふっ、大事な私達の宝物を…… ねっ? だから、今度は美海がプレゼントをもらう番よ」


 腕に抱いていた大海に頬擦りしながら晴海さんはそう言った。


 つまり…… そういう事だよな?


「でもぉ…… 確実にプレゼントを受け取るためには…… いっぱい対戦したほうがいいわよね?」


「そうね、絶対受け取りたいわ…… 私も素敵なプレゼント」


 ……えっ? 何で二人ともジリジリと近寄ってくるの!? ちょ、ちょっと!!


「総一」


「そーくん」


「「だから、頑張ってね?」」


 わ、分かりました…… 




 そして……


 何度も海戦を繰り返し、時には荒波に飲まれ転覆しかけたり、巨大戦艦を裏切った揚陸艦との共闘して、巨大戦艦を航行不能まで追い込んだりと、とてもとても厳しい戦いを乗り越えた先には……




「ふふっ、やったわ総一! デキたわ!」


 素敵なプレゼントを授かった美海。

俺達の家は更に賑やかな家庭になりそうだ。

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