第9話 メスガキなラスボスをわからせた!
大司教タンジュンショージを倒してホッとしたのも束の間、突然一人の女の子が現れた。
その女の子をよく見ると、年の頃はロリコンにとって絶対ストライクゾーンとも言うべきJS5、6あたりだろうか。
天窓から差す陽光を受けてツインテールの黒髪がしっとりと輝き、ジト目の黒い瞳が侮蔑の色を湛えて怪しく光っている。
そして、何より目を引くのがその姿だ。見事なまでの華奢でつるぺたな身体に、ぴったりとフィットしたスク水を着ている。しかも、旧スクといったこだわりようだ。
そこへ極めつけとばかりに、目にも鮮やかな朱色のランドセルを背負っている。リコーダーもしっかり備わっていて抜かりはない。
まるで、ロリコンの願望を全てそこに凝縮したかのような完璧なまでのフォルムに、俺は一瞬、ロリ神が降臨したのかと錯覚した。
いや、むしろ神というより、その容姿と言動からとてつもないメスガキ臭が漂っている。
「そのUSBの中には~、あたしみたいな幼い女の子のやらしい画像がい~っぱい入ってるんだよね~?♡」
「うっ、そ、それは……」
女の子の問いかけに俺は言葉を詰まらせる。
「ねぇ、知ってる~?♡ そういうのを持ってるのって~、単純所持っていう立派な犯罪なんだよ~♡」
女の子は俺の前までやってくると、見上げるようにしてそんなことをのたまった。
「ぐぬぬ……」
「そこに転がってるおじさんもさ~、そのブツのヤバさがわかってるから、あんなに惨めなくらい動揺してたでしょ~♡」
そうか! タンジュンショージは偶像崇拝の禁を犯したことにではなく、犯罪になるからということであれほど動揺していたわけか。
「ふん、だからどうしたっていうんだ? たとえメスガキのUSBを所持していたところで、この世界にはそれを取り締まる法律があるわけじゃない」
前世ならアウトだが、この世界にはそんな概念も法律もないからな。全然セーフ。
「ふ~ん、やけに余裕があるじゃん♡ じゃあ~、これならどお?♡」
女の子はランドセルの肩ベルトにぶら下げている防犯ブザーに手を掛けた。
「ほらほら~♡ このピン、引っ張っちゃうぞ~♡」
女の子は底意地の悪い笑みを浮かべながら俺に迫ってきた。
「くっ……」
俺は動揺を隠しきれずに後ずさる。
いや待てよ? この状況も前世なら完全に詰みだが、この世界では別に何も恐れることはないじゃないか。
「ははははは! このメスガキ、そんなこけおどしは俺には通用しないぞ!」
「へ~♡ ここまでの精神攻撃に耐えるなんて~、おじさんてなかなかやるじゃ~ん♡」
不敵に笑う女の子の唇の隙間からちらりと八重歯が覗く。
八重歯萌えの俺は一瞬くらっときた。あぶないあぶない。
それにしても、こいつは一体何者なのだろう。
見たところ、ただの女の子でないことはわかる。しかも、メスガキっぷりもこれまで出会ってきた中ではケタ違いだ。
「お、お前は一体誰なんだ?」
「あたし?♡ あたしはね~、このおじさんが心の中でいっつも妄想してた女の子だよ~♡」
女の子は屍と化したタンジュンショージを足でぐりぐりと踏みつけながら答えた。
おっさんの顔が喜んでいるように見えるのは気のせいだろうか。
ていうかこの女の子は、そのおっさんの妄想が具現化した存在ということなのか!?
「それであたしの名前はね~、ジョシジドーっていうの~♡」
よく見ると、確かにスク水の胸元に縫い付けられた名札にジョシジドーと書いてある。って、そのまんまじゃねーか!
だがしかし、筋金入りのロリコンだったタンジュンショージが作り上げた妄想だけあって、やはりその破壊力は凄まじいものがある。
「ねぇねぇ~♡ おじさんも~、このおじさんみたく日本から来た氷河期なんでしょ~♡?」
「お、おまっ、どうしてそれを?」
「氷河期のおじさんって~、み~んなエロいからす~ぐわかっちゃうんだよね~♡ あたしなんか~、このおじさんに妄想の中で何回やらしいことされたかわかんないも~ん♡」
そう言うと、ジョシジドーはタンジュンショージの金的の辺りを勢いよく踏みつけた。
「ぎゃん♡」
おっさんのそんな悲鳴が聞こえた気がした。
「おじさんは~、あたしでどんなやらしい妄想するのかな~?♡ それとも~本当にやらしいことしちゃう~?♡ あ、でも~、それってガチな犯罪になっちゃうもんね~♡ 氷河期のクソざこおじさんにそんな勇気あるわけないか~♡」」
ジョシジドーはジト目をさらにジトらせて激しく煽ってくる。
こんのメスガキ……。下手に出てれれば調子に乗りやがって。
よくよく考えてみたら、こいつはタンジュンショージが生んだただの妄想じゃないか。それならば、何をしたってセーフだ!
「おい、メスガキ! お前が舐め腐った氷河期の実力を思い知るがいい!」
俺は《わからせ棒》を使った。
「は? な、何してんの? あ、あたしに手を出したら犯罪だよ犯罪! ちょ、ちょっとでも触れたら、これ鳴らしちゃうけどいいの~?」
俺は《わからせ棒》を使った。
「やだ、やめて! ほ、ほんとに鳴らすよ? ちょ、待って! ねぇ、お願いだから! やだやだやだ~! ん゛ん゛~! んごっ……おごっ、ひ、ひやぁらぁ……、ぼはぁっ!」
俺は《わからせ棒》を使った。
「……やだ、ねぇ、そこはだめ、やめて! ちょ、あっ……くふぉおおお……い゛い゛い゛い゛い゛……、おっ♡ おっ♡ あっ♡ おっ♡ んあっ♡ あんっ♡ あひっ♡ おふっ♡」
俺は《わからせ棒》を使った。
「おっ♡ ほっ♡ ひっ♡ あっ♡ おんっ♡ ひあっ♡ いい♡ あ、あのおじさんなんかより……、ふひっ♡ すっごくいい~♡ んあっ♡ あんっ♡ おんっ♡ はっ♡ あひゅ♡ はぁ♡」
俺は《わからせ棒》を使った。
「あっ♡ ッお♡ あッ♡ もっと♡ ひっ♡ あぁ♡ ふひゅ♡ もっとくだしゃい♡ んあっ♡ あ゛あ゛あ゛……♡ おんッ♡ はっ♡ はッ♡ あっ♡ あっ♡ んあっ♡ あああああああああ♡♡」
こうして、俺はジョシジドーを完膚なきまでにわからせると、やがて昇天したかのように消えていった。
ふぅ……。どうにかこうにかわからせることができたが、手強いメスガキだった。かなりの上玉だったので、消えてしまったのはちょっと惜しくはあるが。
あ、そうだ! トンズラとダリンを生き返らせてやらなきゃだ。
俺は二人に『サオイク』の魔法をかけてやろうと思ったが、結局クソの役にも立たなかった二人に段々ムカついてきたので、復活してもHPが1しかない『サオオル』の魔法にしといた。
「何と!? もう大司教を倒したのでござるか? ならば早く帰って薄い本でスッキリしたいでござる」
「ねぇ、大司教は? 大司教はどこ?? え、倒しちゃったの? なんでよ~! それじゃあメスガキにしてもらえないじゃない!」
起き抜けにそんなことを言う二人に、俺は復活させるんじゃなかったと地味に後悔した。
ともかく、俺たちは大司教タンジュンショージを倒し、ラスボスともいうべきジョシジドーもわからせて、世界に平和を取り戻したのだった。
ちなみに、後で《メスガキのUSB》の中身を調べてみたのだが、何百年も経過して劣化が激しかったため、データが全て消し飛んでいた。
ねぇ、確認する前の俺のドキドキ返してくれないか?
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