第7話 かつての魔王にメスガキの良さをわからせた!

 世界各地を巡り5つのアイテムを集めた俺たちは、大司教を倒すための重要なアイテムを手に入れるべく、かつての魔王城へと向かった。


 数百年前、世界をセンシティブで覆い絶望の淵に落としめた魔王の居城は、今は見る影もなく朽ち果てており、さながらゴミ屋敷のようになっていた。


「私はかつての魔王の子孫、カイセージポルキンだ」


 そ、そーすか……。すごい名前だな、おい。


 そのカイセージポルキンと名乗る男は、子供部屋に半世紀以上も引きこもっている氷河期おじさんのような貫禄のある姿をしていた。


 こいつの前では、俺やトンズラでさえざこに思えてくるほどだ。そしてこいつも、俺らと同じように日本から転生してきたのだろうか。


「お前たちは勇者パーティーのようだが、なぜここへ来た? 見ての通り私は魔王ではない」


 いや、ある意味で魔王のようなおぞましさはあるけどね。


「かつて魔王だった私の先祖は、ことのほかエロを憎んでいた。エロは人間を堕落させ、引きこもりおじさんを大量生産する。そこで私もエロを憎み、このようにひたすら禁欲生活を送っている」


 え、そうなの? じゃあ、そんなにも長い間引きこもって一体何をやってたわけ??


 ていうかあんた、エロを憎んでいるくせに結局引きこもってるやん。


 魔王の子孫というからどんな極悪非道なやつなのかと思ったら、予想に反してただの引きこもりおじさんだった。むしろ、このライフスタイルからすると仙人のようですらある。


「ここに来たのはあんたと戦うためじゃない。邪悪な大司教を倒すための重要なアイテムをもらいに来たんだ」

「重要なアイテムだと? それは我が家に伝わるこれのことか?」


 カイセージポルキンは懐からおもむろにUSBを取り出した。


 え、そんなのが大司教を倒すための重要なアイテムなの?


「我が家の言い伝えによると、この中にはその身を破滅させるメスガキのわからせ画像が収められているという」


 USBの中身はそれかよ! た、確かにそれは身を滅ぼすな。


 正直、そんなヤバいブツを持っていたくはないが、大司教を倒すためならばやむを得ない。


「そのUSBを俺たちに渡して欲しい。もちろんタダでとは言わない。これらと引き換えにということでどうだ?」


 俺は世界各地で集めたメスガキにまつわるアイテムを取り出して見せた。


「こ、これは……!?」


 カイセージポルキンはそれらの品々を手に取ると、目を血走らせ鼻息を荒くしだした。長年禁欲生活を送ってきたのだから、メスガキの品々の破壊力に興奮するのも無理はない。


「こ、これらを私にくれるというのか?」

「あぁ、全部やろう。好きなように使ってくれていい。それらでお前が少しでもメスガキに目覚めてくれたなら俺としても嬉しい。それと、とっておきのこれもやろう」


 俺はカイセージポルキンに近寄ると、一片の紙切れを取り出してそっと耳元で囁いた。


「これは永久凍土の洞窟に住むメスガキがよく使っているSNSのIDだ。こいつはかなりのビ〇チだから、連絡を取ればすぐにわからせることができるぞ」

「そ、そうなのか!? だ、だが、本当にいいのか? 私みたいな何十年も引きこもっているおじさんが連絡などしても……」

「な~に、大丈夫、大丈夫! こういうメスガキは、お前みたいなおじさんがわからせてこそナンボってもんだ。それに、これまでずっと禁欲生活を送ってきたんだ。これからの人生は思いっきりはっちゃけたってバチは当たらないさ!」


 俺は応援の意味も込めてカイセ―ジポルキンの背中を大きく叩いた。すると、本人もすっかりその気になってきたようだ。


 こうして俺たちは、5つのアイテムと引き換えに《メスガキのUSB》を手に入れた。


 後で風の噂で聞いところによると、カイセージポルキンは本当に氷河の女神をわからせようとしたらしいが、逆にこっぴどくぶちのめされたという。


 まぁ、俺みたいに《わからせ棒》がないとそりゃそうなるわな。

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