第3話 メスガキな兵士をわからせた!

「な、なんじゃと!? ロスジェーネ王国が、幼女を崇拝する邪教の大司教タンジュンショージの軍勢に攻められたとな??」

 

 謁見の間にコドジア王の声が響き渡った。


 何やら緊急事態だということで、俺は無理やり部屋から出されてここに連れてこられている。


「そ~なんですよ~♡ だから~、コドジアの王様に助けて欲しいなってうちの王様が言ってました~♡」


 な、何だコイツ、それが助けを求める者の態度なのか?


 ていうか、国王に対しての口の利き方よ。無礼にも程があるだろう。


 隣国ロスジェーネが寄越してきた使者は、あろうことかとんでもないメスガキ臭の漂う兵士だった。


 見た目はJKくらいで、むっちむちなエロい体に防御力をまるで無視した、露出度の高い武具を身につけている。


 国王である俺の親父は、そんなメスガキ兵士に鼻の下を伸ばしてデレッデレな様子だ。


「よ、よし、わかった。我がコドジアとロスジェーネは兄弟も同然の国じゃ。すぐに助けに向かおう」

「あざ~す♡」

「聞いたか、息子よ。ロスジェーネを救うため、さらには邪悪な大司教を倒すため、すぐに旅立つのじゃ」

「え? 嫌です。私はこの通りただの引きこもりです。そんな私に、城から出て冒険ができるとでも思っているのですか?」


 そりゃまぁね、今の俺はレベルカンストしてるから、そこらの魔物なんか目じゃないし、大司教ってのも余裕で倒せるだろう。


 だが、俺は部屋から出たくない! だって冒険なんて面倒臭いし、何より外に出たら人の目が怖いんだよ。


 みんな俺のことをゴミを見るような目で見るんだ。こればかりは前世からのトラウマだからどうしようもない。


「そう言わずに息子よ。いい機会だから、勇気を出して城の外へ一歩踏み出してみようではないか」

「え~、王様~♡ そんな使えない引きこもりの王子様を寄越されても困るんですけど~♡ そんなざこより~、さくっと軍隊送ってくださいよ~♡」

「い、いや、そう言われてもだな、軍隊を送るにも時間がかかるしのう。その前にまずは息子を……」 

「ったく、つっかえね~王様だな~♡ ざ~こ♡」


 メスガキ兵士はあろうことか、国王であるうちの親父をざこ呼ばわりしやがった。


 キレていい。これはキレていいぞ、親父!


 と思って親父を見ると、ざこ呼ばわりされてむしろ喜んでるじゃねーか!


 さらに図に乗ったメスガキ兵士は、俺に目を向けると蔑んだ笑みを浮かべた。


「ねぇ、王子様ってさ~、日本から来たっていう氷河期でしょ?♡」


 ちょ、おまっ、なぜそれを!?


 謁見の間にいるみながざわつきだした。


「あたしってさ~、こういう勘は鋭いんだよね~♡ つーか、見た感じクソざこだからすぐにわかるし♡ ざ~こ、ざ~こ♡」


 こいつ、よくもこんな大勢の前で……。


 わからせてやる! このメスガキ、絶対にわからせてやる!


 だが今ここで《わからせ棒》を使うわけにはいかない。それなら……。


「父上、先ほどの件ですがお引き受けします」

「おぉ、引き受けてくれるか! それでこそ氷河期の勇者の血を受け継ぐ我が息子じゃ!」

「うわ~、マジか~♡ ありえね~♡」

「まぁそう言うでない。軍隊も後から送ろう。とりあえず、今日のところは下がってゆっくり休むがよいぞ」

「しゃ~ね~な~、わかったよ♡ じゃ、そういうことでよろ~♡」

「あ、父上。使者の方は私が客室まで送ります。旅立つにあたり、大司教のことについてなども詳しく話を聞きたいので」

「そ、そうか。う、うむ。では頼んだぞ、我が息子よ」


 こうして俺は、メスガキ兵士を伴い謁見の間を辞したのだが、そのまま客室ではなく俺の部屋へと連れ込んだ。


「うわ~、何だこの部屋~♡ ちょ~汚ね~じゃん♡ しかも何かイカくさ~♡」


 お前も俺の部屋をイカ臭いって言うのかよ! 


 あのメスガキメイドめ、ちゃんと部屋を掃除しとけって言ったのに。


 まぁいい。それより、今はこのメスガキ兵士だ。


「もしかして、ここって王子様の部屋?♡ あたしを連れ込んでどうしようっていうの~?♡ ま~ヘタレなざこ王子にはな~んにもできやしないか~♡」


 いいだろう。お前がざこだと罵ったこの俺が何もできないかどうか思い知らせてやる!


 俺は《わからせ棒》を使った。


「は? ちょ、やめろ、触んじゃねーし、ざこ! ……きゃあ!」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「ふぉお゛お゛お゛お゛お゛……、やだっ♡ んあっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ だめっ♡」

「あ~! 王子様ったら、私がいない間に他の女連れ込んで何やってるんですか~!」


 メスガキ兵士をわからせているところへメスガキメイドがやって来た。


「も~、クソざこのくせに油断も隙もないんだから~♡ 私もわからせてくださ~い♡」


 メスガキメイドがおねだりしてきたので、俺はこいつにも《わからせ棒》を使った。


「ほぉあ!? あ゛あ゛あ゛……♡ ッあ♡ おっ♡ おっ♡ んおっ♡ あっ♡ あっ♡」

「だめぇ~♡ あたしにも~♡ ほおっ♡ あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ ふぉあ♡ あっ♡」


 こうして俺は、二人のメスガキに《わからせ棒》を使って徹底的にわからせたのだった。


「ふ~ん、ただのクソざこ王子かと思ったら案外すごいじゃない♡ それじゃ~、援軍の方も期待してるね~♡」


 メスガキ兵士はまだもの欲しそうな顔をしていたが、もうお前に用はないとメスガキメイドに客間へと送らせた。


 その夜、うちの親父がメスガキ兵士の部屋へ忍び込んだらしいのだが、こてんぱんに打ちのめされたという。

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