第5話 近藤先輩のあの合言葉
ー土曜日の午前7時より前ー
朝早く起きた僕はシャワーを浴びて着替えた。
何時かって?5時には目が覚めてたよ。
今日が楽しみすぎて睡眠時間が5時間くらいになった。
さすがに朝早すぎるため、はじめは2度寝でもしようかと思った。
だが、準備をしているとあっという間に8時になった。
「そろそろ出るかな」
僕は集合場所のよもぎ駅へ歩き出した。
――よもぎ駅前――
「流石にはやすぎたかな?」
駅前の時計を見ると8時20分。うん、はやすぎたな。
「お~い」
可愛い声で背後から声をかけられた。
「近藤さんおはよう...」
言いながら振り返ると、そこには昨日とは比ではないぐらい
可愛い格好の近藤さんの姿があった。
「...可愛い(ボソッ)」
「え?」
「あ、いや。はやいね」
「あはは、なんだか昨日は寝られなくて。
ささ、お店行こうか」
「だね。えっと、今日行くのは和菓子屋のさくらだったね」
「うん。何食べる?私はやっぱり餡蜜かな~」
「僕も餡蜜にしようかな。この間おすすめされたからたべたいな」
「でも、清水君が甘いものが好きなの以外だな~」
「そう?」
「うん。ちなみになんで甘いものが好きなの?」
「う~ん...しってる?食べ物には魔法があるんだ」
「ま、魔法?」
「そう、その中でも僕は元気を与える甘いものが好きなんだ」
「へぇ、魔法かぁ~。なんかいいね!」
そんな他愛もない話をしていると、さくらに着いた。
いかにも歴史があるような木造建築でそれでいて綺麗に整備されている。
中からは餡子の甘い香りが漂ってくる。
「着いたね~」
「近藤さんはよく来る?」
「うん、もう常連さんだよ?
「え、すごい!」
「ふふん!先輩と呼んでもいいんだよ?」
「楽しみです、近藤先輩!!」
「ふふふふふん!」
よし!近藤さんはやはりすごい!
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「餡蜜を2つください」
「かしこまりました。少々お待ちください」
近藤先輩は普通に注文をする。
いや、近藤先輩。そこは格好よく
心の中で叫ぶと、
「こちら餡蜜2つです」
はやくない?さっき注文したよ?カップラーメンもできないよ?
「ふ、ふ、ふ~。清水君、ここは注文したら大体のものは3分以内に届くんだよ」
さすが近藤先輩だ、この店のことはなんでも知っていそう。
「物知りですね」
「いや~、それほどでもあるかも」
二人で2日分くらい笑った後、餡蜜を食べ始めた。
「美味しい!」
お餅に塩気があり、甘い餡子とよく合う。
甘いが甘すぎない。これは人気だろう。
「ん~、やっぱり最高!」
近藤さんがうっとりとした顔で言うので僕はドキッとした。
「ん?どうしたの、清水君」
「い、いや、なんでもないよ」
その後、黙々と近藤さんは表情でおいしさを語りながら、
あっという間に餡蜜は消えていった。
「ふう、おいしかった~」
「だね。近藤さん、」
「ん?何?」
「今日はとっても楽しかった。誘ってくれてありがとう」
「ううん。私もすごく楽しかった」
「また誘ってね、近藤さん!」
僕は無意識のうちに次の約束をしてしまった。
後悔はないが。全くないが。
「う、うん。また、連絡するね」
それで今日は解散した。
――部屋でゴロゴロ中――
ご飯の後、自分の部屋でゴロゴロしているとスマホがピコン!と鳴った。
急いでスマホを開く。
” 明日、
先輩からのお呼び出しを受けた僕はテンパったせいか
” 待っていてください。必ず向かいます”
と、なんか王子様みたいな返信になってしまった。
僕は恥ずかしすぎて枕に顔を沈め、ジタバタした。
追伸、今日は早く寝ました。
――――――――――――――――――
乙女な清水君でしたね。
さて、5話の近藤先輩いかがでしたか?
お気に召して頂けたら♡、☆で応援宜しくお願いします。
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