第7話

翌朝、私は爽やかな気分で学校へと向かった。


“昨日のすき焼き美味しかったなぁ。きっとそろそろ学校でも小夜子さんの力の効果が出るはず!”


私はそう思いながらルンルン気分で教室に入り席についた。


チャイムが鳴り先生が教室に入ってくると、先生が開口一番「おはようございます。今から席変えをしまーす!」と言って、くじ引きが入っている箱を取り出した。


あまりにも急な席変えに教室内がザワザワする中、先生は一番前の端っこの席の子にくじ引きの箱を渡し、「どんどん引いて次の人に回していってくださーい!」と言った。


“やった!これで仲良しだった3人と離れて一人ぼっちの現状から逃れられるかもしれない!小夜子さんの力のおかげなら、もしかしたらまた3人の近くの席になれるかも!”


私にくじ引きの箱が回ってくると、私は3人と席が近くなる事を願いながらくじを引いた。


クラス全員に箱が回ったところで、先生が「それでは皆さん、くじの中を見て席を移動してくださーい!」と言った。


私はドキドキしながら恐る恐るくじを開いて見た。


“17”


私は荷物を持って黒板に貼られた座席表を確認し、17番の席に移動した。


すると紗菜、佳菜子、舞衣の3人も私の近くにやって来た。


「え、もしかして優花の席そこ!?」


そう言いながら佳菜子が私の右隣に座る。


「え、凄い!また席隣じゃん!」


そう言って紗菜は私の左隣に座った。


「やったね!これでまた話せるよ!」


舞衣は私の前の席に座った。


これぞまさに奇跡である。


私達4人は手を取り合いながら「凄い凄い!!」と言って喜びを分かち合っていた。


私は嬉しさでいっぱいになり、小夜子さんに心から感謝した。


しかし、なぜか急に紗菜、佳菜子、舞衣の様子が氷ついた。


“あれ?3人ともどうしたんだろう?”


3人の視線は私の背後にある。


私は恐る恐る後ろを振り向いた。


すると、私の後ろの席には園田さんが座っていた。


園田さんは少し不機嫌そうな顔をしていた。


“そうか。小夜子さんにお願いを依頼した時に、「園田さんも一緒に」って言っちゃったんだ。園田さんとも少しはお喋りしなくちゃ…。でも、なんか機嫌悪そうで話しかけにくいなぁ。どうしたんだろう…?”


私は一時間目の授業中、園田さんの機嫌が悪い理由を考えていた。


“もしかして、ウチのお店にお客さんが戻ってきたから、その分園田さんのお店のお客さんが減っちゃったって事なのかな…?園田さんのお店、昨日の売り上げが物凄く低かったのかも…。


もしそうなら可哀想だけど、ウチも生活がかかってるから売り上げを落とすわけにはいかないもんなぁ…”


私がボーっと考えていると、紗菜、佳菜子、舞衣の3人が笑いながら「優花ってば、どうしたの?」と話しかけてきた。


「いゃ、ちょっとボーっとしてただけ。」


私が我に返ってそう答えた。


その会話をきっかけに、授業中でも合間をみて4人で会話をしたり、顔を見合わせて笑ったりと、以前のような楽しい時間を取り戻していた。


“学校でこんなに楽しく過ごせるのも久しぶり。小夜子さん本当にありがとう。”


私は幸せを実感しながらその日の授業を受けていた。

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