第3話

ドアを開けると、チリンチリンとベルの音が鳴った。


お店の中も外観と同様に可愛らしい雰囲気が漂っている。


沢山の小さなカゴの中で何かがキラキラと輝いているのが見える。


近くに行って確認してみると、色とりどりの石達が入っていた。


カゴごとに種類が分けられているようだ。


他にも大小問わず、様々な大きさや形の石が飾られている。


丸みのある石や綺麗な球体の石、さらには形を整えていない自然な形のままの石もある。


“ここは石屋さん…???”


パワーストーンという物を知らなかった私はとても不思議な空間に迷い込んだような感覚を覚えた。


石以外にも“ホワイトセージの葉”という物や“オルゴナイト”という円錐形やピラミッド形の不思議な置物も陳列されている…。


私は思考が停止し、綺麗な石を見ながらただただ感動していた。


すると、奥から“コツコツ”と女性の足音が聞こえてきた。


「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」


スカートの部分にふんわりとボリュームのあるワンピースを着た可愛らしい女性の店員さんが笑顔でそう声をかけてきた。


お店のメルヘンチックな雰囲気によく合った、おとぎ話の中に出てきそうなお洋服を着ている。


名札には『店長 小夜子』と書かれている。


「すみません、私、道に迷ってしまったんです…。ここが何処なのか教えてくれませんか…。」


何かを買いに来たお客さんではない私は、申し訳なさそうにそう言った。


小夜子さんは「あらあら…。」と言った後、笑顔で「分かった!こっちに来て。」と言ってレジの近くへ案内してくれた。


そして奥にある棚の引き出しから地図を取り出し、私に見せてくれながらとても親切に道を教えてくれた。


私はホッとして泣きそうになっていた。


「ありがとうございました…。助かりました。」


小夜子さんに心からお礼を伝え、家に帰ろうとした時、ふとレジに貼られている手書きのポップに目が止まった。


『あなたのお願い事を叶えます☆一回5000円』


私はそのポップの内容に目が釘付けになってしまった。


“願い事を叶えてくれるの?お願いしたら、また前みたいに紗菜、舞衣、佳菜子と一緒にお喋りしたり下校したりできるかな…?”


私が真剣に考えていると、その様子に気付いた小夜子さんがこう言った。


「もしかして何か叶えたい願い事とかありますか?ご依頼してくれたら、あまり大きな声では言えませんけど100%叶えちゃいますよ☆…あ、でもあなた中学生よね?無理はしなくて良いからね!」


小夜子さんは言い終わるとウインクをした。


“まだお年玉も残っているし、道を教えて貰って何も買わないのも申し訳ないし…、ちょっとお願いしてみような…。”


私は小夜子さんに、ライバル店の事や友達の事を相談してみる事にした。




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