第59話 巨大な樽の内容に全員呆れかえるよね
「んで、この樽は何に使うんだよ」
キグナスが親指で並んでいる樽を指して、ホアマスはニヤリと笑う。
「上からエールだのビールだのをいれて置くと、冷やして出てくるんだと。他の酒は瓶でそこのカウンターに並んでるだろ?」
そこには、数々の美しい宝石と紛う瓶がならんでいてそれが全部酒だとしるとごくりと誰かの喉がなったのが聞こえた。
「ここじゃ、一杯と一本の単位でしか買えねぇから注意しろよ。後、その樽は一杯分ずつ同じ分量でしか出ない上で自動洗浄機能がついてるから上からビール入れる以外の事はしなくても衛生上問題ない様に作ってあるそうだ」
魔法と技術の複合で出来たその、酒を美味しく楽して飲む為だけの巨大な魔道具。
他にも、氷を大量に作る為の巨大なペンギン型製氷機も完備していた。
丸氷と氷山と四角と板から選べる様になっており、つまみで変更できる。
ボタンを押すと、ペンギンの腹が自動扉の様にあいて氷が出てくるそうだ。
試しに、部下にやらせてみると本当に氷が出て来たではないか。
「……凄まじいっすね、これだけでも」「果汁とかは別んとこでまた専用に色々設備があったぞ、風呂あがりはこれだー!! とか製作者のお姉さまは吼えながらさっきコーヒー牛乳?なるものを三瓶位あけておられた」
「そうですかい、んで領主様おススメとかはあるんですかい?」「お前はキツイのが好きだと言っていたろ、なら銀貨5枚だせ」「一瓶ですかい?」「一杯だ」
その瞬間嫌な顔をしながらも、領主がお前がその価値が無いと思うなら俺が今回一回に限り返金するこれが念書だと言われ。しぶしぶ、銀貨五枚をいれて。琥珀で魅惑のウィスキー三十五年モノと書かれたボタンを押すと丸氷にちっさいグラスに入ったそれが目の前に出て来た。
「この量で、銀貨五枚はぼったくりでしょう?」「そう思うなら、飲んでみろ」
瞬間、余りのうまさに意識がどっかに行くキグナスに領主がニヤリと笑う。
「もう一度、言えるか?これに銀貨五枚の価値がないと」
「……さーせん、この世にこんな美味い酒があるなんて」
「ビールとエールは銅貨三枚だ、そっちも試してみろ。ワシは……、ここのエールで心理を見た」
今度は、お金を入れてから良く冷えた美味しいエールと書かれたボタンを押す。
「これは、俺達の街で今まで酒場で飲めたジョッキ一つで銅貨二枚のエールをこの樽に入れただけのもんだ」「だから、これは俺達の見慣れたジョッキで出てくるんすね」
そう、ピッチャー紛いのどでかいジョッキにナミナミと入ったそれを口にして。
「なんじゃこりゃー!!」「そう思うだろ」「あの樽に入れてその加工賃で銅貨一枚取るなんてぼったくりと思ったがここまで変わるもんなんですか?」
「売れるだろ?これは」「これで売れなかったら、俺ら何うりゃいいんですかい。革命ですよこれ、ただこれはこの魔道具欲しがる奴は多いでしょうね」
「カイウェル様は、鈴様のお姉さまに依頼するのはやめておけとおっしゃってはいたがこれだけのモノが作れるとなれば他の貴族は黙ってないだろうな」
「ピーチクパーチクあることない事いうだろうな、そして逆鱗に触れるとどうなるかはお前らが一番よく知ってるだろう?。カイウェル様は、あれを知ってるからこそうかつな事はするなと釘を刺してこられたのだろう」「俺らの下っ端は、とんでもない方の調味料取ろうとしたわけだなぁ」
しみじみとしている、おっさん二人の真後ろで当人であるササラはコーヒー牛乳に飽きてフルーツ牛乳の三本目に突入していた。
そこへ丁度、鈴とカイの二人もお風呂からあがってササラの方へ歩いていき三人で笑いながらフルーツ牛乳で乾杯の真似事をして笑っていた。
「労働の無い異世界はさいこーじゃー! 好きなものだけ作って生きていくよー」
「姉さん、どんだけ元の世界に未練がないのよ……」「しかし、相変わらずヒノキ風呂といい魔道具といい良いもの作るよなぁ」「私は、朝昼晩と遊んで暮らすんだ!!」
「「「乾杯っ!」」」
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