第58話 おっさん達が内部設備を見学するよね
ホアマスが、一番最初に連れて来たのはマッサージチェアが並んでいる部屋。
ちなみに通常版とどM版とそれぞれ表記されており、通常版は腕もみ、足もみ、肩もみなどがついて更に足つぼ等もあり手元でひんやりシートからぬくもりシートまで変更できて更にもみ加減や叩き加減も四十段階から選べるかなり本格的なマッサージチェアが三十台。注意書きには必ず加減はゼロから初めて下さいとでっかい字で書いてある。
どM版はそれが椅子ではなく、拷問器具に美男美女が怪しいマスク来たマリオネットが貴方の疲れをときほぐし怪しい性癖を満足させますとの看板が……。
思わず、おっさん達は心の中で突っ込んだ。
(こんな大衆浴場でこれを誰が利用すんだよ!!)
椅子の横に、銅貨を入れる場所があってストックは五枚まで十分一銅貨。
飲み物と食べ物を摂取しながらの利用不可など、判りやすくルールが書いてあった。
「こんなんで疲れが取れるんですかい?領主の旦那」「あぁ、この魔道具一応領主として両方試したが疲れはちゃんと取れる事は確認済だ。体が雲のように軽くなり、二十年は若返った心地……。なのだが、やはりどM版を叩き壊してこの通常版をもっと導入して欲しいというのが本音だがな」
ホアマスが苦笑しながら、案内を続けた。
次に、このフードコートだ。鈴様のお惣菜屋を始め、お前らが働くなら多分こっちがメインになるだろう。この街、唯一の酒場であるトッテムにはワシから伝えてある。
後、ここの二階以降は従業員専用の宿になっているそうだ。
「もし、ここで働く人間に住まいが用意出来なければ使ってくれとカイウェル様から言われているのでな。とはいっても、正直ワシが住みたいが。後、カラオケステージと相談用個室以外での大声は禁止だ。通常に話す位は構わんが、テーブルが赤く染まる位の声だとヤバい」
ちなみに、領主と王家の家紋両方を入り口に飾り変な商人が来たら叩き出しても構わんそうだぞ。あくまで、ここは疲れを取りにきたり楽しむ為にあるのだと、くどい位カイウェル様はおっしゃっていた。
「まぁもっとも、うちの領地にも作ってくれと王家に苦情が殺到するだろうがなふはは!」
高笑いしながら、次々に案内していくが領主はすこぶるご機嫌だ。
「俺らも働く場所が出来るし、結構いいとこだって聞いたんですが。実際、お惣菜屋でしたっけ大盛況で待遇も信じられない位良かったって聞きましたよ」
「カイウェル様は、バカではあるがお優しい。鈴様もな、危険なのは鈴様のお姉さまだけだ」キリッとした真顔で領主が断言した。
「うちのもんが、そのお姉さまから胡椒取ろうとしたせいでここら一体の建物は吹き飛ぶ事になりましたし。外のモンスターの大群は騎士の全身甲冑のデカいので蹴散らしてましたし……ってルール違反するとあれが出てきて叩きだすってマジかよ!」
領主はゆっくりと頷き、人間サイズではあるが間違いなく本物だそうだぞと言った。
「おう、お前ら少なくともこの建物の中では絶対無体は働くなっ!今度は建て直しもしてもらえないし、領主公認の場所でんな事やったらこれもんだぞ」
首をトントンとやる、アウトローのボスと苦笑いの領主。
「俺が首を取る前に、この世の地獄を全部体験して殺してくれっていうから大丈夫だ」
(それ、大丈夫じゃねぇよ)
さて、設備だが水とお湯が無限に出たり。メンテナンスフリーだったり、実にさまざまにおかしいものが一杯あるわけだが……。
領主とキグナスが、一つの蛇口付きの木樽の前にやってきて言った。
「俺が思うに、この設備で一番もめごとになりそうなのはこれだ」
酒場予定地、カウンター席とテーブル席とお座敷席と分けられたそのスペースにあるやたら存在感のある樽が中央にドカンの並べておいてあるではないか。
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