第51話 帰って来たら周りからドン引きされたよね
「たっだいま~ってあれ?」黒いゴーレムのまま街に歩いて帰ろうとして、周りが逃げ出そうとしているのが判る。
「師匠、多分この最終術式が怖いんだと思うぜ?」
「あっそっか!」「あっそっか、じゃねぇよ……」
そういうと、椅子に座らせて腕置きについてるスイッチを押させる。
椅子が下にエレベーターの様に下降し、足の踵付近の出入り口から全員が出たのを確認すると。全ての杖を、アイテムボックスにしまってフィンガースナップを一つ。
それで、嘘の様に術式が消えた。
残っているのは、惨劇の後だけ。
「戦争にはだるいから行かないけど、妹に何かあったらあれで城吹っ飛ばすからヨロシコ♪」笑顔で宣うササラにカイも「そのときゃ、俺も一緒に行くぜ」
「「肝に命じましてございます!(そうなったら、辞職して逃げよ)」」
騎士二人の、心と台詞が一つになった瞬間だった。
「カイくーん、姉さん~」城壁の上で、鈴が叫んで手を振っている。
その横で、お惣菜屋を手伝っていた子供達と元アウトローも手を振っていた。
ちなみに、子供達はまるでヒーローでも見ている様な顔で。アウトロー達は、シエルを筆頭に脂汗を流しながら顔面蒼白でヤケクソ気味に。
「ただいも~」「ただいま、鈴さん」それぞれが手を軽く上げてそれに答えていた。
「祝勝会がしたいであります、妹よ~」「姉さんの大好きな、高級黒牛沢山用意したわ~。カイ君のもあるわよ」
カイ無言でガッツポーズ、その場で膝をついてサッカー選手の様に両手を握りしめながら空へ掲げた。
(カイ様があんな悦び方をするなんて、どんなものなんだろ)
それを見て、近衛騎士は思う。
「あれ? そういえば、なんでみんなそんな引いてんの?」「姉さん……、さっきまで大暴れしてたじゃない。それが原因でしょ~」「やだなぁ、ご飯の邪魔とかしなきゃ私がどうこうする訳ないじゃないやーねぇ」
「アウトローの皆さんも、姉さんの邪魔しないわよね?」
笑顔で尋ねる鈴に、超高速で首を縦に振る。
「そういえば、お惣菜屋さんは?」「お客がみんな逃げちゃって、臨時休業よ」
「そっかー」「じゃ、俺達は米炊かなくてもいいな!」「風呂行こうぜ~」「さんせー」
「そういえば、あれはあるの?」「姉さん、あれ大好きよね~」
「皆の衆、この街にお風呂屋さんある?」「こっちだよー」
熊獣人の男の子が、ササラのジャージを引っ張りながら答える。
お惣菜屋を手伝っていたアウトローと、子供達を引き連れて。
街中を堂々と歩く一行、ちなみに領主やギルマス達からの呼び出しはカイが風呂入ってくるまで黙ってろの一言で黙らされた。
「鈴さん、後でお散歩(デート)でもしましょう」「いいわよ、カイ君。後で、一緒に行きましょう。(買い物へ)」
二人が陽だまりの様に微笑むが、その台詞には若干のずれがあった。
「お邪魔な私は、しばらくバックレるから♪(手伝うの嫌だしぃ)」
「おう」「了解よ、姉さん」
そうして、全員でお風呂屋さんについたのだが……。
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