第49話 待ってましたってなるよね

「お待たせ」ササラのその声が聞こえた時、カイウェル達は回復と重症を行ったり来たりしながら。耐えに耐え遂に、その時が来た事を知る。



(イエローフェーズ:再装填、終末乃笛)



一際、蒼く太いレーザーがカイと騎士達を包み込んでそして三人が次の瞬間みたものは。


「師匠!」顔を真っ青にして頭から血を流し、鼻からも大量の血を流してそれを袖でぬぐいながら椅子に中央の奥の椅子に座っているササラ。


その両サイドの前側の両サイドに騎士二人、中央奥のササラの左隣の椅子にカイが座ってギャラルホルンシステムがフル稼働しているのを確認して、カイとササラが頷く。


ササラが地面にしいていた杖は、放射状にササラの椅子の背に刺さっている。


中央の窓から敵が見え、そこが巨大な黒い巨人の中であると騎士達が認識した。


「おい、手短に説明すんぞ。お前らは計器を見てて報告してくれ」


「計器ってこの眼の前にあるやつですか?」「あぁ、中央の一番どでかい横線がこいつのシールド残量と装甲だ。あれが無くならない限りこいつは倒されない」


「あれが無くなったらどうなるんです?」「空中にほっぽりだされてジエンドだ」


「「ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」」


「さっきのサイフォンが足元で機動してるから、敵が沢山くるうちはそう簡単になくならねぇよ」


「この数字なんです?」眼の前の、それを指さしていう「あぁ、そりゃ残弾数だな。それが0になると補充になってしばらく撃てなくなるから格闘で戦うしかなくなる、剣や盾も一応あるがそれも本数決まってるから注意しててくれ」


「了解であります」


「反撃開始だぁぁぁぁ!」


カイの声に呼応するように、背にある手が二つ両肩にのって砲身が伸びていく。


(黒雷霆:ブラックケラウノス)


それは、何処までも漆黒のレーザー。黄金の龍を纏った、その一撃がさっきまで傷さえつけられなかった竜に命中した……。そして、ガッツポーズ。


「いよっっっし」「カイ君、あいつやけど程度しかしてないみたい……」


「ぶっほ! マジかよぉ、これイエローフェーズだぞ」「あたしもちょっとドン引きしてる」そういって、青い顔のまま口を◇にして目から光がなくなっているカイとササラ。


「取り敢えず、凌ぐぞ……」「らじゃりました」


青のランプの上で右前足を真っすぐ斜めに伸ばして敬礼している猫のデフォルメキャラクタと黄色のランプの上で同じようにポーズをとって敬礼している。


赤ランプの上の猫は未だ、石炭をぶち込んでいる様なしぐさで動いていた。



「くんぞっ!」カイが叫んで騎士達もササラも真剣な顔で正面を見るともう目の前まで迫るドラゴンが怒りの形相で突っ込んできていた。



「木偶の分際でっ!」


「近接防御システムCIWS!!」


黒い顔の鼻の穴から、色々な武器の砲身の束が鼻毛の様に大量に飛び出してドラゴンの方を向く。


そこには、ゴールキーパーやファランクスそしてシーガードと言った武器が全てをガン無視して備わっていた。AK-630等もあり、鼻毛の一本一本が凶悪なガトリングガンで構成されよく見れば手や足の指も様々な武装の砲身に変わっていた。


「創造魔法で作ったものだから弾詰まりや、放熱は気にしなくていいからガンガン行くわよ。何としてもレッドまで持ちこたえなきゃ……」


騎士達は思った、「あれ?これ黄色状態でも俺達の騎士団なんか一ひねりじゃねぇのかな」と。


よく見れば、残弾数と言っていた場所は弾数じゃなく横バーで表示されブルーサイフォンでスタンピードのモンスターをエネルギーに変換する度回復し。ガトリングが弾を吐きだし続ける度に徐々にバーが減っていって往復しているのが判る。



「おい、師匠! 後何分だ?!」「後、ちょっとよ!」


がっぷり四つになって、力と力で正に拮抗した状態になっている黒ゴーレムのコクピットでミシミシと腕が潰されかけ。コクピットのあっちこっちから火花やら炎を噴き出しているそれを見ながらカイが焦ったように声を張り上げ。ササラが、悲鳴に近い形で答えた。


「ダメージが大きすぎて回復が間に合ってないぃぃぃ」「あいつが連れて来た、スタンピードのモンスターも殆どエネルギーに変えちまったしな」


正に両手がへし折れて、握り潰されて砕かれコクピットの警告音が鳴って赤と消灯を繰り返しながら正に止めを刺されそうになった時……。


赤ランプの上に居た猫の肉球が敬礼のポーズを取り、赤のランプが点灯する。



「「勝ったぁぁぁぁぁぁ!!」」ササラとカイの二人が爆発したように叫んだ。

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