第33話 ササラちゃんだってお説教されちゃうよね

「んふふ~、これでしばらくサブスクとカラオケ三昧ね。ブラック企業にこき使われてた時より、楽して生きていけるって異世界さまさまだわ」



※普通は言葉が通じなかったり何も無い所からだったりもっと苦労しそうですが、無かったら無かったでなんでも作りそうな人がササラちゃん。



「姉さん、おかえりなさい~」



軽く手をあげて、鈴にお金を渡す。


「はい、これ生活費」「ん?姉さん、これ何か倒してきた?」


「ちょっと、サイクロップスをちょちょいっと☆」


その瞬間、ササラの両方のほっぺをつまんでズームアップしていく鈴。



「いひゃいです、すずひゃん」


「姉さん、幾ら姉さんが強いからって前衛もタンクも無しにそんな大物は危ないでしょう?」


「あっ、それなら大丈夫。両手両足押さえて動けなくして、花粉症フルコンボで一歩も動かさずに倒したから♪」



「魔物に花粉症なんて利くの?」きょとんとなる鈴にどや顔のササラが説明した。


「魔物といえど、生物由来のモノであればアレルギーとかはあるはずよ。だって、アレルギーは体の撃退機構の過剰反応だもの。だから、一度かかってしまえば毒と違って解除はできないし。薬も効かないし、死ぬまで色んな汁が止まらなくなって。呼吸も何もかも不能になって倒れるわけ、相手が精神生命体やアンデットみたいな連中じゃなきゃ有効なのは当然じゃない」



仁王立ちでそう宣う姉に、鈴が額に手を当てて大きく溜息をついた。


「姉さん、昔からその頭脳をロクでもない事ばかりに使って来たけど。それにしても、それだと証拠が残っちゃうんじゃない?」


「普通の花粉ならそうだけど、創造魔法で再現しただけだもの。つまり、魔法解除したら花粉そのものは体内から消えちゃう感じよ?」



その姉の台詞に、今度は真顔で鈴が首を傾げる。


「あの、姉さん。これは確認なんだけど、それ人間にも出来たりする?」


「私の創造魔法は私が構造を深く理解して、具現化出来る程頭に焼き付いてるものなら大抵再現できるのは鈴が一番よく知ってるはずじゃない。答えは、YESよ」



そういえば、忍者屋敷の回転扉を地面に再現して逃げてたなこの姉はと思い出した。



「それ、ばれない様にしてね」


「それは大丈夫、紙袋みたいな結界の中に充満させて使うから。外からは、毒でもがき苦しんでるようにしか見えないわよ。私が薬も作るとこを周りに見せてたから、周りには薬品で倒した様にしか見えないって寸法よ!」


再び、大きく溜息をつくと。姉の両方のほっぺを、みょいんみょいん伸ばす。

証拠も残らず、解除も出来ない毒なんて厄介ごとの種にしかならないじゃない。



「とにかく、せめてカイ君にはどこ行くか位伝えといてね。私が行っても役に立たないけど、唯一の姉がいきなり行方不明とか嫌よ私は」


そういって、姉のほっぺから手を放し。姉も、流石に何も言わずに行ったのは悪かったかなとぺこりと頭を下げ。


「了解」とササラが応えて、二人で苦笑した。

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