第34話 三人揃って遠出するよね

「なぁ、師匠。サイクロップス、一人で倒してきたってマジかよ」



「ん?カイ君。私は、君程強くはないけどその位はおちゃのこよ?」


そういって、にっこり笑うササラ。




「はぁ~、相変わらずだなぁ。大方、サブスクの使いすぎてお金が無くなったとかなんだろうけど。だからって、サイクロップス日帰りで狩るかぁ?あれ、ギルドん中に貼ってある依頼じゃそれなりに強い方だぞ」



ササラはふっと苦笑しながら、所で後ろついて来てるあの騎士二人なんなのよと指を指す。


「「我々の事は気にせず!」」そういって、敬礼する騎士。



「あぁ、親父につけられたんだよ。鈴さんと国内周りたいって言ったら、もう太陽みたいな笑顔で我が国を知ってもらう事は大事だ。是非、案内してきなさいって馬と馬車と護衛の騎士までついてきたって訳」



「二人を邪魔してはいけないと、王妃様が騎士を精鋭にして減らす様にと」


それを聞いて、ササラが肩を竦めた。




「ふぅん、鈴。カイ君のご両親はもう完全に乗り気みたいだけど?」


肘で、妹をつついて。まんざらでもなさそうに顔を赤らめる鈴。




「まっ、妹が幸せなうちはいっか」



そういうと、馬車の屋根の上でごろりと横になった。



「相変わらず自由だな~」「姉さん、あんなんでも私の事を気にかけてくれてるから」




騎士が馬車をゆっくりと、走らせ始め。しばらく行くと、モンスターに囲まれるがササラが屋根の上からピットホールで全ての魔物の首だけ地面に出た状態にしてしまう。



それを、騎士とカイがあんぐりと口をあけてあきれ果て。



「あの、俺の出番は?」とカイが尋ねると「あれ、動けなくしてるだけだから倒したいならどうぞ~♪」という答えが返ってきた。



「あんな、無抵抗なの斬ってもカッコよくねぇだろがよ……」


「ウルフやゴブリン倒したって、お小遣いにもなりゃしないじゃない」


無駄よ、無駄とまた屋根の上でごろりと寝そべると本を読み始めてしまう。


その本を指さして、騎士がカイにあれはグリモア(魔導書)ですかと聞いたがカイは首を横に振る。


「師匠がそんな難しい本読むわけねぇだろ……」



月刊アイアンマッスル・ティルフィングや腐導フローレンスにショタフロンティアと書かれた表紙の雑誌達を見ながら、カイが溜息をついた。



「姉さん、少し本を買いすぎじゃない?」と鈴が苦笑しながら言えば、ササラは馬車だと退屈なのよ。まぁ、お金無くなったら又なんか適当にお金になりそうなモンスターしばいて生活費入れるわ。




騎士達も、あれ?これって実は野営以外暇なんじゃねとか思い始めた。



「隣の街シリフケまでは、この道沿いにいって四日位なはずです王子。その後は、ヤリキレナイ川を越えて途中でがっかり島により。心痛の道を進んで次の街であるマルデアホに到着します」



その地名をキリっとした顔と声でいう騎士に、思わずぶふっと吹き出し雑誌が飲んでいた飲み物でべっちゃべちゃに。


「どうされましたか?」「どうされましたか?じゃないわよ!!」


真面目な顔で尋ねる騎士にべっちゃべちゃになった顔を吹きながらササラが声を荒げた。

「申し訳ございません、お怒りの理由が判りかねます」


騎士の一人が丁寧に頭をさげ、ササラも苦笑しながらごめんなさいと言った。


「そりゃ、初手で聴けばそういう反応になるよな。俺も、道確認する地図見た時同じようになったし」


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※元ネタはトルコに実際にある地名です。(シリフケ)又、ヤリキレナイ川は北海道。がっかり島は岩手県、心痛の道はアメリカモンタナ州、マルデアホはアルゼンチンの首都の南にある観光地(興味のある人は検索ドゾー(=゚ω゚)ノ)

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