第10話 受付完了しちゃったよね
「よっこらしょ」そんなおっさんみたいな掛け声をかけながら、ササラが解体済みの素材を受付カウンターに置くと査定を始める冒険者ギルドの受付。
量が多かった為に、援軍と称して他の職員を呼びにいく。
「さてと、待ってる間暇ね~」
そんな台詞を言って周りを見渡すササラ、苦笑しながらカイと鈴がその様子を見ていた。
「それなら、私ときゃっきゃウフフしましょ~」粘つくような笑顔でカイを見つめるゲイ先生。
(断りてぇ)
そんな事を思いながらも、苦笑だけして無言のカイ。
「おっさんキモイ」
なんの遠慮も無く、そう言い放つササラ。
「乙女におっさんは、いただけないわねぇ」
すわった眼で、キレ気味にササラを睨むゲイ。
「さっきみたいに、埋められたい?」
挑発する、ササラにゲイ先生が凄む。
「二度遅れは取らない、アンタこそ覚悟しなさいよ小娘」
「やるなら、訓練場行って下さいよ!」
受付嬢に怒鳴られて、肩を竦める二人。
「そうねぇ……、そうしましょうか」
そういって、ゲイが奥を指さす。
「このオッサンと遊んでるから、素材の査定終わったら二人とも呼びに来て♪」
輝く笑顔になるササラに、思わずため息をつくカイと鈴。
「おっけ~、終わったらそっち行くから」
そういって、手を振って送り出す。
そうして、しばらくするとゲイの悲鳴が受付にまで聞こえて来た。
「ねぇさん、絶対ロクでもないもの創造したわよあれ」
「一つ聞きたかったんだけど、師匠の創造魔法ってどんな仕様になってんの?」
「姉さんのは、自分が想像力で構築できるものならドラゴンだろうがモヒカンヒャッハーだろうが美男美女だろうが好き放題にMPが続く限り作り出せるって感じね。姉さんが実際に作れるものなら、武器でも行けたはずよ確か」
こんな小さい虫から、ビルよりでかいものまで耳と眼も共有できたり私が知ってるだけでもかなり応用範囲が広いのよね。
そういって、鈴が指でちっちゃさをあらわしたり全身で背伸びしながらカイに説明した。
「MPってマジックパワーって事か?」「いいえ、もうそうパワーよ」
急に、真顔になるカイ。
「MPが枯れると次にHPが消費されるの」「HPって命を削るって事か?」
心配そうな顔のカイに、これ以上ない程の輝く笑顔の鈴が言い放つ。
「変〇パワーよ、使いすぎるとすっごい真面目な真人間になるの」
「常に、使い切っててほしいですねぇ!?」
腐の元という秘蔵の薄い本で、チャージするらしいんだけど。
「チャージなんかしなくても、自前発電だけでも普段使いなら十分って言ってたわよ」
「俺、頭痛くなってきた……」「判るけど、姉さんは創造魔法無しでも十分強いから心配しなくても大丈夫よ」
カイは、師匠が負ける心配はしてねぇよと薄く笑う。
「お待たせしました~、査定が終わりましたので確認お願いします」
受付嬢がにっこり笑って、伝票をカイに出しそれを流し読みしたカイがサインをしてお金を受け取る。
「また後で、依頼探しにくる」
そういって、カイが奥の訓練場に向かって歩き出す。
そこで、カイがみたものは色とりどりのドレスを着た美女美少女。
「まともな男なら喜べるんだろうが、ゲイ先生には効果テキメンだったみたいだな」
そこには、美女達に膝枕されながら禿げにされた頭を優しく撫でられ。聖光の極光でも浴びたバンパイヤの様な悲鳴を上げながら生気とか色々なものが抜け、眼がくぼんで干からびたゲイ先生をドヤ顔で見ているササラが居た。
「私の創造魔法は、相手が嫌なモノや苦手なものをつくりだす事に真髄があるの。アンタみたいな判りやすいキャラに、私が負けるわけないじゃない」
(ですよねぇ~)
カイはそれを見ながら心で突っ込みをいれつつ、「師匠~、査定終わったって。これ、三等分した師匠の分」
革袋を掲げ、なるべく悲鳴はどうにもならないがその様子を視界に入れない様に努めるカイ。
「漢~、漢はいねぇが~。細マッチョで高身長で、イケメンの漢はいねぇがぁぁぁ」
野太い声で、その様な世迷言を言っている先生をバックにカイとササラは訓練場を去っていく。
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