第24話 研究所
リアライン研究所は普通の住宅やお店が並んでいる坂道の一番上にある。
その研究所の敷地内はまず手前に最先端企業のオフィスのような、建物があり、その場所は一般にもたまに公開されたりしている。
しかしその奥にあるちょっとした森に囲まれたもう一つの大きな建物の方は一般人の立ち入りは禁止されている。
一応レイラさんが手に入れてくれた研究所館内図でその奥の建物は研究棟と言って研究施設だということは確認できたが手前のオフィス館の様に館内の様子までは分からなかった。
だがおそらくその研究棟がリアライン研究所の研究者たちが研究をやる建物でそこにリアラインもいるのだろう。
僕たちは此処へ来る前に森の中から直接奥の研究棟へ行く事も考えたが、そっちの方がより警備用の罠が張り巡らされており、難しそうだったので結局この手前のオフィス館を通って、その奥にある研究棟に進む事にした。
僕たちはリアライン研究所の入り口を物陰から除いた。
「予定通りカウンターに二人の警備員が座ってるな」
レアンはリアライン研究所のカウンターに座っている二人の警備員の方を覗いた。
「作戦通りに行こう。いけるか?」
レアンは僕に尋ね、僕は「うん」と頷いた。
「じゃあみんな、これより作戦を開始する」
レアンはみんなにも作戦を開始することを宣言した。
それからレアンと僕は柵を超えて、無事研究所敷地内への不法侵入を果たした。
これで僕たちがこの研究所内にいる間は警備の人、旧型、新型ロボット関係なく見つかれば彼らが捕まえに来る。
絶対に見つかる訳にはいかない。
僕はレアンに続いてリアライン研究所の壁に向かって進み、壁にたどり着くと、そのまま壁伝いに研究所入口に向かって歩いた。
まず一番最初の難関は入口内のすぐ横のカウンターにいる二人の警備をどうするかだ。
そのため僕たちは事前に皆とこのリアラインの施設を突破するため、いくつかの作戦を考えてきた。
僕たちはこの難関を突破するためいよいよ一つ目の作戦を実行するのだった。
レアンは手袋をはめ、木の下の物陰に隠れ魂化し、二人の警備を見張った。
僕はレアンのスマホを施設の入口から右に曲がって少し奥の方の地面に置いた。
そして僕はレアンの側へ行き、レアンのスマホに電話をかけた。
静寂が漂う夜にレアンの置いたスマホから着信音が鳴り響いた。
二人の警備員は「何だ? 落とし物か?」と言った様子で、何か話している。
僕は着信の音楽が鳴り終わった後も、二回、三回とかけた。
するとしびれを切らした一人の警備員がイスから立ちこちらに向かって歩き始めた。
僕は少し安堵した。二人で一緒に来られていていたらもっと作戦を成功させるのが難しくなっていただろう。
歩いてきた警備員は外に出て、着信音楽が鳴り響いている方向に少し歩き、スマホを見つけた。
その後ろを魂化し、僕以外には見えないレアンが追う。
「誰だ、こんなところに落としたのは」と呆れたように警備員は呟き、スマホに向かって歩いた。
そして遂にスマホを拾おうと腰をかがめたところ、魂化していたレアンが現体化し、警備員に速攻睡眠作用がある薬品を含ませたハンカチで鼻と口を覆い、素早く警備員を眠らせた。
このハンカチに染み込ませた薬品もレアンが選んで武器庫から調達したもので、どうやら効果は抜群らしい。
「上手くいったな」
僕は少しほっとしていたがレアンは気を抜いていなかった。
「あぁ、もうひとりの方はどうなってる?」
レアンは僕に聞いた。
「動きは特に……いや、こちらに向かって歩き出した!」
僕はレアンにもう一人もこちらに向かってきたと伝えた。
「了解、オレが対処する。ノアルはこのまま見張りを続けてくれ」
レアンはそう言うなり再び魂化した。
二人目の警備員が外に出る。
「おーい、見つかったか?」
二人目の警備員は片割れの警備員の行方とスマホを探しているようだった。
その二人目の警備員が眠らされている警備員を見つけられる角を曲がろうとしたとき、レアンが背後から先程のように二人目の警備員を眠らせた。
「完璧だったな」
僕は最初の関門を突破できたことに安堵してレアンにそう伝えた。
「あぁ、みんなで考えた甲斐があった」
レアンも少しだけ気を緩めているようだった。
「この二人はリアラインを無力化した後、またイスに運んであげよう。それまでは少し悪いが、ここで暫く眠っててもらうしかないな」
僕たちは二人にむかって小さな声で「ごめん」「ごめんなさい」と声をかけた後、オフィス館内に入りカウンターにあるパソコンをレイラさんと無線しつつ、教えてもらいながら確認してみると、この館内のマップデータがあった。
僕たちはマップのデータをデータ記憶装置にロードし、それをスマホの端末にインストールし、レイラさんと共有した。
さらに調べてみると、監視カメラの映像がパソコンの画面に映っていた。
レイラさんはこの監視カメラの映像の先程の記録を消し、これからの記録を一定時間しないように設定する必要があると言った。
「此処からはいつでも反撃できるようにピストルも構えておいたほうがよさそうだな」
レアンがそう言って、僕達は武器庫から調達したピストルを構えた。
武器庫にはピストルよりも強力な銃はあったが、それらを持ち歩くと街なかで目立ちすぎるため僕たちは拳銃を選んだ。
「でもあの約束は絶対に守ろう」
僕達はアリスさんとした守るべき約束の事を確認し、管理室という場所に歩いて向かうことにした。
この建物はいわゆる業績が乗っている最新企業という感じで、特質して何か違うという感じではなかった。
僕たちが管理室へ向かう途中、何体か警備中のロボットを見かける事があったが、道を変更したり、ソファーやイス、壁に隠れたりして、上手くやり過ごし、進むことが出来た。
幸いレイラさんや皆が先程入手した館内の地図を使って、色々アドバイスしてくれたおかげで案外順調にその管理室という場所にたどり着くことが出来た。
僕たちは管理室へと入った。
管理室は数台のパソコンやそれのパソコンの画面を映すモニター、何かの機器があり、そしていくつかの監視カメラの映像が映っているモニターもあった。
僕たちは早速イスに座り、レイラさんに再び教えてもらいながらパソコンをいじり、先程の時間帯の監視カメラの映像の記録を消し、これからは記録しないように設定した。
「これでひとまずは安心だな」
とりあえず今の所は順調だ。
「あぁ、後はすぐそこにある出口を出て、奥にある研究棟へと向かおう」
今度は奥のリアラインがいるはずの研究棟へと向かわなければならない。
僕たちはこの管理室を後にして、少し先へ進むと出口があったので、出口を通って、無事この館内を抜け出すことに成功した。
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