第21話 撤退戦
その瞬間エネルギージェネレーターの動作が止まり、厳重に保管されていたエネルギー燃料が取り出せるようになった。
さらにオレたちが来る時に閉じていたドアも開き、辺りを照らしていた照明は消え非常照明に切り替わった。
エディさんは慎重に取り出せるようになった燃料が入っているカプセルを取り出しバッグに詰めた。
「よし、撤収だ!」
エディさんはみんなにそう呼びかけた。
オレたちのリアライン前線基地からデルタ基地までの撤退戦が始まった。
オレたちは来た道を全力で走り撤退していった。来た道なのでスムーズに移動することが出来た。
その道中には時折機能停止している警備ロボットが無造作に立ち尽くしていた。
そしてオレたちは何とか基地の出口を出て、基地の敷地内ではあるが外に出ることに成功した。
デルタ基地を出たときには暗い夜空だった空はいつの間にか夜明けが近づいているのかほんのり明るさを含んでいた。
しかしその瞬間照明が付く音が連鎖的に響き、前方の敵基地敷地内に照明が灯った。
オレたちが後ろを振り向くと敵基地にも明かりが灯っていっていた。
それはこの敵基地と敵ロボットの再起動を意味するのだった。
その意味を悟った瞬間オレたちは即座に物陰に隠れた。
その直後に直前まで機能停止し立ち尽くしていた敵基地内外の敵ロボット達が起動し、オレたちの姿を確認すると一斉に銃撃してきた。
オレたちもその敵の銃撃に応戦する。
激しい銃撃戦となり、あたりを無数の銃弾が飛び交った。
オレたちは基地から次から次に出てきて、襲い掛かってくるロボットと敷地内にいた敵ロボット達に挟み撃ちにされていたが、オレたちの撤退に気づいた狙撃手のエリィ姉さん達の援護射撃も合って何とか撃退していた。
それでも襲いかかってくる敵の数は予備戦力の投入もありますます増えていくばかりだ。
一応先程エディさんが車両の安全を確保させていた三人に姉さんたちを拾ってこちらへ来るよう伝えていたが、その後彼らが基地へと到着するのを待っていては間に合わずオレたちは全滅するのが分かった。
なにかアクションを起こさないと! そうオレが悟った時、同じくエディさんもそれを察し、そして決断した。
「みんな! これより敵中を突破する!」
エディさんはみんなに呼びかけた。
「作戦通りに16才以下の者は前方に! それ以外の者は後方に別れろ!」
オレたちはエディさんに言われたとおりに配置を移動できるだけ移動した。
十六歳以下の者が前方なのはまだ前方で敵基地脱出を図る道のほうが敵も少なく、車両が到着した時に優先的に撤退できるようにするためだ。
「前方の者は敵中を突破し道を切り開く! 後方の者は建物からの敵に応戦しながら撤退!」
エディさんはみんなに指示を出し、みんなも集中してエディさんの指示を聞いている。
「リアラインの戦力の多くはデルタ基地に出払っている! 奴が戦力をこちらへ向けてくる前に必ずレアンか、十六歳以下の誰か一人だけでもこの基地から突破させ、エネルギー燃料もデルタ基地に持って帰るんだ!」
エディさんは皆に命令を出した。
「了解!」
それにオレたち特殊作戦部隊の隊員もありったけの声を出して答える。
「行くぞ!」
エディさんが敵中の撤退戦の開始の合図を出した。
すると隊員たちも「おー!!」と呼応し、遂に敵中の中を突破を図る。
後ろはエディさんたちが守ってくれる。オレたちはなんとしてでも敵中を突破し道を切り開かなければならない。
行け! オレは十六歳以下の者たちの先頭にジャックと二人で飛び出し、彼らと共に前進した。
するとそれに気づいた敵もオレたちの退路を阻もうと銃口を向けてきた。
オレはまず右側の敵をヘッドショット一発で倒し、左の敵二体を合計八発で胴体に当て無力化した。
それから素早く遮蔽に隠れさらに右に見えた敵の銃撃から身を隠す。
そのオレを撃っている敵三体をジャックが銃撃し倒してくれた。
すると今度はジャックめがけて撃ってくる敵がいたので、ジャックは身を隠し今度はオレがその三体を銃撃し無力化した。
オレたちはさらに前進し敵を倒していく。ルイやライ、他の隊員たちも敵を無力化しながら前進していく。
その時、姉さんから連絡が入りどうやら味方の車両がそろそろ到着するためオレたちの援護を一度外し、基地へ着いたら再び援護すると連絡があった。姉さんの援護が一時無くなるのはきついがそうしないとここを脱出することは出来ない。
味方の撤収班が来る前になるべく基地の外へ向かって前進しておきたい。
オレたちは銃弾が激しく飛び交う中、姉さんの援護がなくなった後も何とか遮蔽物を利用し身を隠しながら敵を倒しつつ先に進んでいった。
一方のエディさん達の方を見るとエディさんたちもオレたちが前進した後にタイミングを見て退却、応戦を繰り返しながらなんとか後からの敵の攻勢を食い止めていた。
それでも敵の射線に気を配りつつ、敵を倒しながら前へ進むのは過酷だった。敵の弾が体のどこかしらに当たり、戦えてはいるが負傷をしている隊員も少なくない。
それでもみんな必死に前へと進んでいた。
そしてようやく基地の敷地内脱出までもう少しという所まで来た。
その時、味方の撤収班の三車両も勢い良く検問所を突破し、検問所付近にいた敵を車両から銃撃し倒してくれた。
それから彼らの車両はそれ以上先にはバリケードなどの障害物があって前に進めないようだったが、彼ら撤収班は車両を止め、降りて検問所付近の遮蔽物からオレたちが前進しやすいよう援護射撃をしてくれた。
そんな彼らの先頭には狙撃で援護してくれていたエリィ姉さん達の姿も合った。
いまがチャンスだ! オレたちは検問所付近にいる姉さんたちの元へ向かって走った。
そしてついにようやくたどり着いた。
「姉さん!」
「レアン! ジャック!」
オレとジャックは姉さん達と共にエディさん達がこちらへ向かって撤退できるように援護射撃をした。他の隊員たちもオレたちと同じように敵に向かって銃撃を浴びせ、エディさん達の撤退のサポートそしている。
エディさん達も敵の銃弾の中をなんとか掻い潜りオレたちのもとにたどり着きそうだった。
「十六歳以下の者から先に車両に乗り込め! それ以外の者は彼らの援護だ!」
エディさんはみんなにそう呼びかけ、十六歳以下の者たちは車両へ向かって走り出した。
「レアン、ジャックあなたたちも」
エリィ姉さんにそう言われ、オレたちも車両へ向かっている者たちへの援護を切り上げて車両へ向かって走り始めた。
その時後ろにいるエディさんや他の隊員たちが大声でオレたちに向かって叫ぶのが聞こえた
「グレネードだ! 避けろ!」
その声が聞こえた直後にオレの前方にある皆が向かっていた車両付近に敵の放ったグレネードが着弾し、凄まじい爆発が起こった。
その爆発と爆風は車両に向かっていた少年少女の隊員たちや車で迎えに来てくれた隊員たちを飲み込み、最後に遅れて向かっていたオレとジャックのもとにも迫っていた。
死ぬ。
そう思った瞬間後ろから誰かがオレたちの前に庇うように飛び出し、爆発からオレたちを覆うように抱きしめた。
「姉さん!」
オレとジャックとオレたちをかばってくれたエリィ姉さんは激しい爆風に吹き飛ばされた。
激しい耳鳴りが鳴り、視界がぼやけている。
「レアン、エリィさん」
オレの右に倒れていたジャックは体をなんとか起こしながらオレと姉さんの名を呼んでいた。
「オレは、大丈夫だ」
オレは倒れたまま、意識がはっきりしない中でもなんとかジャックの呼びかけに対して反応した。
しかし左横で倒れ込んでいるエリィ姉さんからは反応が無かった。
「姉さん」
オレは姉さんの元に這い寄り手を伸ばし、姉さんの体を揺すってみる。
姉さんの反応は無い。
「エリィ! レアン! ジャック!」
エディさんがオレたちのもとに駆けつけ、オレたちの容態を素早く確認した。
「エディさん、姉さんは?」
オレはエディさんに姉さんの安否を尋ねた。
エディさんは姉さんの方を見て、果てしない悲しみに襲われたような表情をしていた。
それは起き上がり、エディさんの隣に来たジャックも同じだった。
「ジャック、レアンを連れてデルタ基地を目指せ」
エディさんはジャックに指示していた。
「父さん……」
ジャックは動揺しているようだった。
「姉さんは、車両に向かってたみんなは?」
オレは今にも途切れそうな意識の中二人に尋ねた。
「車両に向かってた者たちの中で生き残ったのは君たちだけだ」
そんな。
「エリィも、死んでしまった」
姉さんが死んだ、オレたちをかばって。ルイ、ライもみんな死んでしまった。
「ジャック、ロケットランチャーを撃ってきたやつは倒したが、また出てくるはずだ」
エディさんはそう言って、さらに続けた。
「その前に一台残った車両にレアンを載せて二人でデルタ基地へ向かうんだ。良いな?」
エディさんはジャックに頼んでいたが、ジャックは今の状況に困惑し動揺していた。
「ジャック!」
エディさんはジャックに呼びかけた。
「頼む」
エディさんはジャックに頼んだ。
「了解」
ジャックはエディさんに向かって固く頷き、意を決し、オレを担いで走り出した。
エディさんは仲間にジャックを援護するように呼びかけ、エディさんも自身もオレたちを守るように横で敵に向かって銃撃を浴びせていた。
姉さん、エディさん、ルイ、ライ、みんな。
だめだ、意識が途絶える。
倒れている姉さんや隊員たち、今もなお敵ロボットと交戦しているエディさんや仲間たちの姿がゆらぎ、遠のいていく。
そしてオレの意識は途切れ、暗闇に落ちていった。
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