第19話 事情
朝食を食べた後はみんなでこれからどうするか話し合った。
そしてまずは研究所に侵入する前準備をするために、僕とレアンとアリスさんとレイラさんは地下にある武器庫に行くことに、ヒロと武器庫を開け終わったらレイラさんにもウイルスの準備をしてもらう事に、アルフとエディには保存食以外の物をそろそろ食べたいとの意見がみんなから多数出たので、僕たちが最初トンネルから出た時に見えた近くの町でレアンが頼んだ材料以外にも何か食べれるものだったりを買って来ることにした。
そしてそれらが終わったら研究所に侵入するための作戦を考えようと言うことに決めた。
「ここから地下に行くの」
アリスさんがそう言って、家のリビングにある一つのドアを開けた。
僕とレアン、アリスさん、レイラさんがその中へと入る。
その中は壁も階段も岩できていて、静けさに包まれており、薄い照明で照らされていた。
僕達は階段を降り、ある南京錠の付いた扉の前で止まった。
「ここ」
アリスさんは目の前にある扉を見て言った。
「開けられそうかな?」
アリスさんがそうレイラさんに尋ねると、レイラさんはドアに掛かった南京錠を見て、「アナログか」とつぶやき、顎に手を当てて考えていた。
「八桁の数字」
レイラさんは何か思う事があるのかそう呟き、アリスさんに尋ねた。
「アリスさん、おばあさんとおじいさんの誕生日って分かる?」
「えっ? えっと、祖母が七月二十日で、祖父が九月二十三日だったはず」
アリスさんがそう答えると、レイラさんは前に出て、南京錠のダイヤルの数字を回し始めた。
カチッと言う音がし、南京錠がのロックが解けた。
どうやらアリスさんのおじいさんかおばあさんかが南京錠のパスワードを二人の誕生日にしたいたみたいだ。
「誕生日にしてるとこういう事になるから。まぁ気を付けて」
レイラさんは僕達を見て軽く注意した。
「はい、気をつけます」と僕達はレイラさんにひれ伏す様に返した。
それから僕達は気を取り直し、アリスさんが扉のドアノブに手を当て、回した。
扉が開いた。
「すっげー」
レアンが扉の先の景色を見て呟いた。
それもそのはず、扉の中にはめったに見れない風景が広がっていたからだ。
僕たちはその中を物色した。まず、壁にはいろんな種類の武器、主に銃が壁に立てかけており、何かを作るための作業机も壁際にある。さらにその作業机の横にあるタンスを開けると、その中には爆発物や薬品、食料、衣服が種類ごとに丁寧に保管してあった。部屋の中心には机と椅子があり、作業机の逆側には台所や冷蔵庫などもあった。
僕たちはレアンを中心にその中から拳銃や手榴弾等必要な物を取って、再びみんなの元へと戻った。
それからレイラさんとヒロには研究所のハッキングをしてもらうことに、並行して残った僕たちはみんなでレアンが研究所に侵入してリアラインを破壊するための作戦を考えた。
そして昼過ぎの太陽が半透明のカーテンから家の中を照らすようになった時だった。
「やった! やったよ! レイラさんがやってのけてくれたんだ!」
ヒロが違う部屋で作戦を考えていた僕たちに良い知らせを持ってきてくれた。
レイラさんとヒロが研究所へのハッキングを成功させたのだ。
僕達は二人を褒め称えた。
ヒロの話によるとまずレイラさんがウイルスを予定通り作り、そのウイルスをヒロのおすすめの音楽データと一緒にお兄さんのメールに送り、丁度今お兄さんがそのウイルスも一緒についている音楽データをダウンロードしてくれたらしく、それでレイラさんのパソコンでお兄さんのパソコンに侵入できるようになったらしい。
「やっぱりちょっと悪い気はするけど、とりあえず兄さんがダウンロードしてくれて良かった」とヒロは苦笑しながらそう言っていた。
確かに、そもそもヒロのお兄さんのシンヤ博士がレイラさん達の送ったウイルスデータをダウンロードをしてくれなければ始まらないから、そこのところは運が良かった。
それからレイラさんも僕たちが作戦を立てていた部屋に来て、ヒロのお兄さんのパソコンに侵入して分かったことを話してくれた。
「そうね。一応、新型はダメだけど旧型のロボットの配置は分かるようになった。後他にも色々分かったことはある」
アリスさんはそう言って、続けた。
「でもおそらく私が侵入したケント博士のパソコンは事務用とかで分けてるからなのか、研究所でやっていることとか研究内容とかのデータはなさそうだったから。一応これからも調べるけどあまりリアライン研究所でしている研究の情報は分からないかも。ごめん」
レイラさんはそう言っていたが全然ありがたかったし、改めてレイラさんはすごいなと思った。
「いや、ロボットの配置が分かるようになっただけでも凄いし助かるよ」
レアンもやはりそう思っていたようでレイラさんにそう伝えてくれた。
「それなら良かった」
レイラさんは少し嬉しそうに微笑した。
「あっ、後ケント博士のカードキー情報もあったんだけど、かざすタイプのカードキーみたいだから」
レイラさんはそう言って彼女のバッグからカードキーを取り出し見せてくれた。
「これにケント博士のカードキー情報を複製すれば作れそうなんだけど、作ってみる? 多分研究所に侵入する時に使えるかも」
それはあったほうが良さそうだ。
「レイラさん、お願いします」
レアンはレイラさんに研究所に侵入するための偽のケント博士の複製カードキーの作成を頼んだ。
「了解」
レイラさん様々だ。
「本当、ありがとうございます」
レアンはレイラさんにお礼を伝えた。
それからレイラさんはそのままウイルスで侵入したお兄さんのパソコンから研究所やリアライン、タイムマシンに関する情報を調べてくれて、僕たちはレイラさんに感謝しながら彼女がもたらしてくれるそれらの情報を元にさらに作戦を修正した。
そして作戦を立て終わると、作戦決行のための準備をして、それが終わった後はみんなそれぞれ自由に過ごすことにしてゆっくり休憩していた。
僕はレアンが作戦決行時間の夕方に備えて仮眠を取ることにしたので、僕も同じく仮眠を取ることにした。
僕とレアンは仮眠をとるためにベッドの上で横になり、目を閉じた。
そして僕の意識はゆっくりと再び夢の中へと落ちて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます