第2話 選択 

 僕たちは家から出て坂道を下り、学校へと向かっていた。

 学校へ向かって先に進むほど大都会と言うほどではないが街の景色は賑やかになり、様々な高さ、装飾、種類の建物が立ち並んでいる。それに伴いどこかへ行き交う人々の姿や車の数も多くなっていった。

「一体オレは誰との戦争を止めに来たんだ?」

 レアンはうーんと考えながら僕の隣を歩いていた。どうやら本当に魂化しているレアンの姿は僕以外に見えないらしく、たまにすれ違う人とレアンはすり抜けることがある。

「ノアル、この街ならではの特徴とか無いか? もしくは話題なものとか。オレがこの時代に来たのには意味があると思うからさ」

 レアンは僕に尋ねた。

「この街ならではかぁ」

 僕は何かあったかなと考える。

 あ、そうだ。

「リアライン」 

 僕はポツリと呟いた。

「リアライン?」

「うん、それはこの街ならではで。世界でも話題なんだ」

 僕がそう伝えると、レアンはなるほどと頷き、また僕の方を見て尋ねた。

「そのリアラインについて教えてくれないか?」

「ちょっと長くなるけど……」

「頼む!」

 両手を合わせて頼んできたレアンに、僕はその『リアライン』の説明をした。

 それは四年前、天気雨が降っていたその日、突如この街の交差点のど真ん中に現れた。

 それは三メートル程の大きさで丸い球体の形をしており、濃いグレー色をした金属の様なもので覆われていた。

 幸い、その物体が現れた事による死傷者は出なかったが、当時その謎の物体についての情報、映像がテレビやネットを通じて拡散され大騒ぎになったのを覚えている。

 僕は実際に見たわけじゃないけど、その物体が現れた現場に居合わせた人の中には近くによって触ってみた人などもいたらしい。

 ただその物体が現れてから数時間後、政府の人々によってそれはどこかに運び出されたから、一般の人々はその物体を見ることも触ることも出来なくなった。

 数日後、政府は記者会見を開き、その謎の物体をどうしたのかと言う記者の質問に対して、政府の答えは政府主導のもとでたくさんの専門家たちを呼び、その物体を管理、解析していると答えていた。

 それから数週間の間、色んな憶測が飛び交い、宇宙人だと主張する人もいれば、政府の秘密兵器だという人もいて、色んな人々の間でその謎の物体は議論の的となっていた。

 そんな中、政府から発表があった。

 解析の結果、例の謎の物体はどうやらとても優秀なAIみたいなものだという事とコミュニケーションを取ることが出来、人類に協力しようとしてくれているという事までは判明したとの事だった。

 そしてその物体はリアライン研究所という研究所に在籍する事になった。

 それから数年間の間でその謎の物体とリアライン研究所の科学者達は様々な成果を上げる。

 彼らはリアラインシステムを作り、そのシステムをもとにロボットの開発やより強力なコンピュータ、便利なインターネットの開発等の成果を上げた。

 そのリアラインシステムの搭載された物は多くの人々が懐疑的だったのもあって、最初は普及するのに時間がかかっていたが、それでも民間、軍事、そして僕達一般人の元にだんだんと普及し、今では僕達の生活に欠かせないものになりつつある。

 そんな中で人々は謎の物体のことを『リアライン』と呼ぶようになった。

 これらの事を僕は一通りレアンに説明し、さらに「そのリアライン研究所はこの街にある」と付け加えた。

 正直、僕はもっと都会の方の研究所が選ばれると思っていたが、その予想に反してこの町の研究所が選ばれた。

 政府の勧めがあったのか、リアラインが選んだのか、何か事情があったのかは分からないがそのリアライン研究所には優秀な科学者達がいた様でリアラインとの共同作業も息ピッタリのようだから、結果的にリアライン研究所にリアラインが在籍したのは正解だったのだろう。

「そのリアラインと研究所がオレの任務に関係している可能性もなくはないよな」

 レアンはリアラインの事が気になる様だった。

「まぁそうだけど、もしリアライン関連の事が関係してるなら君の任務は相当難しいと思うよ」

「そうだよな」

 レアンは苦笑していた。

「そういえばさっきからロボットたちの姿を見かけることが増えたな」

 レアンが言っているのはリアラインとその研究所が開発した警備ロボットの事だ。それらは街の治安を守るために巡回して警備をしている。

 そのロボットは二足歩行で体格は平均的な大人の男性くらいだが、体は金属や他にも様々な素材が組み合わさって作られており、色は白か灰色のどちらかだった。

「ロボットたちはノアルの家の方よりも都市部の方が配備されている数が多いのか?」

 レアンは先程から見かける回数が増えたロボットたちを見ながらそう言った。

「そうだね。あの警備ロボット達は世界中で配備され始めてるし、特に都市部の方でその配備が進んでるみたいだよ」

 レアンはなるほどと頷いていた。

「そういえば最近、新型のロボットの配備も実験的にこの街で始まったんだ。この街はリアラインの研究所があるから、それでよくテストロボットが配備されるのかもしれない」

 もしかしたら僕達一般人用の市販ロボットももうすぐ作られるのかもしれない。

 ただ結局リアラインの正体が何者なのかは分かっていないから、危険だとしてリアライン研究所製の物に反対する人も少なくはない。

 そんな事をレアンと話したり、考えたりしているうちに、目的地の学校が見えて来た。

「レアン、あそこだ」

 僕は前方に見えるようになった学校を手で指した。

「おぉー」

 僕の学校は至って普通の高校だが、レアンは興味津々に目を輝かせている。

 僕とレアンの周りに僕達と同じように高校に向かって歩く生徒たちが増え始めた。

 僕たちも彼らと同じ生徒として学校へと向かった。


 僕は学校へたどり着くと、レアンと共に授業がある教室へと向かった。

 廊下を歩いてそれぞれの受ける授業がある教室へと行き交う生徒達の合間をくぐり抜け、僕たちが受ける授業の教室へたどり着くとそこには同じ授業を受ける生徒がちらほらいた。何か話している人達や一人でスマホを見たり本を読んでいる人達などそれぞれだ。

 僕は教室の後ろの端の方の席へ着き、ぼぉっとしていたが、魂化して僕以外には見えないレアンは興味津々に教室をウロウロ歩き回っていて、他の生徒達の話しを聞いたり、スマホや本を覗き見たりしていた。

 その間にさらに生徒達も教室に入ってきて、教室は賑やかになっていた。そして先生も入ってきた所で授業開始時間になり、今日の授業が始まった。

 授業中もレアンは先生の話を聞いたり、教室をウロウロして授業の様子を眺めていた。

 その間たまにレアンが喋りかけてきて、僕は独り言を言ってる変な人だと周りの人に思われたくなくて小声でみんなに聞かれないように返答するか、ノートにさり気なく簡単に書いてレアンの話しに答えた。

 それで集中力がとぎれる時はたまにあったけど問題に成るほどではなくて、レアンにとっては興味が引かれる楽しい時間だったのかもしれない。

 そんなこともありながらも僕は午前中の授業を受けきった。

 午前中の授業が終わると、僕達はまずトイレに向かって、レアンは個室で僕意外誰にも知られずに現体化した。

 現体化した理由はレアンが昼ごはんを食べれたいと懇願してきたからだ。魂化したままだとご飯は食べられないらしい。

 まぁこの学校は制服着用の学校じゃなくてみんな私服だから普通にしていれば、騒ぎでも起こさない限り、他の生徒にはレアンが部外者だと気づかれないだろう。

 それから僕は、現体化しみんなにも姿が見えるようになったレアンと食堂へ向かった。

 食堂は昼ごはんを食べに来た学生たちで賑わっていた。

 僕達は列に並び今日の献立を受け取った後、食堂の端の方の椅子に座り、昼ご飯を机に置いて、フォークやスプーンを使ってそれらを食べた。

 レアンは豪華なごちそうを食べるように学校の昼ご飯を食べている。

 そんな様子を僕が食べながら見ていたらレアンが僕にとってはそれなりに突き刺さる質問をしてきた。

「そういえばノアルはいつも他に誰かと食べたりするのか?」

 レアンはレアンなりに気遣って聞いてくれたのかもしれないが、聞く相手が悪く逆効果になってしまっている。

 僕はレアンの問に首を横に振った。

「そっか、まぁ一人で食べるのもゆっくり出来て良いよな」

 レアンの言う通り、別に僕は一人が嫌いなわけじゃない。ただたまには誰かといられたら良いなと思うこともあるかもしれない。

 やれやれ、と僕は軽く溜息をつき、再びレアンと昼ごはんを食べ進めた。


「あなた達のせいで!」


 何やら近くで言い争う声が聞こえる。

 僕とレアンはその声がする方を覗いてみた。

 そこには一人の少女がいた。

 少女がいかにも態度の悪い数人の男女と言い争いをしている。

 あの不良グループの人達のことは知っている。彼、彼女らは素行が悪いことで有名な人たちだ。

 彼らは大体気に食わないと思った人をいじめるか、独りの者をグループで苛める事が多い。

 そのターゲットは彼らの気まぐれで選ばれる。彼らから目をつけられて嫌がらせを受けている時は逆らわず、しばらく我慢するしかない。

 その間に出来ることはといえばなるべく彼らの視線に入らず、出来るだけ自分の存在を消すことぐらいだ。

 そうすることでまた嫌がらせを受けることは合ってもずっと執着していじめられることはない。

 環境のせいなのか、元からなのか、そうなるきっかけがあったのか、彼らが何故人を傷つけるのかは分からない。

 稀に彼らも気まぐれで優しさっぽい何かを見せる時はあるが気に食わない人は普通に傷つけても良いと思っている恐ろしい人達だ。

 彼らに逆らえばどんなイジメに、酷い目に合うか分からない。だから普通誰も逆らったりしない。

 でも少女は恐ろしい彼、彼女らに対して勇敢にも何か言い返している。

 あの少女は凄い。

 僕も彼らの様な人から酷い言葉を言われたり、軽い暴力も受けたことがあるが、僕はその時彼らに何も言い返せなかった。言い返せる勇気が無かった。

 ただ耐えて、傷ついてないフリをして、自分に大丈夫だと思い込ませるだけしか出来なかった。

 でも今、言い返している少女はまるで言い返せなかった僕の分まで言い返してくれているみたいだった。彼女自身にはそんな気はもちろんないだろうけど、ありがたかった。

 服装や外見だけから判断すると少女の方は穏やかで優しそうな雰囲気なのに。

 最初の方に「どうして」とか「あなた達のせいで」と少女が言っているのが聞こえた。おそらくは相当酷い事をあの不良グループが少女に対してやったのだろう。

 ただ今は一触即発の事態で、少女の身が危険だ。

「あれ、まずくないか?」

 レアンも険しい表情になっている。

「そうだけど……」

 まずいとは思う。このままじゃ不良の方に彼女は何かされるかもしれない。

 助けに行くべきか? でも僕に何が出来る? 何も出来ない。

 それでも助けに行ったほうが、いや無理だ。どうすれば……

 そうこう僕が考えているうちに少女と不良たちの言い争いはヒートアップしていった。

 その様子に先程よりも多くの人が気づいてはいるものの、皆自分達が巻き込まれることを恐れて、気づいてないふりをしながらも心配そうな表情でそのやりとりを見ている。

 食堂には少女と不良たちの言い争いの声だけが響いていた。

「オレはあの子を助けに行く、ノアルはどうする?」

 レアンは僕の目を真っ直ぐな瞳で見て尋ねた。

 僕は彼女の方をもう一度覗く。

 そこには苦しそうで、今にも助けが必要な一人の少女がいた。


「ノアル」

 レアンはもう一度僕の名を呼んだ。

「分かった、助けに行こう」


 そう僕が言うと、レアンは良く言ったと言う様に微笑み頷いた。

 二人でならなんとかなるかもしれない。

「オレが不良の方を相手するから。ノアルは女の子の方を守ってあげてくれ」

 レアンは落ち着いた声でどうするか僕に話した。

「分かった。いつ、助けに行く?」

 僕がそう尋ねるのと同時に、不良の男の一人が手を振り上げるのが見えた。

「今だ!」

 僕たちは席から跳び出し、不良達と少女の方へ走った。

 しかし不良の一人は僕たちが辿り着く前に少女に向かって殴ろうと片足を踏み込んでいる。

 間に合わない! と思われたその時、その近くに座っていたまた別の少女が言い争っていた少女を守るように、不良が殴る前に、その不良の足のスネを思いっきり蹴った。

「いっ!」

 少女を殴ろうとしていた不良は蹴られたスネを抱えて悶絶し、その間に不良の足を蹴った少女は不良と言い争っていた少女の手を引いて不良たちと少し距離を置いた。

 その二人目の少女、近寄りがたい雰囲気だが悪い人ではなさそう、というより言い争っていた少女を守った優しい少女のおかげで、レアンと少し遅れて僕も不良たちと二人の少女の間に辿り着く事ができた。

 仲間の一人が反撃されて、少しの間戸惑っていた不良達だが我に返り、今度は彼らの行く手を阻むように立っているレアンに向かって、一人の不良が「邪魔だ!」と激昂しながら殴りかかった。

 しかしレアンはいとも簡単に向かってくる拳の軌道を手で受け流し、不良の足に自分の足をかけバランスを崩させた。

 不意に拳の軌道を変えられ、さらにバランスも崩された不良は横にあった壁に激突し、そのまま床に倒れてしまった。

 強い。

 不良達も二人の少女も周りの人も目を丸くしてレアンを見て驚き固まっている。

「ノアル、二人をどこか離れた場所に連れていってあげてくれ」

 レアンは不良たちを凝視しながら、後ろにいる僕に指示を出した。

「わ、分かったけど、レアンは?」

「大丈夫」

 その瞬間、固まっていた不良の一人がレアンに向かって殴りかかったが、レアンはそれを軽々避けて、逆に不良の懐に入り掴んで素早く床に投げ倒した。

「頼んだぞ、ノアル」

 レアンは一瞬だけこちらを振り返ってそう言った。

 僕は分かったと頷き、すぐに後ろを振り返った。

 二人の少女と目が合う。

「とりあえず、ついて来て」

 僕は近くにいた先程不良と言い争っていた少女に手を差し出した。

 その子は僕の手を握った。

 これで僕、不良と言い争っていた子、その子を助けた子という三人で手を繋いでいる状態になった。

「ここを出ます」

 僕は二人にそう伝え、二人を連れてこの場から離れるため食堂の入り口兼出口に走った。

 途中気になってレアンの方を振り返ってみると、他の不良達は仲間の二人が倒されたのを見て怖気づいてはいたが、いつレアンに襲いかかってもおかしくなかった。

 だけどあれだけ強ければ束になってもレアンには勝てそうにないかなと思いつつ、僕は二人と共に食堂を後にした。


「とりあえず、保健室に向かうね」

 僕は二人にそう伝え、小走りで保健室を目指した。

 その間、手を繋いだままだったので嫌じゃないかなと思いつつ、それを聞く勇気もないので結局そのままだった。

 そして保健室にたどり着くと、僕は保健室の先生に事情を話した。

 すると先生は二人の少女の様子を確認して、彼女達が大丈夫だと答えると他の先生を呼んで食堂へ向かうと言って出ていった。

 僕もレアンの様子が気になったので「僕もレアンの、さっき僕と一緒にいた人の様子が気になるから見て来ます」と言って保健室を後にしようとした時「あ、ありがとうございました」と僕が手を繋いでいた方の子が軽く頭を下げて感謝してくれて「ありがとう」ともう一人の子も彼女に続いて、軽く頭を下げて感謝してくれた。

「全然、全然大丈夫です。じゃあ、また」

 僕も二人に会釈して保健室を後にすると、再び食堂へと向かった。

 食堂へ戻ると、そこにはざわざわとあちらこちらで話している生徒達と倒れている机やイス、床に伸びている不良達、そしてその中心にレアンと先生達が立っていた。

「あっ、ノアル!」

 レアンが食堂に戻ってきた僕を見つけ、声をかけた。みんなの視線が一斉に僕に向けられる。

 恥ずかしい。


 それから僕とレアンは先生達に連れられて食堂を後にし、事情聴取をするとして空き教室に向かっていた。

 まずい、レアンのことを聞かれたらどうする。なんとかしないと。

 僕は今からアクションを起こすことをレアンに目配せで伝えた。

「レアン僕に合わせてくれ」と心で祈りながら僕は先生に尋ねた。

「あ、あのちょっとトイレ行ってきてもいいですか? 安心したら急に行きたくなって」

 僕がそう言った後、レアンも僕に合わせてくれた。

「オ、オレも、良いですか?」

 先生達は怪訝そうな顔を浮かべていはいたが、行かせないわけにはいかないので許してくれた。

 僕とレアンは近くのトイレに向かい、入った。

「ノアル、このままじゃまずい」

 レアンも不良たちと戦っていたときとは違い、少し焦っていた。

 こういうのは苦手なのかもしれない。

「分かってる。レアンの事を聞かれたら終わりだからね」

「悪い、目立つような事をして」

「良いよ。良い事したんだからさ」

 僕がそう言うと、レアンは手を合わせて「ありがとう!」と言った。

「何か考えはあるのか?」

 レアンが僕に尋ねた。

「ある。レアンが事情聴取がめんどくさくて帰ったことにする。トイレからそこの窓を開けて帰ったことにするんだ。実際は魂化して僕の横にいるんだけど」

 僕は外に通じるトイレの窓を指さした。

「なるほど、それ面白そうだな」

 レアンも不敵な笑みを浮かべている。

「後は僕がレアンとは食堂で出会ったことにして、彼のことは全然知らないってしらばっくれる。実際僕もレアンとは今日知り合ったばっかりだし、他の生徒だって君の名前くらいしか知らないはずだからさ」

 ゴリ押しな策だけどこれしか浮かばない。「レアンは何か他に考えはあったりする?」

「ない! だからそれで行こう!」

 というわけどでレアンに魂化してもらって、少し時間を開けた後、僕と魂化したレアンは先生達の下へ戻った。

 案の条レアンの事を聞かれたから、僕は作戦通りレアンは帰った事にした。

 先生達は呆れていたが、レアンが悪いことをしたわけじゃないから怒ってはいなかった。先生たちは少し時間も立っていたからかレアンを探すようなことはせず、二三人の先生であるはずもないレアンの生徒情報を探すようだった。

 そして僕は空き教室で事情聴取を受けた。

 そこで事のいきさつについては事実を話したが、レアンのことに関しては知らないの一点張りでなんとか通した。

 結局、先生たちも僕がレアンの事に関して殆ど知らないと思ったのか、時間は掛かったが無事、なんの咎めもなく事情聴取を終えることが出来た。

 そして結局、時間がそのまま下校時間になっていたので僕と魂化しているレアンは学校の入り口兼出口に向かった。

 出口に着くと、そこからは昼下がりの太陽に照らされた町と今日の授業を終え、下校している学生たちの姿が見渡せた。

 僕達も彼らと同じように学校を出て、帰路へとついた。

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