第4話







 そんな!


 そんなの無謀よ!


 私はミルクティー公爵夫人よ!


 あなたの妻よ!


 あなたと離縁したら私と娘は今までのように恋人達と楽しく過ごせなくなるだけではなく、贅沢三昧な暮らしが出来なくなるもの!


 路頭に迷う事になるのだと悟った私は必死になって『離縁したくない!私、心を入れ替えてシナモン様の良き妻、娘の母となるわ!』とシナモン様に縋りついて訴えたわ!!!


 そんな私にシナモン様は端正な顔にどこか色気を含んだ冷酷な笑みを浮かべて見下ろしながら、ある書類を突き出したの。


 それにはこう書いてあった。



 第一条


(1)ミルクティー公爵家はショート侯爵家の借金とショート侯爵家再建の為の金銭を立て替える


(2)ショート侯爵家はミルクティー公爵家に対して月々金貨十枚(日本円にして金貨一枚が12万。十枚だから120万円とイメージして下さい)を返済する事


(3)月々の支払いが滞った場合、年間三十パーセントの利息が付く

 ・・・以下略


 第二条


(1)その証としてショート侯爵家はミルクティー公爵家に娘を嫁がせること


(2)嫁いだ娘の生活はミルクティー公爵家が保障する


 ・・・以下略


 第三条


(1)妻となった娘が浮気及び托卵をした場合、ミルクティー公爵家が負担していたショート侯爵家の借金とショート侯爵家再建の為の金銭、ミルクティー公爵家が負担していた妻の生活費と遊興費、托卵によって出来た子供を育てるのに当たりかかった費用の全て及びシナモン=ミルクティーの精神的苦痛に対する慰謝料を一括で支払う


(2)シナモン=ミルクティーが妻を裏切り浮気をした場合、ショート侯爵家はミルクティー公爵家が立て替えたショート侯爵家の借金及びショート侯爵家再建の為の費用は支払わなくてもよい


(3)ミルクティー公爵家が立て替えた金銭の返済出来なかったらショート侯爵家とその家族、浮気相手とその家族及び托卵により出来た子供は性別・年齢に関係なく家畜落ちする事になる


 ・・・以下略



 そしてキモデブ・・・ではなく元キモデブことシナモン様が手にしている書類には私と家族達、そしてシナモン様のサインが書いてあったわ。


 今になって初めてしっかりと書類に目を通した私は絶望するしかなかった──・・・。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る