第62話 ゴーストハンター
ゴーストハンターのプレオープン。
これは、光線銃で幽霊を撃って、退治するアトラクションだ。
幽霊は幻なので、背後に光線の感知器を仕込んだ。
這い這い赤子スライムの中にも感知器が入っている。
トップ得点者に与えられるリフォーマー限定グッズが欲しいらしい。
「えー、もう終わり。ええと私の番号は56だから、5位。くっ、限定グッズがぁ」
「限定グッズあげようか」
「うーん、要らない。ずるして取ったんではファンとして申し訳ないから」
「じゃあ、このアトラクションの年間フリーパスポートをあげるよ」
「ありがとう。もうすっごい感謝してる。暇な時に来て、限定グッズを最低3個ね」
「ああ、鑑賞用と、保存用と、布教用だったっけ」
「うん、その通り」
まあ、頑張れ。
ゴーストハンターに関しては改善点はないな。
バージョンアップは必要だけど、それは細かい所をちまちまやっていけば良い。
「全滅爆弾がほしい」
シューティングの基本装備だからな。
全滅爆弾とメモした。
個数はゲームバランスを考えてで良いだろう。
テストプレイヤー達が頑張って最適な個数を見つけ出してくれるはずだ。
「レアキャラ幽霊とかほしい」
ふむふむ、インベーダーゲームのUFOみたいな奴か。
これもメモと。
出現する条件は社員が考えてくれるだろう。
ネットとかで攻略法が晒されたら、条件を変えれば良い。
第8階層の探索は薬草探しがブーム。
採った薬草は、第2と第4階層の温室で栽培されるのだ。
一株10万円のついた草もある。
これは薬草ではないけど、花が綺麗なんだ。
生きている宝石と言っても過言ではない。
ダンジョンから出すと10日ぐらいで枯れるが、その儚さも良いらしい。
――――――――――――――――――――――――
名前:
レベル:985/65536
魔力:10429/10429
スキル:1/1
リフォーム
――――――――――――――――――――――――
現在の俺のステータス。
魔力が1万を超えた。
こうなると全国でもトップ10に入る。
顔が変わったのが自分でも分かる。
ハンサムに妖艶さと神々しさが混じっている。
人外の美とも言うのだろうか。
肌を拡大したら、その拡大画像すら美しい。
産毛の一本ですら美しいのだ。
こんな感じになっちゃうんだ。
カメラでその美が捉え切れないのが良く分かる。
「
クラスメートから聞かれた。
「エリクサー化粧品だよ」
そう誤魔化した。
まあ、嘘でもないけど。
「あそこって、魔力物質が入っているからポーションみたいなんでしょう」
「うん、そうみたい」
「だけど高いのよ」
高くしないと、国内の化粧品メーカーは潰れるから。
経営が苦しくなった化粧品メーカーは買収して、傘下に収めている。
段々と値段は下げていくつもりだ。
ほとんどの化粧品メーカーが傘下に収まるのも時間の問題だろう。
都内の交通はポータルに切り替わった。
都内のタクシー、バス、鉄道は全て合弁会社か傘下になった。
もう、資産はどれだけか分からない。
株の価格の算定が難しいからだ。
傘下企業の親会社であるダブコーは上場してない。
するとしたらこれぐらいという価格は算出できるけど。
とにかく俺の資産は1兆に届くのかな。
俺のクラスに転校生が二人やってきた。
秘密のボディガードだ。
こんなの要らないほど俺は強いが、もしものためらしい。
この転校生、病気で亡くなって、リフォームした。
そして、他所のダンジョンで鍛えてボディカードになったわけだ。
「病死リフォーム治療を始めたいのですが」
1億円で死んでリフォームね。
「却下だ。金はもう要らない。病院で危篤状態の患者に付き添って今か今かと待つのは趣味じゃない。それなリフォームされた人間はアンデッドだと思っている。ある意味死への冒涜だ。はっきり言って、必要以上にやりたくない」
「金儲けのためにするというのは違うというわけですか?」
「上手く言葉にできない。我がままだと思ってくれても良い」
アンデッドが増えて、人口の何割かを占める世界。
そんなのは嫌だ。
精神が持たない気がする。
リフォームした人たちはある意味俺の子供だから。
子供が増えてその誰かが死ぬたびに俺は心を痛めるだろう。
必要以上にそういう人を増やしたくない。
俺は医者みたいな気持ちにはなれないな。
死を冷静に見つめるなんて無理だ。
リフォームした人やモンスターを物だとは割り切れない。
救える人を救わないのは傲慢だとかエゴだとか言う人もいるかも知れない。
だけど、自分の身を犠牲にしてまで、人を救うことはできない。
自分を救えずに誰かを救うのは間違っていると思うからだ。
だから、積極的には救わない。
許して欲しい。
ダンジョンでリフォームしたモンスターが死んだ。
クマ耳スライムだった。
死因は老衰。
魔法静物にも耐久性があるらしい。
何時かは壊れる。
無限ではない。
そうか、魔法静物も死ぬんだな。
この死は俺に吐き気を催さなかった。
この死は運命だ。
運命には逆らえない。
心が納得した。
死に対する嫌悪感みたいな物が少し薄らいだ気がする。
今なら何かが死んでも吐き気は少なくなっているはず。
死という物を受け入れることができたんだなと思う。
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