第61話 お化け屋敷プレオープン
お化け屋敷がプレオープンだ。
怖さはかなりマイルドになっている。
幽霊の形状もかなりユーモラス。
叫び声でなくて笑い声とかに変更された。
例によって
客は小さい女の子とかもいる。
「何か遊園地っぽいね」
「まあね。怖さは追及してないから、楽しいお化け屋敷」
おっと、蛍光塗料を混ぜられた赤ん坊人形スライムを踏みそうになった。
このスライムの形状もかなりデフォルメされて可愛くなっている。
「きゃはは」
アイスクリームみたいな幽霊が現れて消えた。
客の何人かは幽霊の動画を撮っている。
「SNS映えしそうだけど、こんなのお化け屋敷じゃないって人も出そうね」
「うん、そういう意見は無視だって、客層の間口を広くする方が良いんだって」
手だけが宙に浮いて、指差している。
「手だけは怖いわね。このアトラクションで一番怖いかも」
「通路誘導の手が最恐か。まあそれもありかも」
「やだやだ、あれをお家に持って帰る」
子供がだだをこねている。
幽霊を持って帰りたいらしい。
うん、幻のオブジェを販売ね。
ダンジョン内なら出来る。
ただ、仕事の手間的には美味しくないね。
ポータルを作るより手間だもの。
うん、あれっ。
魔貨ってダンジョンの機能を切り離したよね。
魔石に幻を発生させる機能を付与できるかも。
でも手間的には美味しくない。
魔貨だって辞めたいところだ。
魔力が多くなったから、いっぺんに1万個ぐらいは余裕で作れるけども。
幻はアニメーションを組み込んでなんぼだと思うんだ。
どうだろうな。
修行か。
そう考えればありだな。
最初は1個から、段々と数を増やす。
「【リフォーム】幻アニメーション」
地面に置いた魔石をリフォームした。
そしてそれを掘り出す。
魔石に魔力を込めて起動すると、ユーモラスな幽霊が現れて消えた。
「はい」
子供にそれを渡した。
子供は嬉しがって何度も幽霊の幻を出している。
「こんな高価な物を頂いて。あのおいくらですか?」
「アイデアを頂いたので、お金は要らないよ」
「そうですか」
「子供に優しいのね」
「ただの気まぐれさ」
「僕、あれがほしい」
おや、赤ん坊人形スライムが欲しいか。
「僕、このダンジョンの中に住めるようになったら進呈しよう」
そう言って俺は名刺の裏にパスワードを書いて渡した。
この子は連絡してくるかな。
将来、ダンジョンの分譲のお客になったらそれはそれで喜ばしいことだ。
このゾーンは骸骨ゾーンだ。
トラップを踏むとゴム製の骸骨の手が出てくる。
当たっても少し痛いぐらいだ。
それに目をカバーするために頭にフルコンタクトの防具を付けてもらっている。
子供がはしゃいでトラップを押しまくる。
「きゃあ」
おっと骸骨の手が女性のスカートをめくってしまった。
まあこんなハプニングはご愛嬌だろう。
骸骨ゾーンを抜けると、城の門だ。
幽霊城というストーリーらしい。
門番はオーガの幽霊だ。
もちろんユーモラスにデフォルメしてある。
門を入ると、庭園が。
幻でできた人面花が咲いている。
デフォルメされているので怖くはない。
これを欲しがる子供もいるのかな。
アニメーションさえしなければ、1万個の製造は一瞬だ。
城に入ると、壁には血の手形が。
ただこの手形、デフォルメされているからアート作品みたいだ。
幽霊が出てくるけど、やはり怖くない。
最後の玉座だな。
俺は作ったから知っている。
巨大な骸骨の体がバラバラになって降って来る。
幻だけど。
「感想は?」
「デートスポットとしてはありね」
「さあ、帰って、幻の魔石生産だ」
「デートの時に仕事のことは忘れたら」
「いや、仕事だから」
「早く高校生になりたい」
「その時、付き合っていたらデートしよう」
幻の魔石は幻石と名付けた。
アニメーションなしだと簡単に作れるんだけどな。
手始めに木の幻石をたくさん作った。
さて、アニメーション幻石だ。
2個同時。
うん失敗。
そうか、1コマ目を2つ同時に作って、それに2コマ目を同時に追加する。
これなら1万個でも作れる。
あとはいかに早く作るかだ。
10分ほど掛けて良いなら、アニメーション幻石の量産は可能になった。
何となくコツが掴めた気がする。
魔石の値段は高いから、幻石の値段はかなり高くなりそうだ。
サンプルを
エロをやらないよ。
売れるのは分かるけど、それはだめだ。
線引きはエロでないフィギュアだな。
では、
「別に良いですよ。幻ですから触れませんし」
女優とかしていると気にならなくなるんだね。
確かに立体映像で写真と変わりないけど。
俺のは絶対に作らない。
恥ずかしくないのかな。
だって、何でも言うことを1回きくからって言われたらしょうがない。
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