第60話 スキャンダル
テレビのバラエティの収録が終わった。
テレビ局から出た所、ファンに囲まれた。
いつものことだ。
適当にサインして、写真を撮らせる。
そのファンの一人が付いてきた。
ポータルまで速足で歩く。
女の子は駆け足でくる。
そして、ポータルのあるホテルの場所で追いついた。
「ファンです」
ファンじゃ無下にできないな。
振り返ると抱き着いて来た。
そういうのは困りますと言って、魔力を解放、硬直させる。
振りほどいて、ホテルの中に。
このホテルの中に秘密のポータルがある。
ポータルの入口は壁で阻まれているのだ。
でも俺のリフォームスキルがあれば出入りは簡単だ。
「【リフォーム】穴」
壁に穴が開く。
その中にするりと入って。
「【リフォーム】壁」
「あれっ、ここにきたはず。どうなっているの」
さっきの女の子が追いかけてきたんだろう。
通れる物なら通ってみなよ。
ポータルに触って俺の家の玄関前に出る。
抱き着いてくるなんて想定外だ。
そして、次の日。
「大変、週刊誌にあなたのことが出ているわよ」
「何だって」
いや、抱き着かれた写真がでかでかと載っているけど、昨日の今日だ。
早すぎる。
きっと記事は前もって用意されていたんだろうな。
写真だけを大急ぎ編集作業した。
スマホで電話を掛ける。
「もしもし、
「もちろん。そうおっしゃると思って準備は万端です。セクハラで相手の女の子を訴えてやります」
「じゃあお願い」
学校が終わって家に帰りテレビを点けると、記者会見をやっていた。
「当事務所のタレントであるリフォーマーがセクハラ被害にあったのでご報告します」
事務所のスタッフが説明してる。
そして問題の場面が映し出された。
ファンですと言って抱き着くのが音声入りの映像で。
そして、俺を見失ってホテルのロビーをうろうろする様子も。
そして女の子は、ブラックフェンリルに電話を掛けたようだ。
ああ、ブラックフェンリルの仕業ねと、記者達が納得する。
ただ、ブラックフェンリルから利益を貰っている記者は口をつぐんでいる。
敵の記者と味方の記者がはっきりわかった。
止めは、そのホテルを当日、リフォーマーは利用しておりませんで終わった。
「出口から出た形跡がないのですが」
敵の記者がそう質問する。
「あなたは全ての出入り口を見張っていたのですか?」
「それは」
見張っていたなんて言うとやり過ぎだからね。
しかし、せこい手を使う。
まあ、ハニートラップの類には引っ掛からない。
我ながら枯れていると思うけど、魔力が6000オーバーだと女の子はみんな目を潤ませて迫って来る。
どうも女性恐怖症気味だ。
かといって
まだ自分でも好きという気持ちが分からない。
恋をしたことがないってことだね。
それにプレーボーイは嫌いだ。
誠実さがない。
さあ、切り替えていこう。
これから迷路の視察だ。
「うん、岩の洞窟の迷路って殺風景。ロマンチック感がない」
「幻で向日葵とか張れるけど」
「向日葵は良いかも。でも電飾ならもっと良いかも」
「電飾はダンジョンの機能でなくてできる。壁をうっすらと光らせるとかもね。でも目がチカチカするのは好みじゃない」
「かもね。ずっとはつらいから、場所によって変えるとか。そうなるとバリエーションが欲しいわね」
「電飾、向日葵、岩、ピラミッドの内部を再現とかどう」
「ピラミッドの内部は良いかも」
「他には、水の幻、虹の幻、霧の幻こんなところかな」
「社員にアイデアを募集すれば色々と出て来るわよ。カタコンベとか」
「あまりグロイのはロマンチックじゃないけど、いいの」
「駄目ね。壁に夕日の幻で、ヤシの木の幻を配置するとか。雪や氷のトンネルとか、もちろんライトアップしてね」
迷路を進んだけど、隠し部屋の場所が分からない。
だよね。
壁の幻は良く出来ているから、ヒントがないと分からない。
「隠し部屋の場所分かった?」
「もちろんよ。私のスキルが何なのか忘れたの?」
「マッピングスキルは反則だよ」
「スキルを使わなければぜんぜん分からない」
「だよね。俺もリフォームスキルで建物の構造を把握しないと分からない」
「ヒントは謎解きとかが良いわね」
「うん、考えるのはめんどくさいからプロに任せよう。きっと何か考えるさ」
「もう出口なのね」
「最短距離を歩けばこんな物だよ」
とりあえずのレポートはまとめた。
たぶん社員も考えているはず。
ただ、予算が下りないと
会社の上層部が予算削減の頭らしい。
まあね、湯水のように使われても困るけど。
ただ、提案はして欲しい思う。
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