第57話 アトラクション

 第8階層、ジャングルだ。

 お供はオリハルコンロボットゴーレム。

 最初に出てきたモンスターは、ドラゴンほどある大蛇。


 ニーズヘッグと名付けた。

 こいつは火を吐く。


 結構な強敵だが、拝島はいじまさんのアブソリュートディフェンスが大活躍。

 ブレスと締め付け攻撃にも耐えた。

 防御が万全なら急所を狙って攻撃できる。


 簡単に仕留められた。

 ニーズヘッグは敵と区別するために羽を付けた。

 ケツァルコアトルだな。

 空は飛ばないがとりあえずこれで良いだろう。


 1時間ほどの討伐タイムが終わり、芸能活動だ。

 これも、1時間ほどで終り、第3階層のホテルの視察だ。

 第3階層のホテルは、外の風景がモニターの映像だ。


 まあ、1泊ぐらいなら、許容範囲だと思う。

 調度品はダンジョンの外から運び込んだから、これは問題はない。

 空調設備はダンジョン任せだ。

 24度に保たれている。


「ここが新婚旅行だと嫌」


 藤沢ふじさわの意見はそうみたい。

 確かに思い出の宿としてはちょっとな。


「ビジネス用と、スパリゾートの客用だから」

「ロマンチック感がないのよ」


「うんうん、分かる。カプセルホテル感があるんだよね。なんか閉じ込められている感かな」

「解放感はないわね。岩の通路と客室だから」


「そうなんだよね。洞窟って、ちょっとないなって思う。特別な感じはあるんだけど。どうしたら良いと思う」


 高級ホテル感がしないんだよな。

 まあ用途がビジネスと温泉1泊目当てだから。


「うーん、雄大な景色は望めないから、宇宙船感を出すとか。未来都市感を出すとかどうかな」


 藤沢ふじさわの意見をメモメモと。


「区の8分の1ぐらいの広さがあるから、そういうコンセプトのホテルも作ろう」

「ロマンチック感は、室内を全面モニターにして、水族館の映像とかどうかな」

「そういうコンセプトホテルもいいかも」


 メモメモと。


「全面モニターなら南国の風景よね」

「でも風とか匂いとか音とかないと臨場感が」

「それがネックよね」

「ダンジョンの機能で何とか再現してみるよ」


 音はスピーカーで何とかなる。

 風も送風機で何とかなる。

 匂いは調合すればなんとかなるばすだから、置いておくとして。

 問題は景色だ。

 モニターだと判っちゃうんだよね。


 洞窟に南国リゾートを作るのは、ダンジョンの機能では難しい。

 水族館を再現するモニター映像は偽物だ。

 でも、雰囲気は出る。


 偽物でも良いんだ。

 雰囲気が出れば。

 そう言えば隠し部屋のトラップがあったな。

 壁の幻を見せる奴。


 でも、南国リゾートは大変だ。

 リフォームするにしても大仕事。


 でも今は600メートルぐらい一度にリフォームできる。

 ただ、幻を置いておく、空間が勿体ないんだよね。


 窓ひとつ分の幻はモニターに映しているのと変わりない。

 それに壁の幻は動かないんだよね。


「【リフォーム】、幻の木」


 床に幻の木が生えた。

 藤沢ふじさわがその木に触る。

 当然、手はすり抜けた。


「面白ーい、立体映像ね。ロマンチック感はないけど、未来感を出したコンセプトには合いそう」

「何か、もっと応用できないかな」

「うーん、美術品とかは本物置いても問題ないし。そうよ水の塊と浮かせられる?」


「【リフォーム】、幻の水球」

「これをたくさん作ったら綺麗よ」

「オブジェとしてはいいかも」

「あとね。虹とかいいかも」


「【リフォーム】、幻の虹」

「うん、ロマンチック感が出た。お化け屋敷とか凄いのができそう」

「あー、トラップのスイッチを踏んだら、幽霊が立体映像で出てくるのか。うんお化け屋敷は考えてなかった。スパリゾートの客を目当てならありかも」


 最高に怖いお化け屋敷ができそうだ。

 メモメモと。


 幻の立体映像は、他にも活用できそうだ。


「幻の壁で迷宮を作り出すアトラクションとかどう。宝箱を置くの」

「いいかも。ただ迷路は迷子になって出られなくなった客対策が必要だ」

「そういうのは人がやれば良いんじゃない」

「出口までの地図が作ることがスマホとかでできればいいんだけど」

「ダンジョンじゃGPSは使えないからね」


 GPSの精度じゃ、アトラクションの迷路は駄目だろうけど。


「トラップのスイッチを迷って降参ならここを押して下さいとか、たくさん作っておくのはどう?」

「できるけど。そのスイッチを押したらどうなるの?」

「ええと子豚さんオークが召喚されてくるなんてのがいいわ」

「おお、できるね。子豚さんオークなら迷路で迷わない」


 迷路のアトラクションのアイデアもメモメモと。

 子豚さんオークの数は日に日に増えているから、就職先としては良いかも。


「話が脱線しちゃったね」

「でも一杯アイデアが出た」


 さあ、視察の時間は終り、次の仕事だ。


「えー、帰りたくないな。お泊りしたいな♡」

「うん、藤沢ふじさわは1泊してって、俺は仕事だから」

「いけず」


 さあ、道路のダンジョン化の仕事だ。

 最近はトレーラーの横がガラス張りの車で、ダンジョン化の仕事をしている。

 車に乗りながらだと歩く必要がない。


 都内の国道はいち早く制覇した。

 もう都内ならどこにでもポータルで移動できる。


 本格的に鉄道とバス会社を買収する時期に来ている。

 次は都道の制覇だ。

 そしたら区道、市道だ。


 ポータル交通は、地方でも赤字なんてあり得ない。

 過疎の県ほど欲しい交通機関だろう。

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