第45話 尻手健康食品、風前の灯
俺は2年生になって、
会うことにした。
「ええと、御社で収穫するダンジョンキノコを全て売って頂きたい」
「嫌だよ。なぜかって?
「
「それは調べてきたんだ。あの金が何か知っているか。両親が残した保険金だよ。それを上手いこと騙して懐に入れた」
「株主で十分ではありませんか」
「嫌だね。騙すような奴が社長をやっている会社には協力したくない」
「くそっ、大人しく聞いていれば。子供の癖に偉そうに」
俺は魔力を解き放った。
営業マンは白目で泡を吹いた。
「魔力と殺気に当てられただけだな。一応救急車は呼んでやる。訴えても無理だぞ。万一の時のために録画してある。聞いてないか」
営業マンは救急車で病院に運ばれていった。
「
「来てるぞ。毎日菓子折りを持ってわんさかとな」
「絶対に契約しないで」
「分かっている敵なんだろ」
「うん。余ったキノコは全部キノコチップスにするから」
「ああ、分かっている」
キノコチップスの発売が始まった。
魔味の素が使われているので味は
味も色々だ。
海苔塩から、バーベキュー味から、イチゴミルク味なんてゲテモノまである。
もう
あの業績じゃどこも貸さないだろうな。
貸すとしても担保がないとだな。
「仇が討ててどうですか」
無表情で問い掛けてくる
「あんま、気分は良くないや」
「それを聞いて安心しました。人を陥れるのを快楽に思うような方だったら、去っていたところです」
「そういうゲスにはなりたくないね」
「ですね。では計画通りに、
「ああ、そうすれば会社は俺の物だ。従業員も首にしなくて済む。いい機会だから、
「ええ、社内の部下とか色々な人の意見を参考に決めていきます」
虚しさが残ったような気がする。
両親はどう思うんだろ。
フラワーキングダムでひとりたそがれる。
風が吹いて花びらが散る。
「寂しそうね」
どうやってここに。
ああ、マッピングスキルね。
「ひとつケリがつきそうなんだ」
「なんだか、やりたくなかったことをやったみたい」
「だね。本当は謝って欲しかったのかも。ただ謝られても許したかは分からない」
「傷つけられると修復が不可能ってことはあるよ」
「悲しいけどね」
なぜか、俺を振った幼馴染の
彼女のことはどうなんだろう。
ちくりと胸が痛んだ。
未練があるのかも。
あれから一言も喋ってない。
話したら何か変わるのかな。
なぜか会いたいような気がした。
でもSランクになると約束したから、その時に全てを清算しよう。
Sランクになれるかどうか分からないけど。
でも一年でCランクにはなれた。
スマホに電話が掛かってきた。
「何?」
「頼む、助けてくれ」
「助けたら刑務所に入るんだよね」
「ぐっ、身内じゃないか」
「その身内を騙したのは誰だ」
「お前も会社を経営すれば分かる。黒字のようで大変なんだ。金が必要なんだ」
「遊ぶ金が欲しいんじゃなくてかな。知ってるよ。接待と称して遊びまくっているらしいじゃん」
「どうしてそれを」
「まず、第一声から間違っている。ごめん、済まなかったが最初だよね」
「ごめん、済まなかった」
「今更だよ」
俺は電話を切って、
「泣きそうね」
「まあね。あんな奴と親戚だと思うと泣けてくるよ。ああいう大人にはなりたくない」
「スパリゾートでマッサージ受けましょう。子豚さんオークが可愛いわよ」
「そうだね。気分転換しようか」
うん、岩盤浴しながら、子豚さんオークのマッサージを受けたが、踏み踏みが軽い。
子豚さんオークに鎧を着せるか。
モンスターだから、かなり重たくしても動けるはずだ。
いけないいけない。
すぐに改善点を考えてしまう。
楽しまないと。
岩盤浴の上はポカポカして気持ちいい。
リフォームスキルで岩盤浴を作ったんだよね。
リフレッシュできた。
切り替えていこう。
オリハルコンロボットゴーレムにプラチナを食わせるとオリハルコンが生成される。
これを売ればBランクだ。
第6階層のボスとかはドラゴンが出てきそうなんだよな。
クラーケンより強いのはそれぐらいしか思いつかない。
ドラゴンはAランクモンスターだ。
勝てるかな。
子豚さんオークが踏み踏みしてる。
やっぱり軽いな。
軽いのは威力がない。
重たい一撃の方が良いに決まっている。
重さか。
そうか、重さだ。
くふふ、良い作戦を思いついた。
ボス戦はこれでいこう。
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