第42話 スーパー視察

 今日は近くのスーパーで視察だ。

 ここにはうちの傘下から色々と卸している。


 肉売り場には、冷蔵ショーケースが並んでいる。

 白いトレーに肉が載せられて、ラップが掛かっている商品がたくさん並んでいた。


 オークミートは高いな。

 やはり値段がネックか。

 量産するにはオークを太らせないといけない。

 だが餌はただではない。

 オークって意外とグルメなんだよね。

 ああ、魔味の素を飼料に使っちゃうか。

 そうするとしたら、今度は魔味の素の値段が問題だな。

 水はただみたいなものだけど、抽出がね。


「今日はお祝いだから奮発して、オークミートのカツにしましょうか」


 主婦がオークミートを買っていく。

 特別な日の食材なのか。

 コストカットか、難しい問題だ。

 魔力充填スタンドがあると言っても、スキルを何度も唱えないと。

 無詠唱とかできたらいいんだけどね。


 魔道具でも良い。

 抽出の魔道具を量産できればな。

 魔道具はドロップ品のみだ。

 人工魔道具と呼ばれるキルポイント測定器みたいなのはあるが、スキルの再現には至ってない。


香川かがわさん、抽出スキルの機能を持つ魔道具を開発しようよ。そこに投資しよう」

「かしこまりました。金額はいかほど?」

「とりあえず10億かな」

「小規模ですね。考えたのですが、ダンジョンの機能で抽出はありませんか?」

「ダンジョンて、吸収、分解とが基本なんで、後は召喚だね」

「魔力物質を召喚できたらいいのですが」


「異世界から召喚しているようだけど、魔力物質はないんだよね。異世界の人は作ってないのかな」


 ドロップ品は人工物だよね。

 異世界人が作ったはず。

 解析が進んでないのは魔力ってのが何なのか分かってないからだ。

 キルポイント測定器も厳密には現代科学の産物ではない。

 魔力を感知して光るドロップ品を組み込んである。


 光の色とか量で色々と判別するようだ。

 魔味パンの棚をみる。

 やっぱり普通のパンより割高だ。

 他の商品にない強みがあるけど、コストを下げられればなぁ。


 グリーンエリクサーと、アースエリクサーの棚は商品が売り切れと言う感じではない。

 ぼつぼつ売れるそんな感じだ。

 健康食品だからね。

 値段は割高だが他の健康食品とあまり変わらない。


 こちらのコストカットは現在は要らないみたいだ。


「鍵は魔道具か。うーん、難しい」

「私のマジックビジョンではスキルというのは魔力の回路ですね。ただ魔力でどうやって回路を作るのかが分かりません」

「リフォームスキルで扱えるのは物質なんだよね。エネルギーは駄目だ。ダンジョンはエネルギーの放出とかできるけどエネルギーを回路に作る力はない」

「ダンジョンの魔力の流れを変えられますよね。回路できませんか」

「あくまで流れなんだよね。電気の部品で言えば、導線だけ弄れる。トランジスタや抵抗やコンデンサにはできない。ダンジョンの機能でそういうのがあれば別だけど」


「そうですね。変形スキルとかリフォームに似たスキルはありますが、魔力回路の構築には至ってません」

「悔しいけど、現状は無理かな」


 うちの商品の強みと弱点が見えた。

 強みは差別化が図れていること。

 弱点はコストだね。


 抽出スキル持ちがたくさん増えると良いんだ。

 どういう思いで抽出スキルを得ましたかと訊くかな。


 香川かがわさんが、抽出スキル持ちの従業員にアンケートを取ってまとめてくれた。

 一番多かった答えは、つい多めに混ぜちゃって失敗して腹が立ったら生えたが多かった。

 うんうん、あるよ。

 餃子のタレとかで酢を入れ過ぎたとか、そんなの。

 ちょっとした失敗あるあるだよね。


 腹は立つけど分けたいとは思わなかったな。

 強烈に分けたいと思ったひとが、抽出スキル持ちになるんだろうね。

 こんなの人工的には作れない。

 女の人が多いのも、料理の失敗が多いからか。


 調合の仕事を与えればいのかな。

 調合の仕事って何だろう。

 微妙な調合加減で何かが変わる仕事か。

 料理なんかだと、少しぐらいはまあ良いかとなってしまう。


 香水とかの調合かな。

 幸いにしてエリクサー化粧品があるが、手作業で化粧品を作らせると失敗作が凄い出る。


「化粧品の調合を手作業でやらせてみませんか。コンテストを開いて金一封出すんです」

「なんの意味があるんですか」

「抽出スキル持ちが増えないかなって」

「たぶん、スキル持ちはそんなに増えないと思われます」

「駄目か」


「アイデアとしては良いよ思いますが、そういう場合分母を増やさないと。全国規模でやればたくさんのスキル持ちが生まれると思います」

「うーん、金ばかり出て旨味が少ないね」

「そうですね。現実味はないものと思われます」


 学校でやらせたらいいけど、そうだ化学の実験を増やそう。

 実験教材の寄付ぐらいはできる。

 それで実験を流行らせよう。

 それぐらいしか、思いつかないな。


 寄付の一環としてやってみることになった。

 10校もやればデータは取れるらしい。


 費用対効果を考えてよう検討ということになった。

 香水の調合の講義の実施と、料理実習も増やすように材料を別の学校に送った。

 データを取るためだ。


 駄目元だけど瓢箪から駒という言葉もある。

 色々とやってみるのは良いことだ。


 第6階層のマグロを全てフグの形に変えた。

 魔力充填スタンドさまさまだ。


 道路のダンジョン化も進んでいる。

 もう、区内の道路は全てダンジョン化した。

 隣の区に掛かりたいが、交渉待ち。

 建築業の反発とかあるからね。

 うちの区で実施するときはだいぶ金を使ったらしい。


 後々を考えると採算は採れるらしいけど。

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