第32話 子豚さんオーク

 ええと、スケジュールでは、猫頭オークのリフォームして肉を取る日か。


「並んで並んで」

「ぶひっ」


 ここは、第2階層の肉の加工場。

 そこに連れて来られた猫頭オークが一列に並んでる。


「【リフォーム】肉削ぎ」


 だいぶ、魔力が増えているので、100メートルはある1列ぐらい一瞬だ。

 魔力充填スタンドに手を置いて魔力を回復する。

 温泉での魔力回復はあれはあれで良かったけど、こっちの方が手っ取り早い。

 でも仕事の切り替え時には温泉に入ろう。

 気分転換も必要だ。


 案外と早く終わった。


「どうぞ、試作品を食べて下さい」


 従業員に勧められて、試作品を食べることにした。


「頂きます」


 ハムを食べてみた。


 適度な塩加減。

 肉の旨味。

 燻製の良い香り。


 うん美味しい。

 健康に良いらしい。


 何でも筋肉が付くらしい。

 魔力は万能だね。


 角煮も食べてみる。

 噛まなくでも千切れる柔らかさ。

 甘みと醤油の味。

 脂肪の旨味。


 こっちも美味しい。


「リフォームしたオークの数を増やさないと事業の拡大はないのか」

「ええ、でも今の規模でも近隣のスーパーに卸す量は作れます」


 事業の拡大は追々だ。

 ポータルが一番優先されるべきかな。

 これをすれば、いろんな業種の人達の仕事が圧迫された時に助けることができる。


 第2階層に童話の三匹の子豚があるだろう、あれの挿絵みたいなオークを作って放してみた。


「可愛い。子豚さんが歩いているぅ」


 たちまちスパの客に囲まれる。

 子豚さんオークは子供や、女子高生とかに人気になった。


 温泉に入る。

 充実している感がある。


 ふぃー。

 10分ほどで入浴を終え。

 アイスを食う。


 病人の一団を見つけた。

 病院と提携するプロジェクトも始まったんだな。

 健康になってくれると良い。


 スパの大浴場は何十とあるから、ひとつぐらいただで提供しても惜しくない。

 牛のモンスターを第2階層で飼うか。

 美味いアイスが作れるな。

 牧場はあとで4階層に移動しても良い。

 湯上りに高級アイス。

 俺のためだけに提供してほしい。

 牛のモンスターは30頭もいれば良いな。


 余ったミルクはスパの客に3000円ぐらいで提供しよう。

 別に買わなくったって良いんだ。

 そして賞味期限が近くなったら、そういう物を扱う団体に寄付するんだ。


 香川かがわさんにメールでそれを伝えた。

 取り掛かりますと返事があった。

 最高級アイス。

 よだれが出てきた。

 もう一個アイス食べよう。

 レベルが上がるといくら食っても太らない。


 余分な脂肪とかは魔力になっていると思われると本にはあった。

 ダンジョンがゴミを魔力にするようにだ。


 アイスを食っていたら、子供達がそれを羨ましそうに見てる。

 従業員のお偉いさんを呼んだ。


「アイスを客全員に振る舞ってやれ。俺が金を出す。いいか、ダブコーからだと言ってな」

「はい、かしこまりました」


 アイスサービスデーの手書きの看板が掲げられた。

 ダブコー提供と書いてある。


 子供達がアイスに群がった。

 ちゃっかり子豚さんオークが混じっている。

 まあいいか。

 太れば肉を落とすしな。

 無駄じゃないから。


 ゴーレムって何を食っているんだろう。

 クレイゴーレムは土かな。


 アイアンゴーレムも地面の鉄分かな。

 第5階層の地面にはミスリルも含まれるのか。

 調べてみないと。

 含まれてたら鉱山になるな。

 香川かがわさんがセーフゾーンを作れときっと言うな。

 遺跡はあんまり壊したくないんだけど。


 今日の第5階層の探索は、土の採取がメインになった。

 もちろん出てくるゴーレムは倒してリフォームするけど。


「坊主、土なんか採ってどうするんだ」

「ミスリルが含まれてないか調べるんだ」

「含まれてないですよ」


 香川かがわさんが断言した。


「ええと魔眼スキルで分かっちゃうの」

「ええ、鉄は分かりませんが、ミスリルは魔力を含むので」

「じゃあ、ミスリルゴーレムは何を食っているの」

「銀ですね。これと魔力が結び付くとミスリルになります」

「銀が含まれているのか。大儲け?」

「純度が低すぎて採算が取れないと思われます」

「それも調べてあるの」

「ええ」


 香川かがわさんは抜け目がない。


「じゃあこういうのは。銀を買ってミスリルロボットゴーレムに食わせる」

「それはもう考えてあります。あなただけにできる錬金術ですね」

「考えてたか。まあそうだよね。すぐに思いつきそうだ」


 ミスリルロボットゴーレムはミスリル製造機になりそうだ。

 オークの肉削ぎは罪悪感みたいなのがある。

 生き物感があるからね。

 ロボットゴーレムは罪悪感がない。

 機械みたいだからかな。


 差別は良くないけど、バンバン銀を食わせようと思う。


「銀を運ばせようと思うのですが、狭い範囲で良いので、セーフゾーンを作っては頂けませんか」


 ミスリルゴーレムに対応したセーフゾーンを作るのは大変だな。

 ミスリルの壁とかかな。

 ミスリルロボットゴーレムはまだ削りたくない。

 ボス戦があるからね。


「ええとミスリルより安価な頑丈な金属が必要だね。ある?」

「ございます。魔鉄というのがあります。鉄と魔力が結び付くとこの金属になります。鉄より高いですが、元は鉄なので、高が知れてます」

「じゃあ、スケジュールに入れといて。セーフゾーンをここにも作ろう」

「かしこまりました」


 銀を食わせればミスリルロボットゴーレムが大きくなって強くなる。

 良いことだね。

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