第26話 スキルアップ

 準備を整えてのアイアンゴーレム戦。


「まずは俺がやりたい」

「坊主、ケツは拭いてやる。思いっ切りやれ」


 アイアンゴーレムと対峙する。


「【リフォーム】床ツルツル。そりゃ油だ」


 俺は1リットル容器の油の缶を投げた。

 油がアイアンゴーレムの足を濡らす。


 3メートルはある巨体宙を舞って、アイアンゴーレムは盛大に転がった。


「【リフォーム】腕。【リフォーム】、輪よ縮め」


 アイアンゴーレムの腕と胴体に輪が掛けられて縮む。

 バキバキ音がしてアイアンゴーレムの腕がまず壊れた。

 そして胴体がくびれ千切れた。

 コアが破壊されたのは言うまでもない。


「おっそろしい攻撃だな」


 番田ばんださんが感心している。


「ミスリルゴーレムにもこれで行くつもり。【リフォーム】ロボット」


 アイアンゴーレムがロボットにリフォームされた。


「坊主に先を越されたな。じゃあ次は俺だ」


 大船おおぶねさんがやるらしい。

 護衛にアイアンゴレームがいると心強い。

 出てきたクレイゴーレムはアイアンロボットゴーレムが片付けた。


 大船おおぶねさんがアイアンゴーレムと対峙する。


「【鉄皮】、【乱舞】」


 大船おおぶねさんがアイアンゴーレムに特攻していく。

 打ち合いになった。

 大船おおぶねさん、大丈夫なのか。

 スキルが切れたら形勢が傾きそうだ。


 大船おおぶねさんがアイアンゴーレムの足をすくう。

 アイアンゴーレムは転がった。


「【乱舞】」


 転がして一息ついたところでスキルを掛け直すのか。

 うん、戦い方が上手い。


 アイアンゴーレムは防戦一方だ。

 起き上がれないでいる。

 ほどなくしてコアが壊れた。

 大船おおぶねさんの勝ちだ。


「坊主が転がしてたから俺もやってみたぜ。でかぶつは足を狙うに限る」


「俺の番かな。鈍ってはいるがアイアンゴーレムには負けないぜ」


 ミスリルゴーレムでなければ番田ばんださんは余裕なんだな。

 番田ばんださんがアイアンゴーレムと対峙する。


「【サンダーフィスト】あらよっと。いっちょ上がり」


 番田ばんださんの電撃の一撃でアイアンゴーレムは沈黙した。

 こんなに強いのに、ミスリルゴーレムは駄目なんだね。


「聞いていい。ミスリルゴーレムってそんなに強いの?」

「まず。電撃は効かない。キングブロウの一撃もほとんどノーダメージだ。俺だって壁を破りたいさ。何度も色々な種類の強い敵とやった。でも勝てなかった。その中でミスリルゴーレムは相性最悪だ」


 番田ばんださんも苦労しているみたいだ。


「では次は私の出番ですね。ちょっと本気を出します」


 香川かがわさんが本気を出すようだ。

 アイアンゴーレムと対峙した。


「【カリキュレイト】【ブレット】」


 魔弾の一撃でアイアンゴーレムはコアを貫かれた。

 強い。


「ちなみにミスリルゴーレムもこの方法で倒せます」


 さすが魔力2000オーバー。


香川かがわさんは壁とかに当たっているの」

「壁には当たっておりません。レベルはまだまだ伸びます。計算スキルで弱点を暴いて魔弾の一撃。このコンビネーションから逃れたモンスターをおりません」

「じゃあ何で会社経営を?」

「面白いからですわ。モンスター討伐より」


 まあ、趣味嗜好は人それぞれ。

 大船おおぶねさんと、番田ばんださんがミスリルゴーレムに厳しいのか。

 俺一人の力で勝つことはできるだろう。

 隙を作るためにけん制するならアイアンロボットゴーレムがいれば良い。


 香川かがわさんも本気を出せば余裕だ。

 でもそれじゃいけない気がする。

 大船おおぶねさんと、番田ばんださんがミスリルゴーレムに勝てるようにしないと。

 大船おおぶねさんの伸びしろは、まだスキルスロットが3つも残っていることだ。

 きっとピンチになったら開花したりするんだろうな。


 番田ばんださんはもう伸びないのか。

 俺達のパーティから脱落するのか。

 でもたぶん、そのうち、香川かがわさんも大船おおぶねさんも脱落する。

 俺のレベルについて来れなくなる。

 仕方ないのかな。

 でも、番田ばんださんのレベルは限界値に達していない。

 まだできるはずだ。

 切っ掛けさえあれば。

 電撃と魔力のこもった一撃が武器か。

 武器かな。

 うーん、試したのだろうね。


 じゃあなんちゃって発勁とかどうだ。

 魔力がこもった一撃なら、その魔力を内部に浸透させて内部を壊せるはずだ。


番田ばんださん、なんちゃって発勁とかどう。魔力で相手の内部を壊す」

「1度でもできればイメージできるから、技として使えるようになる」


 うんできるかも。


「【リフォーム】壁。この壁は魔力を吸収するようになってる。ダンジョンの一部だからそんなこともできる。キングブロウで殴ってみてよ」

「【キングブロウ】。おう、魔力が吸われて中に入っていく感覚がある。なるほどこれか」


 番田ばんださんが遺跡の石の柱をキングブロウで殴る。

 殴った場所でなく背面が砕けた。

 どうやらできたみたい。


「ありがとよ。この必殺技でどんな硬い敵も倒せる気がするぜ」

「俺だけか。ミスリルゴーレムに対する技がないのは」

大船おおぶねさんはあと3つスキルスロットが残っているから」

「まあな。レベル限界もきてないし、いける所まで行くか。死んでも生き返れるし」


 明日はミスリルゴーレム戦だね。

 止めは番田ばんださんに譲ろう。

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