第2章 飛躍編
第25話 ゴーレムとの戦い
学校はいつもと変わらない。
この日常感が癒しだ。
変わらない毎日が貴重なのは身に染みてよく知っている。
両親が揃って生きていて毎日が変わらなかった。
その時は退屈だと思っていたが、そんなことはなかった。
今に思えばあの時が一番幸せだった。
いまもそこそこ幸せだ。
この変わらずに過ぎて行く毎日が良いんだ。
そう思えるようになった。
さあ学校を終えて、非日常だ。
第2階層のセーフゾーンを増やしていく。
今はキラーラビットとタイマンしても余裕で勝てる。
赤いキャットラビットの護衛も要らなくなっていた。
でも、何匹が引き連れている。
奇襲を受ける可能性が減るからね。
そして、セーフゾーンの拡張が終わると、第5階層の探索だ。
「まずは、土のゴーレムからかな」
「段々と強くしていくんだな。ミスリルゴーレムに当たったら俺は撤退を勧めるぜ」
「何を弱気な。確かに引き際も大切ですが、やってみる前に弱腰は負けフラグですよ」
「だな、勝とうと思わなきゃ勝てん」
「じゃあ、アイアンゴーレムを見つけたら今日は終りにしよう」
土のゴーレム、クレイゴーレムはすぐに見つかった。
クレイゴーレムがここのフィールドで一番多いらしい。
クレイゴーレムは2メートル半ぐらいだ。
まともにやると普通の人なら歯が立たない。
「【乱舞】」
コアを砕いたのだろう。
動きが止まった。
「【リフォーム】ロボット」
ゴーレムのフォルムが格好いいロボットの形になった。
子供には大受けだろうな。
「今度は俺にやらせて」
俺は討伐を買って出た。
「よし、坊主、バトンタッチだ」
俺はクレイゴーレムと対峙した。
魔石を転がしてクレイゴーレムの足元に。
「【リフォーム】魔石ドリル槍」
ちっ、コアを外した。
ゴーレムは動いている。
「【リフォーム】床変形、石ドリル槍」
石の床が変形して、クレイゴーレムに襲い掛かる。
今度はコアを貫いたみたいだ。
動きが止まった。
石の床を変形すればクレイゴーレムは容易い。
だけど、アイアンゴーレムには石の槍では歯が立たないと思う。
難しいな。
リフォームスキルの限界なのかも。
俺も
「
「ギブアップですか? ギブアップなら私は貴方の下を去らないといけませんね」
ずしんときた。
「自分で答えを見つけるよ」
「ヒントを差し上げます。敵の特性を考えるのです」
結局、この日は答えが出なくてクレイゴーレムだけを倒した。
アイアンゴーレムは見るだけに留めた。
レベルは上がってない。
だよね。
弱い物虐めだと、レベルは上がらない。
さあ、道路のダンジョン化だ。
犬を引いて夜の街を歩く。
オフィス街に出た。
道路脇のビルの敷地は、石のタイルが敷き詰められいてた。
ピカピカに磨き上げられている。
犬がその上を歩いた。
爪が当たってカチカチ音を立てる。
そして犬が滑った。
肉球があるけど滑るんだな。
頭の中を稲妻が走ったように思う。
金属のゴーレムに肉球はない。
石のタイルがざらざらして滑らないと思うけど、俺のリフォームでツルツルにしたら。
きっと転がるぞ。
転がれば、そこからは攻撃し放題だ。
クレイゴーレムなら確かに滑らない。
でもアイアンやミスリルのゴーレムは滑るだろう。
敵によって攻略法を変える。
臨機応変に考える。
ひとつ賢くなった。
さらに滑り易くするなら油だな。
油を撒いたら良い。
「機械油を用意して。台車に載る量で良い」
書類仕事タイム。
「かしこまりました」
微笑む
滑らない靴も要るな。
氷で滑らないように靴底に貼るシールがある。
学校が終わったら明日買ってこよう。
これだけで良いのかな。
いや、
滑らすまでは良い。
攻撃だ。
ええと、押して駄目なら引いてみる。
槍ドリルは外部から貫通することを目標にしている。
孫悟空の輪っかが何故か頭に浮かんだ。
リフォームで輪っかを縮められたら。
実験が必要だ。
「
「かしこまりました」
ダンジョンの第2階層に鉄の塊が準備された。
まずは。
「【リフォーム】輪」
魔石の塊が輪っかになる。
これを鉄の塊に掛けてと。
「【リフォーム】縮め」
バキバキと音がして鉄の塊が壊れる。
「どう?」
「素晴らしいですね。必殺技になるかも知れません。魔石より頑丈なのはドラゴンの鱗ぐらいです」
合格点のようだ。
問題として輪をどうやって敵の首とかに掛けるかだ。
リフォームスキルは建物の内部と外観、それと調度品を変形させるスキルだ。
動かす機能はない。
だが、変形できるのなら巨大な腕を作ることができる。
この腕に輪を使わせたら良いんだ。
巨大な腕は殴ることもできるが、魔力がたくさん要る。
何度もできる技じゃないね。
本当に必殺技だ。
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