第14話 パーティ

 俺のパーティは大船おおぶねさん、香川かがわさん、番田ばんださんを加えた4人パーティになった。

 俺と香川かがわさんは後衛、大船おおぶねさんと番田ばんださんは前衛。

 うちのパーティでは銃火器の使用はなしだ。

 下手な銃火器よりスキルは性能を超える。


 例えば、番田ばんださんのサンダーフィスト。

 電撃の拳だが何万ボルトもの電撃を食らわす。

 Cランク程度の普通のモンスターは一撃だ。

 ただ、魔力の回数制限はある。

 大技だけに魔力の消費は激しい。


 香川かがわさんのブレットは魔力で弾丸を作り出し打ち出す。

 この弾の威力はアンチマテリアルライフルを超える。


 俺のレベルから弾き出されるランクはEだ。

 ただ、リフォームスキルが強い。

 ダンジョンの壁や床は魔力が通っている。

 なのでそれをリフォームした床の槍とかは、銃弾の一撃に相当する。


 このパーティのウイークポイントは大船おおぶねさんだ。

 だけど大船おおぶねさんは死なない。

 俺がいれば、何度でも生き返る。


 それに魔法静物というスキル。

 人間の何倍もの力が出せるようだ。

 とりあえず全員Dランクぐらい余裕だろう。


 それと遊撃として赤いキャットラビットが5匹一緒だ。


 洞窟をしばらく行くと、ゴブリンの集団に出くわした。


「撃つわ。【バレット】」


 香川かがわさんの魔法の弾丸でゴブリンの頭が吹き飛んだ。


「【リフォーム】」


 俺のスキルで岩の床から生えた槍はゴブリンを串刺しにした。

 胃がむかつく。

 前に比べたら吐き気もだいぶ緩和されている。


 無事なゴブリンに魔法使いがいたようだ。

 ファイヤーボールが飛んで来る。


「【パリィ】」


 番田ばんださんがファイヤーボールを手で捌いて逸らす。


「うっし」


 大船おおぶねさんがゴブリンをスコップで殴打した。


 赤いキャットラビットが縦横無尽に動き、ゴブリンを切り刻む。

 ゴブリンの集団は死んだ。

 胃のむかつきをこらえながら、スキルを使ってゴブリンを生き返らせた。


 生き返ったゴブリンは毛のない二足歩行の猫になったが、なんかシュールだ。


「もっと良いデザインがないかな」

「猫は良い。最高だろう」

「無毛だとキモかわいいから何となく」


 俺が難色を示すと香川かがわさんが寄って来た、


「今後、動物園的な展開を考えると、私はもっと可愛い方が」

「猫が可愛くないって言うのか」


 香川かがわさんと番田ばんださんの言い合いに発展しそうだ。

 大船おおぶねさんはその様子を興味なさそうに見てる。


「バリエーション的にはありですが、絶対ではないでよね」

「俺としてはキノコ農園を手伝わせるのなら手の指は人間に近い方が良い」

「猫から肉球を取ったら魅力半減だ。どいつもこいつも、なぜ分からん」


 ええと可愛くって、手が器用でってそんな生物出来るかぁ。

 ここはバリエーションで考えるべきだな。

 猫は番田ばんださんが飼うのと動物園用に数匹いれば良い。

 動物園の主役なるようなフォルムは、ペンギン、アザラシだな。

 これなら無毛でも違和感がない。

 番田ばんださんが猫猫言うから、ゴブリン猫ペンギンと、ゴブリン猫アザラシも作るか。

 問題は、農園の働き手だな。

 人間に近いのは駄目だ。

 きっとキモイと思う。


 農園にきたお客さんが引いてしまう。

 難しいぞ。

 毛が生えればいいのか。

 素材から逸脱したリフォームは難しい。

 皮膚を毛みたいに変形はできるが、たぶん感覚的に嫌だろうな。

 毛に触感があると想像したら、ぞわぞわくる。

 生き返らせたモンスターにストレスを与えたくない。


 無毛の猿も可愛くない。

 怖がられないフォルムねぇ。

 ああ、服と帽子を着せればいいのか。

 じゃあ、妖精に近づけよう。

 ゴブリンの語源も妖精だからな。


「【リフォーム】」


「耳尖って優しそうな顔になりましたね。地味ですが味があります」

「農園で作業させる用だから。これなら客も怖がらない」

「【リフォーム】」

「うおっ、猫アザラシと猫ペンギン良いぞ。とっても良い」


「このフォルムだと歩けなくて可哀想だけどね」

「動物園のバリエーション的にはありだと思います」


「そろそろ、次に行かねぇか」


 大船おおぶねさんに言われて次のモンスターに行くことになった。


「【マジックビジョン】、そこトラップありますよ」


 トラップが出てきたか。

 香川かがわさんに位置が分かるのなら、あとは無力化するだけだ。


「【リフォーム】。トラップは潰したよ」


 俺は転移トラップを第1階層に設置したように、設置できるなら無力化もできる。


「便利なスキルですね。私と組めば最強かしら」

「第1階層と第2階層のモンスターリスポーン地点がなかなか分からなくって困ってた。まあモンスターが出現する時に光が見えるから、注意してれば分かるんだけど。それとリフォームスキルを使うと、その場所の状態が分かるけど、効率が悪くって。もしかして香川かがわさんなら分かる?」

「ええ」

「じゃあ明日から一日2時間のセーフゾーン拡張に付き合ってよ」

「はい、スケジュールを調整致します」


 どすどすという足音が聞こえた。


「くっ、オークか」


 次の敵はオークに率いられたゴブリンの集団だった。

 オークは2メートル半はある巨人で、でっぷり太ってる。

 顔は醜い豚だ。


「撃つわ。【バレット】」


 オークを狙った香川かがわさんの一撃は、オークがゴブリンを盾にして防いだ。


「【リフォーム】」


 俺のスキルで作られた槍はオークに僅かな傷をつけただけに留まった。

 皮膚が硬いのか。


「【サンダーフィスト】」


 番田ばんださんの大技が炸裂。

 ゴブリン2匹が黒焦げになった。


 大船おおぶねさんはゴブリンをスコップで叩きまくっている。

 赤いキャットラビット達はオークに突撃したが、オークは無傷だった。

 赤いキャットラビットではオークは無理そうだ。


「キャットラビットはゴブリンを狙え」

「きゅー」


「撃つわ。【バレット】」


 香川かがわさんの一撃はオークに当たり、オークを死に至らしめた。

 ゴブリン達は全部死んでいる。


 オークをどうリフォームしようか。

 オークはでかいから農園で働かせるのはちょっと無理かな。

 リフォームで小さくするのはできる。

 戦闘用と農園用に分けるべきだな。

 動物園用は、必要ないかな。


 戦闘用は頭を猫にした。

 次にオークを仕留めたら、農園用に妖精タイプにするつもり。

 ゴブリン妖精と違うのは、太っちょにするつもり。

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