第6話
「どうして忘れてたんだろう……。こんな大切なことを……」
誰かの人生に彩りを与えるもの、それは、サプライズニンジャの技術の高さ……なんかじゃない。
人が人を思う気持ちだ。
誰かを驚かせたい、喜ばせたい、幸せにしたい……そう思う純粋な気持ちが、人生を輝かせるんだ。
それに比べれば、ニンジャの技術なんてどうでもいいことだ。
自分が今までしてきた失敗なんて、些細なことだ。
その日のツルノの姿から、自分がこの仕事を目指した最初の情熱のようなものを取り戻した忍。
彼女はもう、仕事が上手くいかなくても卑屈になることはないだろう。「もう辞めよ」なんて言わないだろう。
だって……。だって私……分かったから。思い出したから。
人が人を思いやることの、素晴らしさ。そして、それをお手伝い出来るこの仕事の……やりがいを。
だから……私はまだ頑張れる。
まだ、この仕事を続けていいんだ。
だって……だって、私みたいなサプライズニンジャでも、やれることはあるんだから……。
「そんなわけ、ないでしょ?」
「う……」
後日。
見事失敗に終わった任務の報告書を提出した忍を、上忍の睦海ノノが殺意を込めた瞳でにらみつけた。
「確かに私、任務に失敗してちょうだいとは言ったけど……対象者にチラシを見られてサプライズバレするなんて、想像以上の大失敗よ⁉ あっという間にこの業界中に伝わって、いい笑いものになっているわ! この前のバースデーサプライズのことといい……あなたはこの数日で、どれだけこの会社の信用を落とすつもりなの⁉」
「そ、それは……」
「どうやらあなたは、
「ちょ、ちょっと⁉ いくらなんでもそれはヒドいですよっ!」
「ヒドくないわ!
「そ、そんなあ……う、嘘です、よね? ちょっと怖がらせて、お説教してるだけですよね⁉ も、もおーう、そんなイケズなこと言ったら……ニンニン、ですよー?」
「……」
「ちょ、ちょっとーっ⁉ なんとか言って下さいよーっ! ノノさんっ! ノノさんってばーっ!」
そんなわけで。
落ちこぼれサプライズニンジャの忍の苦悩の日々は、やっぱりこれからも続くのだった。
サプライズ⁉ 忍ちゃん 紙月三角 @kamitsuki_san
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます