殺人日記

「どうするんだよ。俺は知らないよ。」


「何言ってんの、貴方が計画立てたんじゃない。あの男を殺す…」


結婚式を前にして、女はある事で脅されていた。


援助交際をしていたことをネタに毎月30万の支払いをその男にしなければならなか


った。


「まさか、女子高時代の援交相手が、今の会社の上司だったなんて…」


女は、我慢するつもりだった。


このまま、一生金を払い続けるつもりでいた。


しかし、結婚相手との間に子供ができ、幸せを求めてしまうと、脅迫相手が邪魔にな


った。


思い切って、結婚相手に告白すると、彼は、俺に任せろと言った。


だから、任せっきりにしていた。


その後、脅迫相手が遺体となって見つかった。


結婚相手がきっと殺したのだと思って庇う為に彼のアリバイ作りに奔走した。


彼が言った。


俺は手を汚していない。


闇サイトの殺人日記に投稿しただけだと…






殺人日記、1999年3月3日。


この人物を殺してください。


女性を脅迫している悪い男です。


殺してくれれば、金、300万お支払いいたします。


「ふん、300万か、安い殺人だが面白い。やってやろう。だが金額が低い分、手荒な手段になるな。」


大阪銀神町の高層マンション”エッジ”の一室でその男はソファーに腰かけパソコンの


モニターを眺め頷いた。


”エッジ”は家賃150万の高級マンション。


そこには、芸能人や企業のトップクラスが暮らしている。


その最上階の部屋に住めたのは、彼が警察組織の人間だからだった。


所謂、キャリアと言われる幹部候補だった。


桐縣ぎりかた 嵩教たかみつ、35歳。


警視庁特捜本部課長。


次期警視総監候補だ。


彼にとって殺しは、警察組織に対する反抗心、詰まり、ストレス解消法だった。


正義の警察にあって、やってはならない事、犯罪。


そして、もっとも罪の重い殺人を犯すことで、日ごろの押さえつけられた社会への反


抗心の解消に当てた。


だが、理由はどうあれ自ら手を汚すというのは雑魚の人間のやることだ。


パソコンに向かい、裏サイトを開くと請け負う殺人を競売にかける。


桐縣は、殺人の仲介業を楽しんでいた。

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