巡り逢い、異世界
第13話 Un Lock
アルは10歳になり、クリスは13歳になった。
アルとクリスが部屋で一緒に、魔法書を読んでいた時、母のエレナが入ってきた。
「少し良いかしら?まだ先の話ではあるのだけれど…、
アルは12歳になったら、王都にある学園に通って貰う事になるわ。
この国では学園に通う義務があるのよ…、
貴族の子は全員、平民の子は、希望者のみになるけれど。
ここから通うのは不可能だから…、宿舎生活になるわね。」
エレナは不安気にしてるクリスを見ると、安心させる様に笑い掛ける。
「安心しなさい、貴族場合は1人に1名、同行者として行けるわ。」
その言葉にクリスは見てわかる程に安堵する。
「貴族の子なんて、一人で生活できない子が多いからね…。」
「お…俺は一人で生活も出来るよ?
………、その気になれば…、たぶん…、きっと…。」
その様子を見てエレナはアルに流し目を送りながら言うと、
自分は違うと言いつつ、言葉尻が小さくなっていく。
そんな様子を見て笑ったエレナは、脱線した話を戻す。
「それで学園に通う迄の、約2年間…、好きにして良いわよ。
ここにずっと居ても良いし…、冒険者をするのも良いわ。
ジョシュアに頼めば、領地運営の仕事の手伝いもさせて貰えると思うわよ。」
その言葉に、アルは素直に驚いて問い返す。
「え……? 冒険者になって良いんですか?」
「えぇ…、ジョシュアも私も…、まだ暫くは引退は考えてないしね。
学園に3年は通って貰うけど…、
余程の問題が起きない限りは、卒業後も暫くは、貴方のやりたい様にして良いわ。
これは、ジョシュアも賛成してくれているわよ。」
既に父であり領主のジョシュアに話は通してあるのだと、エレナは続ける。
「この村にも冒険者ギルドがあってね。
冒険者登録自体は、何歳からでも出来るのだけれど…、
大体は10歳前後が多いのかしら…。
私が登録したのも、10歳だったわ。」
エレナのその話を聞いて、冒険者の生活を想像して想いを馳せる。
「良いな…、冒険者…。」
独り言のように呟いたアルに、エレナは微笑みながら続ける。
「まぁ…、まだ時間はあるし、急がなくていいから、ゆっくり考えてみなさい。」
そう言い、頷くアルを見て、微笑みながら部屋を出て行った。
エレナが退室した後、すぐ近くに控えていたクリスを見て言う。
「クリス、俺は…、 冒険者になりたい。」
クリスは、数年前に突然、伸ばしていた黒髪を切り、
ボブカットにするようになった。
理由を訊いてもはぐらかされて教えてくれないが、
その辺りからアルに対しても遠慮をしなくなったようで、
以前は言われるがままだったのが、自分の意見を述べるようになった。
その結果、お互いの距離も更に縮まった様に思う。
うん…、勘違いじゃ無い…、はず…だよね?
(ある日突然、ボブカットにしていたから、あれは驚いたな…。
似合ってるから良いけど。)
クールな見た目と口調もきっちりした、前世で言う優等生タイプ?のような、
ハキハキとした喋り方になっている気がする。
(見た目と口調が変わったせいか…、
クリスと喋ってると、前世のケイさんを思い出す…、元気にしてるかな…。
そう言えば、いつの間にか、俺の呼び方も呼び捨てになってるな…。)
「………? アルのやりたい様にすればいいのよ?
アルが冒険者になるなら、私も冒険者になるから何も問題ないわ。」
むしろ、”貴方、今更何言ってるの?”みたいな態度に、
ちょっとビックリしつつも、嬉しさをごまかしつつ返事をする。
「お…、おぉ……、そうか。
じゃあ明日…、母様に言って冒険者に登録しに行こうか。」
(正直…、クリスが一緒に来てくれるなら嬉しいし心強い。)
そう考えながら、冒険者について想いを馳せていた。
アルはステータスを見ようと心の中で呟く。
(ステータスオープン)
―――――――
名前:アルヴィス・アイゼンブルグ
種族:人族 (男)
★スキル
技能スキル
剣術Lv2 棒術Lv3 体術Lv2 操糸術Lv2
魔法スキル
水魔法Lv8 土魔法Lv6 風魔法Lv7 光魔法Lv4 身体強化Lv6
特殊スキル
魔力視Lv1 魔力察知Lv2 魔力注入Lv1
(Lock)
アイテムストレージ 鑑定
補助スキル
器用さUP 体力UP 筋力UP 魔力UP(大) 精力UP(大)
魔力操作 魔力回復向上
打撃耐性(弱)
ステータス隠蔽(隠蔽済み)
異世界言語理解(隠蔽済み)
固有スキル
(Lock)
??召喚
★称号
創造神パン・ドゥーラの加護(隠蔽済み) ??神の加護(隠蔽済み)
――――――
アルは自分のステータスを見て、溜息を吐く。
(はぁ…、やっぱ戦闘技能が壊滅的だなぁ…。
クリスにボコボコにされ過ぎたせいか、
打撃耐性(弱)なんて物も生えて来てるし…。
魔法技能は…順調に育っていってる気がするからそこは一安心か。)
俺はドMじゃないと、自分に言い聞かせつつ、頭をポリポリと掻く。
アルの視線が下に降りていく。
(ついこの前…、精力UPと魔力注入がとうとう解禁されていた…。
解禁されて気付いたが、精力UPだけ、最初から(大)となって居る…。
魔力UPは(大)が付くのにかなりの時間が掛かったのに…。)
「クリス、ちょっとクリスのステータス見せて貰って良い?」
そう…、最近気づいたのだが、相互に見せる意思があれば、
ステータス画面を見せれるし、見れるようになっていた。
最初から出来たのかもしれないがそれはまぁ良い。
「アルが見たいのはステータスだけなのかしら?」
「うん、ありがとー」
(この…、誤解を招きそうな言い回しが、最近増えてきたな…。)
ステータスは見ても良いと解釈して、クリスの言葉を流し、
ステータスを開き互いに見れるようにする。
――――――
名前:クリスティア
種族:人族 (女)
★スキル
技能スキル
剣術Lv6 体術Lv4 料理Lv5
魔法スキル
火魔法Lv2 風魔法Lv1 闇魔法Lv4 身体強化魔法Lv5
特殊スキル
鑑定Lv2 魔力察知Lv1 気配察知Lv3
特殊補助スキル
器用さUP 体力UP 筋力UP 魔力操作 直感
ステータス隠蔽(隠蔽済み)
異世界言語理解(隠蔽済み)
固有スキル
闇神の祝福(隠蔽済み)
★称号
星神の加護(隠蔽済み) 闇神の加護(隠蔽済み)
―――――
そして互いのステータスをクリスと一緒に見ていく。
尚、隠蔽済みの項目はお互いには見えていない。
「クリスは相変わらず…、優秀だよなぁ…。」
「アルも、魔法系のスキルの、数とレベルが凄いわ。」
「まぁ……、2人で前衛と後衛でバランスは良いのかな…?」
そんな会話をしていたら、クリスの視線が一点を見つめて固まった。
「アル…、 精力UP…(大)…、魔力注入…?」
「え…?」
(しまったっ!隠蔽するのを忘れてた。)
クリスが呆然とした顔で呟き、その意味を理解して自分の失態に気付く。
クリスの首がぐりんと俺の方に向いて、眼のハイライトが消えた表情で言う。
「アル…、大丈夫……?
溜まってない? 精力UPしてるなら苦しいでしょ?しかも(大)なんでしょ!?
出した方が良いわよね? ぜぇったい出した方が良いわよっ!!
私が手伝うわ、いいえ手伝わせてっ! 一緒に乗り越えましょう!
大丈夫!私も初めてだけど、やり方はお母さんからちゃんと教わってるわ!
アルが天井の染みを数えている間に、
直ぐに終わるし、直ぐに気持ち良くしてあげるわ!」
「え…?、ちょっ!?、クリスっ!?」
抵抗しようと前に出した右手を左手で打ち払われ、
代わりに出した左手を右手で摑まれ、身体ごとベッドに押し倒される。
(くそっ!クリスの手捌きが鋭い!)
ズボンに手を掛けられ、脱がされる間際に慌ててズボンを手で抑える。
「ちょ、ちょーっと、待ってっ!!俺まだっ! まだだからっ!
確かに精力UPは解放されたけど、ちょっ! ちからっ!? つよっ!?アッ!
破れ…って、たぶんまだ精通してないっ!ってか、マリーさん!娘に何を教えてるんだ!」
「メイドの嗜みでございますよ?」
ズボンを抑えて抵抗するが、
身体強化を発動したクリスの手でじりじりとズボンを脱がされて、
もう少しで[パォーン‼︎]が見えそうという時、
バリッとズボンの破れる音と共にクリスは我に返り、
落胆を隠しつつ身体強化を解いて呆然として謝罪を呟く。
途中、マリーさんの声が聴こえた気がしたが、
この場にマリーさんは居ないはず…今はスルーだ。
「そう…、だったの……。ごめんなさい……、私……てっきり…。」
暴走した罪悪感と言うより、行為に及べなかった残念さが勝っているような、
なんとも言えない謝罪を受けて気不味い雰囲気が漂う。
「その…、 あれだ…、もうすぐだと…思うから…、もう少し…待ってね…?」
クリスの顔色を窺いつつ言う、アルのフォローにもなってない言葉。
だがしかし、クリスは効果抜群だったようで、花が咲くかのような笑顔になる。
「うふふ、大丈夫…。アルの事をいつでも…、待っているからね。」
(クリスの可愛い笑顔が怖い…!)
返す笑顔がヒク付いてる事を自覚しながらも、話を戻そうと試みる。
「そ…そうだっ、クリス、俺のスキルを、鑑定して見てくれないか?」
「良いわよ、見て欲しい事は、精力UPと魔力注入ね?」
「あ、はい…、オネガイシマス。」
―――――
精力UP(大): 常時発動
精力を増強する。
持久力、連戦回数が大幅にUP。
定期的に発散しないと暴発する。
―――――
「………、えー…。」
「アル…、定期的に発散しないと…、暴発するみたいよ?」
「………、判ってるから言うなし…。」
クリスがチョンチョンと俺の肩を突きながらする報告をバッサリ切り捨てる。
―――――
魔力注入:任意で発動可能。
性行為時に対象に放出した精液を魔力に変換して、
対象の魔力を限界を超えて、増大させる。
精液を魔力に変換させるため、発動時に妊娠は不可能。
付与された魔力は時間経過とともに減少するが、僅かな量は対象に定着する。
また、魔力注入時には催淫効果が僅かにあり、注入者の精力が強いほど、
魔力注入量や催淫効果も増える。Lvが上がると変換効率、魔力の定着効率UP。
―――――
鑑定結果を見たアルは膝から崩れ落ちた。
「効果は予想通りと言うか…、そのまんまやんけ…、
なんなの……、この凶悪コンボ…。」
(つまり、確実な避妊で、気持ちいい、精力増大でその効果を補強と…。
更に…、注入された側は、催淫効果で満足しやすい上に、
保有魔力を増強出来ると…、どこのエロゲ設定だよ…。
パンドゥーラのおっさん…、本当にサイコロ振ってこの凶コンボを引いたのか…?)
へたり込みながらも内容を纏めて、創造神に対する疑惑を募らせていると、
鑑定内容を見て、めちゃくちゃ機嫌が良くなったクリスは、
本日最高の笑顔で言う。
「出来る様になったら、私に頑張って注入してね?
いつでも待ってるからっ♪」
「…………。」
機嫌のいいクリスと、白目を剥いたアルは、微妙な空気のまま勉強を再開した。
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