第2話・魔王さまに抱かれてオレは堕ちる(次の第3話「魔王さまに身も心も捧げます」は非公開です)
新魔王シャルルーズは、かぶっていた動物の頭蓋骨をテーブルの上に置くと、指を鳴らした。
どこからか、黒装束の忍者たちが現れて魔王の衣服を疾風のごとく脱がしてオレの眼の前で魔王を裸にした。
裸のシャルルーズが、オレに一歩近づきながら言った。
「さあ、勇者よ……わたしの
「ち、ち、ちょっと待ってくれ! 状況がまったく把握できていない! オレは異世界の勇者じゃない! 男神 勇者だ!」
「今、勇者と名乗ったではないか?」
「いや、だから名前が勇者なだけで。オレなんかバスケ部の幽霊部員で、休日には朝から晩までゲーム三昧の平凡な高校生だし」
「なにをワケのわからないコトを」
オレは魔王シャルルーズに必死に説明して、やっとオレが名前だけが勇者であるコトを理解してもらった。
「勇者ではないのか……誤解を招く、ややこしい命名をされたな、恨むなら誤解を招くような命名をした両親を恨むがいいぞ……高度な召喚術で呼び寄せてしまった者をこのまま、帰すわけにはいかないからな」
シャルルーズの話しだと、召喚を一回行うたびに国民の血税が使われているらしい。
「やはり、男の体の味を覚えさせて。魔王の
身の危険を感じたオレはベッドの壁際にへばりつく。
「やめてくれぇ、オレにはそんな趣味はない。さっきから話しに出てくる『男ハーレム』って、一体何なんだ?」
「そこから説明か……いいだろう話してやろう、わたしは別世界から転生してきて女性を集めてハーレムを作ろうとする
新魔王になったシャルルーズは、手はじめに国内にいたハーレムパーティーを目論む勇者やらをなんやらを、捕まえてきては男だけのハーレムにぶち込んだと、オレに言った。
「国内の女性は全員、隣国の女性魔王が統治する国に、国外退去してもらった……噂では女性魔王が、我が国の退去させた女性たちを集めて『百合ハーレム』を作ったそうだ」
話し終ったシャルルーズは、飲み物ビンに入っていた赤い液体を木製のコップに注いでオレに差し出してきた。
「いきなり、召喚してしまってすまなかった……喉が渇いただろう」
喉が乾いていたオレは、何も考えずに差し出された液体を飲み干した。
空になったコップをオレから受け取ったシャルルーズが、笑みを浮かべながら言った。
「さあ、わたしの顔を見るのだ」
オレは、さほど考えずにシャルルーズの美形顔を見つめる。
なぜか男の顔と裸に、ドキンッと心臓が高鳴り、体が熱く紅潮してきた。
(なんで、男を見ただけでこんなにドキドキするんだ? あぁ、なんかオレの体……変だ)
シャルルーズが、オレの手を握ると感情の高揚はさらに上昇した。
シャルルーズが呟く声が、体が火照ってきたオレの耳に届く。
「男専用の媚薬だ、最初に見た者に抱かれたくなる……どうだ、男神 勇者。わたしの寵愛を受けたくなっただろう」
(媚薬だって! オレ、媚薬を飲まされたのか)
抑えきれない特別な感情、本来は女性に対して抱き向けられるオレの感情が生まれて初めて、眼の前にいる美形の男性魔王に流れる。
(はぁはぁはぁ、ダメだ……その言葉を口にしたらダメだ! シャルルーズさま……オレは、オレは)
決壊したダムの激流のように、オレの口から禁断の言葉が出る。
「はぁはぁはぁ、シャルルーズさまオレを抱いてください……シャルルーズさまの寵愛をオレの体と心に与えてください……はぁはぁはぁ、早く」
オレは、これは媚薬の影響で言わされている言葉だと、自分に言い聞かせながら。
肉体が、たまらなく眼の前にいる魔王を求めているのだと感じていた。
裸のシャルルーズと、裸のオレは唇を重ねる。
「んっんっ……ふぁ」
生まれて初めての男同士のキスに嫌悪感は無かった。
オレはベッドに押し倒される。
男しか愛せない優しい魔王が言った。
「たっぷりと、愛してやるからな……男ハーレムのリーダーとして、男神 勇者は相応しいから召喚魔術に選ばれて、わたしに抱かれるためにココに来た」
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