306.熟女ツンデール組 世界一周ツアーにいざ出発!

 アイサーレさんがITOで様々な問題の解決に活躍されている数年間。


 私達も国内の開発、教育方針の微調整、高規格高速鉄道の整備にそれなりに忙しい日々を過ごしていました。


******


 ゴリアではついにネゴーリア王女とアイサーレさんの結婚が正式に決まり、盛大な結婚式が挙式されました。


 ネゴーリア王女の、あの花が咲き乱れたかの様なあの笑顔!

 でもそれにも負けないメリエンヌ陛下の、満足しきった笑顔!


「お嬢様!おめでとうごさいます!」


 久しぶりにツンデール組が集まり、私とメリエンヌ四世陛下を労ってくれました。


 そういう皆も、王子殿下や嫡男殿の婚約が進んでいるそうで、お互い安泰で何よりです。


「私達もすっかり落ち着いてしまったものですね」

「サンズーノに、ジゾエンマに、新大陸にと彷徨っていたのが夢の様です」

「その上今や王妃様ですものねぇ~」

「一国の女王としてこんな多くの王妃様達が友人なんて、有難いこっちゃ!」


「畏れ多い!お知り合いだった私達が気が付けば王妃に娶って頂いただけです」

「しかも、とても愛し合える方々との結婚ですう!こんな幸せ、ないですよお!」


「それもこれもツンデールのお陰やな!」

「本当です」「ねえ」


 え?私何もしてませんわ?

「「「ええ~???!!!」」」

 全員が突っ込みましたー!何故ー!!


 私達は笑い合い、乾杯を重ねました。


******


 それから数年。


 ボーシーで、ビックリーシタ陛下が神に召されました。

 今、主の御許で、ライバルの様で友人の様であったポリタニア陛下と再会されていますでしょうか。


 オーキクテリアでは、ユルゲンス王子が成婚した後、国家復興の激務を終えられたエーデス三世陛下も他界されました。

 戦勝の英雄だけが持て囃されるこの世に於いて、立派に国を、世界の安定をお守り下さいました。


 総本山でも、何か問題のある都度私達の後ろ盾となり、世界の融和に尽くされたモルネゼウス法王が帰天されました。

 その様子がラジビで世界に放送され、救世教国だけでなく、アストルでも、コンギスタでも、遠くザボンでも、異なる神に向けられた人々の祈りを集めたのです。


 新法王はトリヌス三世と名乗られ、前二代法王聖下同様に他宗教への理解と交流を引き継がれました。


 コンギスタではアルデンバイ陛下の王子が見初めた歌手を妻に娶り、その子が後を継ぐであろうと噂される様になりました。


 ボーシーの学校を苦学の末卒業した才媛です。

 コンギスタやアクバル文化圏の音楽を世界に広めようと音楽を学び、どこでどう知り合ったか、はたまた異質な音楽に惹かれたか、キャロチュ夫婦の目に…耳に留まり、有名になったのです。


「どうやらアイサーレ殿下がキャロチュちゃんに紹介したみたいですね。

 アレクサンドル殿がパトロンの伯爵家に頼んでその歌姫を養女にして、地位を用意して結婚に漕ぎつけたそうです」


 うげ、情報部長。子供も生まれたキャロチュにいまだに「ちゃん」付け!


「永遠の歌姫故」

 まあコイツは兎に角、アイサーレさんも頑張ってますのね!

 母は嬉しいですよ!


 その結婚式に私達は例によって参加しましたが、実の親は身分が低く参加しませんでした。


 でも。

 あの王子妃、歌姫に。

 シェーラ王子妃の面影を感じるのは気の所為でしょうか。

 私達にアクバル滅亡の危機を訴え、救いを求めに来た筈なのに、私達に刃を向けた、悲しい滅びの道を選んでしまった王子妃。


 もしかしたら、友達になれたかもしれない。

 でもそうはならなかったシェーラ妃。


 ザイト様に目を向けましたが、黙って何も言いません。

 やはりあの子はそうなのでしょうね。


 私に出来るのは、シェーラ妃と恐らく彼女を救った夫、あの楽しそうに歌う姫、家族の幸福が続く様に祈る事だけです。


******


 さらに時間は過ぎていきます。


 もう多くの先達が他界されました。

 そして、世界は今日も平和です。


 アイサーレさんはネゴーリア殿下との間に王子を設けました。


 ヨノタメニさんもドデスカの姫と結婚しました。


 イトシーナさんも大陸の学校で決闘を挑んだ縁で??ブンメードのアマデオ王子と結婚し、王太子妃となりました。

 イトシーナさん何やってんですのー!!


 一方でトビコエールさんは独身。

 海軍士官見習いとなって世界の海と空を機送艦隊を率い?駆け巡っています。

 ちゃんと結婚できるかどうか、ちょっと不安ですわ。


「お嬢様がそれを言いますか」

 ケニエはまだ私の護衛とツッコミ係を務めてくれています。


 私はかつてツンデール組と呼ばれた皆に招待状を出す事にしました。

 なにせ、もう50になります。

 半世紀ですか…。


 昔ならとっくに死んでいてもおかしくない歳ですが、今では清潔な環境、充実した医療、豊かな食生活に囲まれて、更に温泉三昧!

 私はまだまだ元気です。


 今では平均寿命は貴族で70、平民でも60。

 長生き出来る様になりました。

 悲しい夭折も産褥死も、病院で出産する限り極めて稀な事になってくれました。

 そんな幸せな国を守るため、こんなお婆ちゃんになってもまだお仕事が山積みです。

「まだまだお美しい」

 ありがとう、ケニエ。


 ですから。ちょっとは羽を伸ばしてもいいじゃないですか。


******


 生を全うされたお父様。

 そして後を追うように亡くなられたお母様。

 お二人の国葬を終えたある日、私は決意しました。


「ツンデール組、全員集合!」

「よっしゃー!」

 うわビックリなんでここにいるの女王陛下!

「そろそろ声がかかる思ってな!」


******


「存分に楽しんでくるのだぞ」


 旦那様に見送られて。

 ゴリア、サンズーノに集まった10人。

 そしてムンチル達3人、コマ達3人の何と16人。

 みんな旦那様や子供に仕事を放り投げて集まりました。


 みんな随分とお婆さんになったかしら…

 あら?意外と若いですわね?


「それは衛生と栄養と温泉と美容が」

「全部ザイト様のお陰ですう!」

「もう貴族夫人の中でも事情通にゃ、あん人神様扱いやで?!」


…頭が上がりませんわね全く!


「寂しいですわね。私も仲間に入れて下さい」とファミリア様まで!

 ファミリア様もお肌艶艶!


「そうそう!ザイト様は?」

 一緒に行くのは野暮だって外して下さいましたけど…

「なんや寂しいなあ」

「あの方あっての私達ですのに!」

「ご一緒したかったですう!」


…モテモテですわね。

 でも、絶対ずっと見てますわ、それこそ温泉の中までもね!

 あのスケベオヤジがあ!


 まずはゴリア国内を巡ります。

 その後、クレタ港からフナノリア様所有の豪華客船・軽武装?付きで、世界一周の旅です。

 お世話になった国王陛下達のお墓参りも兼ねて、飲んで騒いで旅しましょう!


******


 私達はマモレーヌ伯爵、ドースガナ男爵から始まって、サイノッカでエバリオ夫婦を、デリーでメリー大公を、ピート港でクレタのお父様をと、恩ある方々のお墓をお参りに向かいました。


「伯爵にはお世話になった様な、なってない様な」

「私、いいように裏切られましたからね」

「でも相当後悔されていた様ですよお?」

 内乱の時は援護して頂きましたし、その後もお世話になりましたよね。


「ドースガナ様には親代わりになって貰って、優すく育でで貰った」

 余りお会いする機会はありませんでしたけど、クローネを見ていればどんな正しく優しい方だったか解る気がします。


 エバリオ夫婦のお墓参りでは

「両親は毎日ツンデール様に感謝を捧げていました」と御子息。

「私の命があるのは、ツンデール様のお陰とも教えられました」

 ハカナーヤ様が新たに授かった命。それがこのお方なんですものね。でも。


「それは違います。ご両親のお力があったからです。それに」


 私達を歓迎して、ハカナーヤ様の生徒の皆さん。

 今やゴリアの公社や官僚、商会で大活躍されている名士の方々が来て下さいました。

「こんな沢山の自慢の子供達を育てられたのですもの」

「母も父も、天国で涙を流して喜んでいるでしょう!」


 そして、王都大聖堂でメリー大公を、郊外の墓地でピート伯爵、トレーダ商会長に祈りを捧げました。

「メリー大公陛下のお目に留めて頂けなければ、私達はサンズーノで終わっていたでしょうね」

「おっそろしー事いうなー。

 そないな事なったらITOも万博も、鉄道も飛行機もなんも出来んかったで?」

「ザイト様が私の他に仕えたいと思う人がいれば、それらは出来ていたでしょうね」

「それは無いなー」「私もそう思います」「私もですよぉ」

 何だかくすぐったいですわね。


******


 今や巨大な軍港であり貿易港となったクレタ港で人々の歓声に見送られ、軽武装付き?豪華客船、その名も英雄から頂いた「テンペスト号」はレジニアへと向かいました。


「あん時は色々考えたなー」

 離れつつある港を眺め、ワインを頂きながら。

「本当に感謝します。私の我がままにあそこまで熱心にお付き合い頂いて!」

 クレタと一緒に鉄道延伸計画を必死に考えましたわね。


「あの時のクレタ様の延伸計画書は、今でも公社の新人研修に使われているんですよ。感謝するのはゴリアをはじめとする公社の一同ですわ」

 深く頭を下げるムンチル。あ、キャロチュもキューソも、ザボンの三人も頭を下げました。

「すっごく大変だったけどー。

 何かしよーって思った時のいい頭の訓練になりましたー!」

 キャロチュでもそう思うの?

「ひっどいですわー!

 これでも歌を作る時、皆が何を聞きたいかなー、どんなふうに歌おうかなー、皆が歌いやすい風にしなくちゃーって考えたんですよ?」


 そうですわね、今では一大音楽会社の代表で、世界有数の長者ですものね。


「私の病院経営にも教本の元にさせて頂いてますわ!」

 キューソもドデスカ医療の母として活躍しています。


「そして今!更なる世界最大の計画が私の者になるのですわー!」

 ああ、この子全然変わらないわ。

 それがちょっと嬉しいんですけどね。


 尚、その世界最大の計画は後程。

 先ずは乾杯ですわ!


******


 国際貿易港となったアカダマパンからは鉄道の旅。勿論フナノリア様も一緒です。

 かつてゴリア艦隊の砲撃で廃墟になっていたとは思えない賑わいですわね!


「はあ。ショアの爺様には頭が上がらんなあ」

「動画の『大海原の英雄達』の終幕ですわね」


 あの頃私は豚女の所為で新大陸で右往左往してましたから。

 そのお陰で愛する旦那様とのご縁が出来たのですから、感謝はしませんが人の運の奇妙さは感じますわ。


「せや。あんとき爺様がウチを止めてくれんかったら…

 今の平和もどうだったんやろなあ」

「そう言って頂ければ祖父も父も喜びます」


 今では世界最強の海軍国となったゴリア。

 水兵も士官も『大海原の英雄達』を見たことがない物はいない、とまで言われています。

「何や恥ずかしいなあ」

「いいじゃないですか、母と娘、二代に亘って本人役で動画に出られたのはゴリア王家だけですわよ?」

「そっちかてあんさんら出演しとるやないけ!」

「あの時は必死でしたけど、見る度に恥ずかしい物でした!」「そうですよお」

「マッコーはんは二作に出とるし!」

「そっちも恥ずかしいです!」


 等と笑いながら飲みながら、船は港へ到着。


 豚女との戦いの結果独立したシュセーキョー公国の先王も、今では天の門の向こうです。

 食糧危機、燃料危機の時にはITO、ブンメード、サクラーダと協力して関税を調整し、価格の安定を守って下さいました。

 食糧供給地の王族としても、価格を守って頂いた事に深く感謝します。


******


 快適な高速鉄道に乗って、大陸を疾走します。


 高速鉄道は娘の嫁ぎ先ブンメードへ。

 今ではITO創生期を知る数少ない王となってしまったクシャトリア王、私の義理の息子となったアマデオ王子、そしてお転婆娘のイトシーナ王子妃にご挨拶。


 と言ってももう二人共立派な大人で、子供も三人。

 私もお祖母ちゃんです。


「ファミリア、楽しいか?」

「ええ。若返った気がしますわ」

「元々若々しいけど良かったなあ!もっと楽しんできて欲しい。

 皆様も、妻を宜しくお願いします」

 うわ惚気られちゃいましたー!本当に愛し合っているのですわね。


「母上だけいいですわねー」

「イトシーナ。貴女の母上は世界の救世主の様なお方だ。

 こうして平和な世界を親しい方々と遊んで廻る事の、何が悪いのだ?」

「でも羨ましくありません?仕事無しなんですわよ!」


 まあイトシーナさんも取引先各国との利益不均衡問題の是正とか外交問題で飛び回ってますからね。

 ついた渾名が「空飛ぶお節介な女神」。


「いつかは母上達の様に、親友達と一緒に世界を旅しようではないか。

 仕事抜きでな?」

「しょ!しょうがありませんわね!もう!」

 そう言いつつ真っ赤なイトシーナさん。ラブラブですわね。


 学生時代決闘騒ぎを起こした時はどうしたものか、いっそこの髪を切って土下座して謝ろうかと死ぬ程の思いをしたものです。


 嗚呼、アマデオ王子がご両親に似て柔和な方でよかったー!


「何があったのですか?」「私気になりますぅ」「ナイショです」「ウシシシ」

 外野!煩いですわよ!


******


 高速鉄道はレジニア大陸南岸に向かい、サクラーダへ。

 はあ~。大陸の中でもここに来ると、何か落ち着きますわねー。


「そう言って頂けると女王として嬉しい限りですわ」

 そう仰るファミリア陛下のご人格のお陰でもあるんですけどね。


 私達を迎えて下さるのは、女王陛下の旅行中、留守を守るエマヌエル王子。

 今や立派なイケオジです。

 まるで肖像画のサクラーダ侯爵が抜けだした様です。


「毎度の口上で申し訳ありませんが。

 我が母子の命の恩人、メリエンヌ四世陛下、ツンデール王妃陛下を歓迎致します」


 ああ。思い出します。

 悪意に満ちた敵を退け、聖誕祭の前に何とかエマヌエル王子のお産を無事に終えられたことを。


 あの時ザイト様が言っていた、清潔で母子の健康を守れる出産。

 そんな夢物語と思っていたことが今では相当当たり前に広まっている事。


 あの寒い聖誕祭前の夜。

 サクラーダの街に満ち溢れた、喜びと優しさの暖かい空気。


「もしかしたら我がサクラーダも、悪辣なブンダクール伯爵に支配されてしまったら、廃墟になっていたかもしれませんのね…」

「それはザイト様が許さなかったでしょう」


 ふくよかで愛らしいファミリア様と今生まれようとしていたお腹の赤ちゃんを、あの人が見捨てたでしょうかね?


「うふふ。稀代の魔導士様から守って頂けて、本当に返し切れない御恩でしたわね」


 やっぱりあの人は、凄いのですね。今更ですけど。コンチクショウ!

「ヒデェ」

…やっぱりどっかで見ていません?


******


 ボーシーまであっという間でした。

「駆け出しの頃は何日もかかった物やったんがなあ~」


 総本山では特別に礼拝まで上げて頂き、しかも法王トリヌス三世聖下自ら司祭を務めて下さる騒ぎに。


 私達、実はスゴい?

「スゴいなんてもんじゃないんじゃないですか?」

「だってぇ。

 11人中2人が女王、4人が王妃でぇ。

 世界の技術の頂点のザイト様の妻に領主に研究所長ぉ?

 ゴリア貿易の要の領主様にぃ、海の英雄の孫で東西海路の開拓者ぁ…

 お嬢様はゴリアとブンメードの王家の義理の母みたいなものですしい…

 って、自分で言っててなんですけどぉ。

 もう権力の塊が世界中を歩き回ってるもんですよお~!」


「確かに乗ってる船とか列車とか爆破されたら、世界の権力に空白が生まれるなあ」

「空白どころじゃありません!誰が沈めたかで第三次世界大戦が起きちゃいますよお!!」

「ジョーダンやがな、ははは。どーせザイトはんが見てくれとるやろしな」


 それもそうですわね。


「ふふふ。ザイト様の妻、ですか。ステキですね」


 もうケニエとスイサイダさん、カチソコーネさんは世間的にはザイト夫人で通ってます。

 あの二人は孤児院を開設して、今ではテアポカ最高頭脳を輩出する英才学園を仕切っていますけどね。

 エバリオ様とハカナーヤ様の遺されたサイノッカ学校と互角の勝負で、世界の教育界の向上に、英才を輩出しつつ貢献しています。


 大聖堂内、歴代の法王の墓所にて、トリヌス二世聖下とモルネゼウス聖下に感謝の祈りを捧げて。

 世界の終わりの裁きの壁画を参拝して、総本山の前庭へ。


 ああ。ここに模型の鉄道を敷いたり、あのベランダからトリヌス二世陛下が私に微笑んで下さったのでしたね。


「もし、子供達に向けての行事がここであれば、また模型鉄道を献上させて頂いても宜しいでしょうか?」

「いえ、毎年やっていますよ?昔頂いた模型を使って」


 私達を案内して下さった司教様が教えてくれました。

「メリエンヌ陛下とツンデール陛下が来て以来、待降節(生誕を待つ期間)と復活祭の後には。

 王都の孤児院を招いて総本山内で模型鉄道を運転して御菓子を贈る行事を行うんですよ。

 あまり公にはしていませんけどね」


 はー!そうですの?!知っていたら私も及ばずながらご支援を…

「そうなると大事になってしまうので、こぢんまりとやっているんです。

 そういうのが好きな司教様がいらっしゃったので、その遺志を継いで趣味の範囲で、ですけど」


 いらっしゃいましたわね!何回も模型の鉄道に並んで乗っていらっしゃった方が!その方のお墓もお参りしなくては!


******


 ボーシー王宮へ、ビックリーシタ・エッラソーニ二世陛下のお墓をお参りして、イトーリまで延伸した高速鉄道の支線でボルケノへ。


 レジニア大陸最初の鉄道「総本山巡礼鉄道」も今では高速鉄道に置き換えられています。

「物も進化するんやな」

「あの時は大変でした。もう工事基準がズッタズタで」

 まるで数日前の様にクリナが情熱的に語ります。


「でもクリナ様の敷かれた鉄道のお陰で、私の国は大噴火から多くの市民を救う事が出来たんですよ?」

 更にフジョシーが情熱的に!

「いえ!まさかあの時はそんな事がおきるなんて思ってませんでしたわ!」

「それでも感謝しますわ。私も夫も、そして王都民も」

 この子…50近くなって子も婆もないですわね。相変わらず情熱的で何よりです。


 あー。そーいやあの辺のアレコレも動画になって語り継がれてましたわねえ~。

 ザイト様が嬉々として噴火のトクサツ?をやってて。

 火山だーって大きな水槽の中に山の模型をさかさまに作ってた時は頭が可笑しくなったかと思いましたわ。


 それがあんな恐ろしい映像になるなんて。

 水槽に流し込んだ塗料が火山の爆発を再現するなんてねえ。

 しかも出来上がった映画ではご丁寧に爆炎の中で雷が光る様まで付け加えられて、驚きましたわ。


 私達はフジョシーの案内でポリタニア七世陛下のお墓をお参りしました。

 八世陛下も一緒です。

 寂しいですわ。暑苦しく感じた南国のマッチョイケオジな国王陛下お二人が居なくなって久しいです。


 私達はこれからは、お別れが多くなる歳になってしまったのでしょうねえ。


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