第6話


語り手は文が上手く書けない。

書いていると、頭の中でぐちゃぐちゃになる。


だから、作文やレポートは書けないし。

小論文なんて見ただけで吐き気を催す。


──え?

お前、小説書いているじゃないかって?


あれは、何度も何度も何度も書き直して、なんとか出来た作品である。

(上手いかどうかは別にしてだが)


まあ、そんなんなので、

語り手は学校の課題でレポートが出されると……顔面ムンク君になる。


その上、追い討ちをかける様に期限まで短いと、半泣きムンク君になって、ララバイに泣きつくのである。


語り手

「へるぷ。まい、あーね! レポォート、まぁじ、分からんのってぇ」


ララバイ

「(溜息)仕方ないなぁ。手伝うよ」



思い返せば、思い返すほど。

ララバイは良い姉だ。

語り手はそう思う。

(仲、良いんだね)



・・・


語り手の姉、ララバイは聞き上手だ。

途轍もなく聞き上手だ。


その実力は、道行く人になんかよく分からんけど話しかけられるほどである。

(何それ、怖っ)


語り手はララバイの聞いてきた話が好きなので、食事の席で聞いていると、何個かヤバい話があったりするのである。


例えば、ララバイの高校時代。


ララバイの友達

「ねぇ、どうしよう」


ララバイ

「どうしたの?」


ララバイの友達

「私、妊娠してしまったかも!」


ララバイ

「は?」


ララバイの友達

「ねえ、ねえ、ララバイ。どうしたら良いと思う?」


ララバイ

「(いや、知るかよ。そんなの。一度も付き合った事のない私にそんな話を振らないでよ!)

うーん。こうして。あーして。こうするのはどうかなぁ?」


とか。


例えば、駅で出会った人にて。


謎のお婆さん

「アンタ、手を貸してみ」


ララバイ

「(なんで、手? まあ、いいや)

え? あ、はい。どうぞ」


謎のお婆さん

「アンタ、良かったね。生きてて。アンタ、前にあーなった時に死んでいたかもしれなかったよ」


ララバイ

「(何それ、怖っ!)あー。そうなんですね」


とか。

まあ、めちゃくちゃあったりする。


もう、いっそのこと“かうんせらー”なれよ!

語り手はそう言いたい。

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