第5話

語り手の一家はおかしい。

どのくらいおかしいかって言うと、真夜中にマウンテンゴリラの発音について議論するくらいにはおかしい。


──え? その話聞きたいって?


あれは、冬の寒い日の事だった。

(あんまりよく覚えてないけど)


ちょうど、ファザーとララバイと語り手で外を歩いていた時、ララバイが突然、明日の英語のテストの事について愚痴り始めたのだ。


内容はマウンテンゴリラについての英語の論文で出てくるマウンテンゴリラの発音が難しいというもの。


ララバイ

「マウッッウンゴリィラァ〜」


ファザー

「は? マッウッッンゴリィラァ〜?」


ララバイ

「いや、ちょっと違うって。マッウッッンゴリィラァ〜だよ」


ファザー

「え? マッウッッンゴリィラァ〜?」


語り手

「(サッパリ違いが分からん)」


(以下略)

という話がずーっと続き、気づけば玄関。


今、思えば、アレってご近所さんにはホラーでしかないな。

真夜中に聞こえてくる…… 。

マウンテンゴリラ(ねいてぃぶ)


聞こえてしまった人、マジでごめんなさい。

語り手はそう言いたい。


後日談。

ちなみに、その話を思い出して、

ララバイに正しい発音って何?


って聞いてみたら、


ララバイ

「マッウッッンゴリィラァ」


語り手

「……」


全くと言って良いほど分からず、理解する事を諦めた語り手であった。


・・・


語り手には変な友達がいる。

友達から見れば語り手も大分変らしいが、それはまた別の話。


語り手の友達は大分変な人がいるが、その中でも1人ズバ抜けてヤバい奴がいる。

ここでは、『止まるじゃねぇぞ!』君と書いておく事にする。(命名、語り手)


『止まるじゃねぇぞ!』君は不思議だ。

成績は良いのに、頭は凄く良いのに、

やる事なす事がおかしい。


今でも強く記憶に残ってのいるのは、英語の先生への謝罪会見である。

(注、会見というほどでは無く、課題を忘れてしまったから謝るだけの話である)


ある日の事。

『止まるじゃねぇぞ!』君が英語の課題をやって来なかった日があった。


まあ、勿論のこと、怒られるわけで……。

謝らないといけず、先生の元へと向かう『止まるじゃねぇぞ!』君。

だけど、謝らないといけないのに、ごめんなさいが言えず、怒られてしまう。


それを見ていた語り手と別の友達は頷き合い、次回やらかした時になんとかしようと心に誓ったのである。


そして……。

再び、“あいるびーばっく”してきた『止まるじゃねぇぞ!』君。

(多分、アイルビーバックの使い方、間違ってる)


語り手

「お前、分かってるな? まずは謝罪だぞ! 謝罪! 言い訳じゃねぇからな! 100%悪いのお前だからな!?」


別の友達

「いいか! 理解したな? 『止まるじゃねぇぞ』」


止まるじゃねぇぞ

「うん! 分かってるよ。大丈夫」


こんな会話をわざわざ大声でして、黒板前にいる英語の先生にも聞こえていたのか、英語先生もどこか覚悟を決めた様な面持ちに。


さあ、いけ!

そんな気持ちで送り出したのは、良いものの。

その期待を見事に裏切ってくれるのが、

“語り手ふれんず”なわけで……。


止まるじゃねぇぞ

「(言い訳〜〜)」


語り手・友達

「「待て待て待て! ストーップ! 止まれ! 『止まるじゃねぇぞ』止まれ〜〜!?」」


『止まるじゃねぇぞ!』君。

中々にやばい奴だった。

語り手は今でもそう思う。

(お前が言うな)

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