第4話
次の日、俺の不安は変な形で的中する。
「藻太郎、口に合うか分からないけどこれお弁当」
と朝、郷田は俺に弁当を渡してきたのだ、俺はどういう事?と固まっていると
「そう言ってモニキに変な物を食わせる気だろ」
とテルは郷田を警戒する、すると郷田は少し悲しそうな顔で
「罪滅ぼしのつもりだったんだけどな、でもそうだよね、こんな事されても迷惑だよね、じゃ受け取らなくていいよ」
と言って自分の席に帰ろうとしたので俺は思わず
「食べるよ」
と口に出してしまう、その言葉を聞いた郷田は喜びの笑みを浮かべ
「恥ずかしいけど、不登校中に暇で料理の練習してたから味はそこそこだと思うよ」
と言ってお弁当を渡してきたので俺は受け取り
「ありがとう」
とお礼を言うと
「、、、、、、、」
と郷田は何かを呟いていたので何なんだろうと見ていると
「郷田、お前、不登校中に料理の練習してたって言ってたよな、じゃ昨日学校に居た郷田は誰?」
とテルが言ってきたので俺は確かにと思い
「昨日の郷田さんは誰?」
と郷田に聞くと郷田は一瞬ショックを受けた表情をした後
「あれは妹の樹だよ、樹も藻太郎をイジメてたね、今度一緒に謝りに行くよ」
と言ってきたので俺は妹にもパシらされていたのかとショックを受けてると
「藻太郎、本当にごめん、妹の分も許してもらえるように頑張るよ」
と郷田が悲しそうな顔をしていたので俺はどう返せば分からず頷く事にした。
朝にそんな事があり、昼休みになった。
俺は早速昼飯を食おうとテルの所に行き
「一緒に飯を食べよう」
「いいっすね、モニキ、じゃ行きましょう」
と言い中庭に向かおうとすると郷田がこちらをチラチラと見てきていた、するとテルは郷田に近づき
「モニキに許してもらえる様に頑張るんでしょ、じゃそんな所でこっちをチラチラ見てないで行こうぜ」
「いいのかな、藻太郎が怖がらないかな」
と郷田はこちらを見てきたので俺は
「いいよ」
と答えると郷田は
「、、、、、、、、、」
と何かを呟いた後
「分かった行くよ」
と笑顔で立ち上がり、俺たちと一緒に中庭に行くのであった。
中庭に着いた俺たちはベンチに座り昼食を取る事にした、俺は早速郷田から貰った弁当箱を開けて中を見る、すると唐揚げや卵焼きなどおかずの家庭的な弁当で驚いていると郷田が
「どうかな」
と不安そうに聞いてきたので
「美味しそう」
と素直に感謝をすると郷田はまた何かを呟き、
「それなら良かった」
と笑顔で答える、早速食べようと箸でおかずを取ろうとすると
「もーらい」
とテルが卵焼きを取り、美味そうに食うと郷田が怒りの表情に変わり
「おい、お前、誰の昼飯を取っているんだ、あぁん!!」
とブチ切れるとテルは怯えた様子で
「すみませんでした」
と謝ると郷田は笑顔で
「藻太郎、卵焼き取られただろう、僕の分をあげるよ」
と俺に自分の弁当の卵焼きを渡してくる
「ありがとう」
とお礼をすると郷田はまた何かを呟き
「うん、食べて欲しくて作ったからね」
と言われたので俺は早速卵焼きを口に入れる
「どうかな」
「うん美味しいよ」
と素直に感想を言うと郷田は下を向いた後
「もう駄目だ」
と言い、急に俺の肩を掴み
「もう、僕の弟になってくれ!!お願いだ、僕の妹を藻太郎の嫁にやるからさ!!お願いだ!僕の弟になってくれ、頼む、頼むよ!!」
と訳がわからない事を言ってきたので固まっていると郷田は冷静になったのか顔が赤くなり
「ごめん、今のは忘れてくれ、つい耐えきれず本音が出た、すまない」
と恥ずかしそうに言ってきたのでどう事だよと思いながら、あまりの出来事で味がわからないまま郷田のお弁当を食べるのであった。
昼飯を食べ終えた俺たちは教室に戻る。
授業を受け、放課後になったので俺は早速テルの所に行き、帰ろうと提案すると郷田がこちらをチラチラと見てきたので俺は勇気を振り絞り、郷田に近づいて
「一緒に帰らない」
と言うと郷田はまた呟いた後
「うん」
と満面の笑みで答えたので帰る事にする。
家へと郷田とテルと帰っていると郷田が
「そういば、藻太郎とコイツはどういう関係?」
と聞いてきたので俺はどういう関係かと思い
「友達かな」「モニキはアニキです」
と同時に言うと郷田は下を向き
「へえー、仲良いんだね」
とショックを受けている声で言うとテルは笑顔で
「俺たちの仲っすから」
と言い切ると郷田は更にショックを受けながら
「どういう出会い」
と苦しそうな声で言うとテルは空を見上げ
「あれは一昨日の事でした、、、」
と懐かしむ声で言うと郷田は更にショックを受け
「その、アニキ、というの、は、どういう、奴、だ」
と息も絶え絶えに言うとテルは
「明日、会う予定なので一緒に来ますか」
と提案すると郷田は頭に手を当てて笑い
「是非、行こうではないか、お前のアニキに会いに」
「そうっすか、モニキも一緒に来ます?」
とテルがこちらに提案してきたのでどうなるか怖いと思いながらも何故俺に惚れたのか気になり
「うん、行ってみるよ」
「そうですか、じゃ後で連絡しておきますね」
と言ってきたので俺はどうなるのだろうと不安になりながらも帰るのであった。
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